今夜最終回「わたし、定時で帰ります。」真の“ラスボス”は晃太郎(向井理) 真の働き方改革なるか?(1/2 ページ)
あんなに仕事ができるのに、できるからこそ、一番問題を抱えていた!
6月11日放送「わたし、定時で帰ります。」(TBS系)第9話で、ドラマが伝えるべきメッセージが鮮明になってきた。最も問題を抱えているのは、種田晃太郎(向井理)である。
第9話あらすじ「人間は寝なくても死なない」
福永清次(ユースケ・サンタマリア)から突然会議室に呼び出された東山結衣(吉高由里子)。福永は、晃太郎が自分の会社を辞めた理由は「定時で帰れる会社に移って結衣と結婚したいから」だったと明かす。結衣は驚きを隠せない。
会議で、星印との案件を通した常務の丸杉(岡部たかし)が退職を発表する。後ろ盾を失った福永に、石黒英雄(木下隆行)は残業月80時間を超えないよう釘を刺した。すると福永は制作4部のメンバーをそそのかし、終電までファミレスでサービス残業するよう仕向ける。それを知った結衣は「私も残業します」と宣言。しかし、次第にメンバーから疲れが見え、職場の雰囲気は悪くなり始めた。
ある日、ハードワークがたたり睡眠をとっていなかった来栖泰人(泉澤祐希)が倒れてしまった。「僕も種田さんみたいになりたい」と言う来栖の存在を、結衣は晃太郎の弟・柊(桜田通)に伝えた。「その後輩と話がしてみたい」と言う柊に会わせるため、結衣は来栖を連れて種田家を訪れる。
柊は自身のことを来栖に話し始めた。1年前に会社を辞めたこと。研修もなしに飛び込み営業させられ、怒鳴られる毎日だったこと。心が折れた柊に晃太郎が掛けた言葉は「人間は寝なくても死なない。死ぬ気でやれば必ず乗り越えられる」だったこと。絶望し、命を絶とうとした柊。そのとき、二日酔いで会社をズル休みした結衣を思い出して彼は思いとどまった。3人の会話をドア越しに聞いていた晃太郎は「やっぱり俺、この会社に来るべきじゃなかったのかもしれないな」とうつむく。
結衣が帰宅すると、荷造りを終えた婚約者の諏訪巧(中丸雄一)が「僕、結衣ちゃんとは結婚できない」と告げてきた。
弟と後輩に悪影響を与えていた晃太郎
まず、種田兄弟について触れたい。2人の関係性は、このドラマが伝えるべきメッセージの大部分を表しているからだ。
会社で追い込まれた柊を激励するつもりで掛けた、兄・晃太郎の言葉はものすごい。
「人間は寝なくても死なない。死ぬ気でやれば必ず乗り越えられる」
そこにかぶるのは、ハードワークが原因で倒れ、結衣との結納を迎えることができなかった晃太郎の過去である。
「兄には仕事しかない。それって幸せなことなんでしょうか?」(柊)
恩人・福永を捨ててまで結衣と結婚しようとしていた晃太郎。なのに、仕事が原因で結衣との仲は壊れてしまった。そんな兄を知っているからこそ、「それは幸せなのか?」と柊は問う。晃太郎自身、4話で「仕事しかない」と後悔の表情を見せていた。結衣もハードワークが原因で事故に遭ったことがある。だから、「種田さんの働き方をマネしたらダメ」と口にするのだ。
ここに矛盾が出てくる。規定を守り、みんなが22時までに帰るにはどうすればよいか? 現時点で対策法は、「俺がやっとくから」という晃太郎の言葉に頼るしかないのが事実だ。結局、誰かが生贄(いけにえ)になっている。
晃太郎もつらい。全員をフォローするつもりで休日返上で働いていたら、ドア越しに「兄みたいになるのは幸せなのか?」という言葉が聞こえてきた。2時間しか寝てない日々を誇る来栖のようなフォロワーも生んでしまった。「人は寝なくても死なない」の信奉者だ。
「やっぱり俺、この会社に来るべきじゃなかったのかもしれないな」(晃太郎)
後輩、そして弟に悪影響を与えていたのは自分だったと晃太郎は気付く。
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