トランスジェンダー差別を指摘された東大教授が批判に応答 「執筆意図が明瞭に伝わるように書くべきでした」

東京大学関連教員有志から批判されていました。

» 2019年06月13日 18時15分 公開
[不義浦ねとらぼ]

 2019年6月11日、東大教授の三浦俊彦氏が執筆した記事がトランスジェンダー差別を含むとして批判された件に関して、三浦氏が批判に応答する声明を発表しました。

三浦俊彦氏トランスジェンダー差別 三浦氏の応答(TOCANAより)

 当該の記事とは、2019年5月14日にWebメディア「TOCANA」に掲載された「【#木綿の天井】「レズビアンたるもの、相手にペニスあっても女だと思ってヤレ」世界で広がる狂ったLGBT議論を東大教授が斬る!」(以下、元記事)です。この記事に対して東京大学関連教員有志が「本学三浦俊彦教授によるオンライン記事についての東京大学関連教員有志声明」を表明し、元記事の内容がトランスジェンダーに対する差別に当たるとして、批判を行いました(関連記事)。

 今回発表されたのは東京大学関連教員有志声明に対する三浦氏の応答です。元記事の文章表現について反省の姿勢を示しつつ、趣旨に関してはスタンスを変えずに言葉を足しています。

三浦俊彦氏トランスジェンダー差別 三浦氏の記事に対し、東京大学関係教員有志が声明を出していました

元記事の内容と批判

 元記事では、トランスジェンダー女性を女性扱いすることに疑念を示す内容が示されていました。元記事タイトルにもある「木綿の天井」は、「レズビアンのトランス女性が、トランスであるがゆえにシス(割り当てられた性別に違和感を持たない人)のレズビアンから性行為を断られること」の打破を目指すスローガンとして三浦氏が紹介したものです。三浦氏はその上で、トランス女性を女性として認めた場合、シス女性がトランス女性との性行為を拒むことが「差別」になるかもしれないと主張していました。東大関連教員有志はそれに対して「事実誤認がある」と批判を加えています。

 また、元記事でレズビアンのトランス女性を「不特定多数の女とやりたが」る「わかりやすい普通の男たち」と称したことも、トランス女性への誹謗中傷であるとして抗議が行われました。

三浦氏の応答内容

 三浦氏の主張は、「自らもマイノリティに対する差別をなくしたいと考えているが、戸籍上の性別変更を推進することは差別の解消に有効ではない」とするものです。三浦氏は以下のように応答内容を要約しています。

(1)元記事の文体が不適切であったこと。それに伴って内容も堕落したものと化したこと。

(2)元記事の “cotton ceiling” (※編集部注:上述の「木綿の天井」)の説明が「事実誤認」という判定は訂正されるべきこと。

(3)性的自由と社会的承認とは、単純に分離できないこと。

(4)「LGBT先進国で法的な合意がある」という記述言明が、「日本で同様の法制度に向かうべきだ」という規範言明の理由にはならないこと。

(以上三浦氏の応答より引用)

三浦俊彦氏トランスジェンダー差別 三浦氏による要約(TOCANAより)

 現在の日本では、性別適合手術を受けなくては戸籍上の性別を変更することができません。三浦氏は、性別適合手術を受けずに生きるトランスジェンダーについて「生来の性別のまま『性自認が特殊な(個性的な)人』として偏見なく受容される社会の実現を願った方がよくはないでしょうか」と述べています。

 「特殊な人」として「受容される」ことは果たして「受容」と言えるのでしょうか。また、戸籍変更をしないトランスジェンダーが偏見を受けることなく暮らせる社会を望むことと、戸籍変更の選択肢をより選びやすくすることは矛盾しません。性自認の尊重は前提として、「手術を望むか」「戸籍変更を望むか」を自分の意思で選べる社会が望ましいのではないでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた