「(10年続くなんて)全く思っていなかった!」 10周年の「私立恵比寿中学」が明かすこれまでとこれから
「キレのないダンスと不安定な歌唱力」から「キレのない語彙(ごい)力不安定なトーク力」へ
転入、転校を経て2019年で活動10周年を迎えたアイドルグループ「私立恵比寿中学」。「岡崎体育」や「ゲスの極み乙女。」「ももいろクローバーZ」などを迎えて6月22日に行われた「『MUSiC』フェス〜私立恵比寿中学開校10周年記念 in 赤レンガ倉庫〜」や、100周年を迎えた「カルピス」の記念プロジェクト「タナバタノオト」の第一話とタイアップするなど、より精力的に活動する年となっている。
今回は、メンバーの真山りかさん、柏木ひなたさん、小林歌穂さんの3人に、10周年を迎えての話や、10年間の出来事などを聞いた。
―― 激動、と一言では言い表せないほど、うれしいことも悲しいことも経験した10年だったと思いますが、この10年で特に印象深いニュースは何でしたか?
小林 まず、10年続けているのがニュースだなと。10年アイドルでい続けるのはすごいことだから、すごいよなって(笑)
柏木 いろいろありましたが、自分の地元である千葉の市民会館でライブできたのが個人的に一番のニュースでした。エビ中に入る前からよく行っていた場所でライブができたのは本当にうれしかったです。親孝行にもなったし、それまで遠い場所や大きい会場にはなかなか呼べなかったおばあちゃんを呼べたのがすごくうれしかったです。こんな活動していたんだ、って褒めてもらえて。
真山 私は最近の話になりますけど、「MUSiCフェス」を開催できたことはめちゃくちゃ財産でした。自分がもしエビ中を辞めることがあれば、何か残して辞めたいとずっと思っていますが、MUSiCフェスはその1つだと思います。エビ中は、人見知りなグループだと言われちゃうこともあるくらい友人や知人が少なくて……そんな中でも来てくれた先輩たちを迎えられたのはうれしかったですし、自信にもつながりました。
―― 3人は真山さんの10年を筆頭に、柏木さんが8年、小林さんが5年、エビ中として活動されています。苦しかった瞬間や、10年の間でこれが転機だった、といま振り返って感じることを教えてください。
真山 挫折ではないですが、どうすればいいか分からなかった瞬間はあります。それは、ずっと一緒にやってきた瑞季が転校してしまったとき。そのとき初めて「どうしよう」となってしまったんです。その後2014年に歌穂莉子が入ってきて、これは自分が仕切るしかないなと。
でも、私はサッカーをやってきたこともあって、体育会系。このノリでいくとみんなを苦しめるだろうと分かっていたので、あえてちゃらんぽらんな年上を演じることでまわりにしっかりしてもらう、というある種の処世術を身に付けたんです。
柏木 私も瑞季の転校は大きかったですね。それまでずっと私がグループで年下ということもあって、グループにおける自分の役割が明確でなかったんですが、ダンス部長だった瑞季が私を2代目に選んでくれて初めて役割ができた気がしました。
ただ、私は決してダンスがうまいわけではなかったので、どうして私が選ばれたのか分からなかったし、ファンの人には「瑞季に選ばれたんだから(ダンスが)うまくて当たり前」とみられるようになって、そのことで悩むようになりました。
でも、2016年の年末のライブに瑞季が遊びに来てくれたときに「ダンス部長、頑張ってくれているんだね」と言われて、初めて報われた気がして号泣してしまったんです。そこからは吹っ切れて、胸を張ってダンス部長をやっている自分でいられるようになりました。
小林 私は、歌もダンスも得意じゃないままグループに入ってきたのですが、病気になってしまったとき、レッスン中みんなをただ見ているだけの時間が増えて、すごく寂しかったんですよね。一歩引いてみることで、みんなのダンスのうまさにも気付いてしまって。それから、このままじゃダメだと思って、下手なりに努力してきて、いまようやく追い付けてこれたと思います。
―― この流れで初期メンバーの真山さんにお聞きしますが、結成当初、エビ中が10年続くアイドルグループだと思っていましたか?
真山 全く! 最初エビ中は期間限定だと言われていて、「いつ終わるんだろう?」「いつ終わっちゃうんだろう?」と思っていたのに、新メンバーが入ってきたりして(笑)。今でも10年続いているのが奇跡と思うくらいですが、無事に迎えられたのはメンバー、スタッフ、そして何よりファンの皆さま一人一人のおかげだと思います。
―― そんな奇跡のような10周年という区切りである2019年、「カルピス」100周年のプロジェクト「タナバタノオト」のプレイリスト型MVアニメーションの第一話に、エビ中の楽曲「結ばれた想い」が起用されました。ご覧になっていかがでしたか。
柏木 青春! って感じ。エビ中の曲がアニメーションとマッチしていて、新鮮さも良かったです。この素敵な取り組みの第一話に選ばれたのも、すごく名誉なことだと思います。
小林 完成するまでは全然想像がつかなかったけど、曲がメインのようになっていたのがうれしかったです。アニメーションだけど、本当にMV感覚で見られて。
真山 すてき、の一言ですね。ファンタジーがすごくてグッと来ました。最後がどうなるか、私たちもまだ分かりませんが、主人公であるナナセちゃんたちと一緒に天の川が見られたらいいな、と思って先を楽しみにしています。
―― 「結ばれた想い」の歌詞は、ラッパー/トラックメイカーのさなりさんによるものですね。歌詞ができたとき、何を思い、何を大切に歌いましたか。また、エビ中との相性はいかがでしたか。
小林 私はファンタジーな世界観が好きだからか、「お伽話でいいね」というフレーズにすごく引かれました。それに、すごく今っぽい歌詞だなって。
真山 その感じ分かる。さなりさんって、フレッシュなのに成熟していらっしゃって。本物の天才だなと。あとは、エビ中って「僕」と入る歌詞があまりないんです。だから、それがエビ中としても新鮮で良かったと思います。
柏木 僕らは結ばれているのに、なぜか切なく感じてしまう歌詞だと思いました。タイトルと歌詞がすごくシンプルでストレートで。その真っすぐさが、エビ中にマッチしている気がして、勝手に親近感のようなものを感じて歌っていました。
―― 「タナバタノオト」が公開されているエビ中の公式YouTubeチャンネルでは、「エビ中こんなに歌うまかったっけ?」「(ファンなのに)最初誰が歌っているのか全然分からなかった…」などのコメントが多く見られました。結成当初は「キレのないダンスと不安定な歌唱力」をキャッチフレーズにしていたのに、10年の間に歌唱力も評価されるようになったことをどう思いますか。
柏木 そういうフレーズがついていたから、私たちって成長しちゃ駄目なのかな? って悩んだ時期もありました(笑)。でも、いまでは「成長したね!」って言われると「そりゃそうだよ!」って思います。だって、10年やってきているんだもん!(笑)
真山 いま言われると「これは……もしかして……皮肉……!」と思っちゃいますよね(笑)。10年やってきてもし本当に成長してなかったら、それはそれで才能でしょ!(笑)。でも、私たちも年相応に成長できて良かったよね(笑)。
―― では、今、新たにグループのキャッチフレーズを考えるとしたら?
真山 「不安定な歌唱力」というのはコンプレックスでもあったので、ライブでもMCをしている暇があるなら歌! という感じで、とにかく歌う時間を長く取るようにしていたら、MCの打率が下がっちゃって……(笑)
柏木 だから……いまだと「キレのない語彙(ごい)力不安定なトーク力」かもしれないです(笑)。この先10年で、今度は「トーク力も成長したね!」と言われるグループになりたいので、MCも増やしていきたいです。
―― 応援しています。では、トーク力以外でこの先10年の目標には何を据えていますか?
小林 アリーナツアーをやってみたいです。いつもとは違う感覚でやれるんじゃないかと思っているので。
真山 あとは紅白にも出たい! でも、年齢を考えると、振りをもっと優しくてしてもらわないと。手を振るだけ、とか(笑)。ファンの人たちのためにも、きっとそっちの方がいい気がします。
柏木 私は、もっとテレビに出て、皆さんに見ていただく機会を増やしていきたい。「私立恵比寿中学」とか「エビ中」ってグループ名を聞いたことあるという方はありがたいことに増えてきたんですが、メンバーの顔と名前までは分からない人も多いと思うので。紅白はその1つですね。
―― 20周年に向け、これからも応援しています。最後に一言お願いします。
真山 どこでもいいので、少しでも「エビ中」というワードに触れる機会を増やせたらと思っているので、ファンの皆さまはぜひ引き続き一緒に頑張れたらと思っていますし、まだ知らない方はエビ中、いいですよ! お待ちしてます! と伝えさせてください(笑)。
柏木 エビ中は、いい意味でアイドルの概念を壊せるグループだと思っているので、ファンの人はもっともっと、そして知らない人はこれから、ぜひエビ中という沼にハマっていただけたらうれしいです。
小林 今回、「カルピス」タイアップの「結ばれた想い」からもしつながることができたら、結ばれることができたら、ぜひ他にもいろいろな楽曲を聞いてほしいです。10周年。まだ上半期が終わったばかりで、下半期にもいろいろ計画しているので、楽しみにしていてくださいね!
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