内野聖陽の神演技「きのう何食べた?」10話 ごはんを題材にして描き出す、“家族”を大切にする方法(1/2 ページ)

食卓が幸せなのは、ごはんがおいしいからだけじゃない。

» 2019年06月21日 11時55分 公開
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 「キライになったでしょ、俺のことっっ!」

 「……」

 「普通ひくよねっ! 心の狭いこと言ってるってわかってる。自分も浮気したことあるくせに、シット深いって最低だよね!」

 「ケンジ!」

 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 迫真の演技で視聴者を引き込むケンジ役の内野聖陽。それをしっかり受け止めるシロさん役の西島秀俊。ドラマ24「きのう何食べた?」が単なる“飯テロドラマ”なんかじゃないことが、はっきりわかるシーンだった。“ごはん”を題材にして、何かを見ている人たちに伝えようとしている。だから、こんな芝居が飛び出すのだ。

 先週放送された10話は、好きな人同士が一緒になって出来上がった“家族”というものは、実は脆くて壊れやすいものだということと、壊さないようにするにはどうすればいいのかということがくっきり描かれていた。


きのう何食べた? 好きな人同士の“家族”を壊したくない イラスト/たけだあや

溢れ出るケンジの想い

 冒頭のやりとりは、シロさんに小日向さん(山本耕史)と2人きりで食事に行かないでほしいとケンジが懇願する場面。過ちなんてあり得ないと一笑に付すシロさんだが、ケンジには同じようなケースで浮気をして、そのときの恋人と別れてしまった過去があった。

 シロさんのことが好きでたまらない。シロさんのことを失いたくない。ケンジはこれまでシロさんと何度も何度も食卓を囲み、そのたびに「幸せ」を噛み締めていた。シロさんを失うことは幸せを失うことだ。

 嫉妬、疑い、怯え、自己嫌悪……さまざまな負の感情がとめどなく溢れ出てしまうが、シロさんは逃げずにガッシリと受け止める。ハグやキスだと嘘っぽいが、肩を抱くところにシロさんの包容力を感じる。女らしいとかヒロインとか乙女心とかじゃなくて、男と男、人と人。何も言わず、ケンジの要望どおり小日向さんに断りの電話を入れるところも優しい。

 中江和仁監督は1〜3話までの控えめな演出とはうって変わって、内野聖陽の演技を真正面からのカメラで捉えていた。ケンジの感情がより一層ストレートに視聴者に伝わっていたことと思う。

 それでいて、開始10分頃にこのシーンを持ってくるという構成の妙も見逃せない。クライマックスだからといって、ドラマの終盤に置くのはちょっと重い。深夜の食事で胃もたれするようなものだ。ドスンという気分ではなく、ふんわりとした気分で床につきたいのが週末の気分である。実際この後、シロさんとケンジは柔らかい日差しの中で、ふんわりしたクレープを頬張って幸せを噛みしめるのだ。


きのう何食べた? 10話の見どころ。ケンジ役の内野聖陽の迫真の演技。女らしいとかヒロインとか乙女心とかじゃなくて、男と男、人と人、ケンジとシロさんのかけがえのない関係が強く刻まれた イラスト/たけだあや

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」