「わたし、定時で帰ります。」7話は“定時で帰りたい女”vs“仕事命の昭和男” 長年信じてきた価値観を否定する難しさ(1/2 ページ)
父親が焦がしたハンバーグの悲哀。
5月28日に放送された「わたし、定時で帰ります。」(TBS系)の第7話。今回、東山結衣(吉高由里子)が対決したのは、実の父の宗典(小林隆)だった。
第7話あらすじ「俺が働いてた頃とは時代が違うんだな」
酔っぱらって「(結衣のことを)今でも好きですよ」と言った種田晃太郎(向井理)に、結衣と諏訪巧(中丸雄一)がフリーズしていると、晃太郎はその場で寝てしまった。
その後、結衣のもとに父・宗典から母の美園(山下容莉枝)が家出してしまったと連絡が入った。美園の誕生日に泊まりでゴルフに行っていた宗典を責めた結衣は、父の代わりに母へ誕生日メッセージを送るも、すぐに「離婚してください」というメッセージが返ってくる。
翌日、赤字確定の低予算の新規案件が福永清次(ユースケ・サンタマリア)から制作4部に持ち込まれた。星印という福永の昔からのクライアントで、この案件は結衣が担当に指名された。結衣は予算を見直すことを提案するが、この金額ですでに稟議は通っていた。
そんな最中でも、宗典からの連絡が仕事中の結衣に何度も入った。その日の夜、三谷佳菜子(シシド・カフカ)の提案で、賤ヶ岳八重(内田有紀)と3人で結衣の実家で食事をすることに。賤ヶ岳と三谷から結衣の仕事ぶりを聞いた宗典は安心。そして、「俺が働いてた頃とは時代が違うんだな」「巧君ならお前を大事にしてくれるだろう」と、父は娘に理解を示した。ちょうどそのタイミングで美園が帰宅し、両親の仲も元に戻った。
一方、福永は常務の丸杉(岡部たかし)と食事をしていた。星印の担当・牛松(金井勇太)はネットヒーローズのメインバンクの頭取の息子だと福永は丸杉に伝えた。
時代の変化を受け入れようとして焦がしたハンバーグ
第7話のテーマは“定時で帰りたい女”vs“仕事命の昭和男”。結衣が対峙するのは、父親の宗典である。
家事のことが全くわからない宗典は、結衣が仕事中なのもお構いなし。ささいなことでもひっきりなりにLINEで尋ねまくるのだ。自分が働いていた頃は、話しかけられると「俺は忙しいんだ!」と怒っていたくせに……。たまにキッチンに立てばボヤ騒ぎを起こすし、妻が出ていってからはリビングも台所も徐々に汚くなっている。
結衣は幼少期からの不満を父にぶつけた。
「お母さんと私がどれだけ我慢してきたと思ってんの? 毎日毎日毎日、仕事仕事仕事! 休みも取らない、夜も寝ない。家族旅行だって途中で帰ったよね?」「私はお父さんみたいな働き方はしない。お父さんみたいな人とは絶対結婚しない! お母さんが出て行くのも当然だよ」
父は父で譲れないものがある。
「自分の価値観ばかり他人に押しつけるな」「俺だって好きでウチに帰らなかったわけじゃないぞ。俺が働いてた頃は転職なんか気軽にできなかった。理不尽なことがあっても、定年までジッと耐えなきゃいけなかった。仕事以外の付き合いだって簡単には断れなかった」
涙ながらに溜まっていたものを吐き出した結衣。一方、ボロカス言われた宗典も泣きそうになっていた。彼は彼なりの信念で家族を守っていたのだから。
父とケンカした後、実家を飛び出した結衣が乗ったバスにいた父娘が象徴的だった。娘は父と話がしたい。家族のために働く父は娘に反応するも、疲れ過ぎてそのまま眠ってしまった。目の前にいる親子のやりとりを見つめる結衣は、自分を投影していたに違いない。
結衣の言い分はもちろんわかる。でも、あんな立派な家に住むことができるのは宗典ががんばったおかげだ。仕事に命を注ぐ働き方が美徳だった時代を生きた宗典。長年信じてきたものを否定し、時代の変化を受け入れるのは大変である。だから、結衣の心情のみではなく、父側の悲哀もすくった今回の構成に救われたのだ。現代は過渡期だ。父は父でハンバーグを作ろうとしたり、少しずつ変わろうとしている。
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