「偽装不倫」宮沢氷魚・谷原章介の美しさを押し出しまくる1話 モテない女の自虐はアラサー女性の救いになるのか(2/2 ページ)
男性陣と比べてかなり冴えない主人公・鐘子
鐘子や葉子ら、女性陣の撮り方に比べて圧倒的に丈、賢治が美しいものとして扱われている。それは、ターゲット視聴者の女性が男性陣にときめくための演出。そして、第1話の時点では、特に鐘子がまだまだ「冴えない」存在だということとの対比となっている。
男に話を合わせられない。
モテファッションが似合わないから着られない。
年より老けて見える。
――という3点を、鐘子は自分がモテない理由として掲げる。丈とキスやセックスをしようという夜に、口臭も気にせず日本酒を3本もあおってしまう様子を見ると、ただただデリカシーがない人というだけでは……という気もする。
自分を変えられない。だから恋も結婚もできない。そう思い込んでいた鐘子だが、丈と一緒にいるためならば、自分は既婚者だというウソもつけてしまう。恋をしたら自分を偽れるようになった鐘子。それは、「恋をしている人は誰しもみんなウソつきなのでは」という問いを意味しているのだろうか。第2話では、賢治にウソをついて葉子が不倫をしていることが明らかになる。
「鐘子のたんこぶ」は「鏡にうつった鐘子自身」に
原作漫画では、鐘子の思い込みの激しさへのツッコミ役として、鐘子のたんこぶがキャラクター化されて登場する。ドラマでは、鐘子にツッコむのは鏡にうつった鐘子自身になっていた。
例えば、本作と同じ衛藤凛が脚本を書いた「サバイバル・ウエディング」も、モテない・結婚できないで悩むアラサー女性・さやか(波瑠)が主人公だった。さやかにツッコミを入れるのは、ぶっ飛んだことを言い出す男・宇佐美(伊勢谷友介)。「常識外れの他者」がアドバイスをするから、一歩間違えば婚活女性への説教っぽくなってしまいそうな内容も、コメディーとして面白く見ることができた。
しかし、「自分との対話」となるとどうだろう。恋や結婚に悩む女性向けの自己啓発書では、自分の本当の願望や理想、反省する点などを挙げていき、自己分析を迫るものがよくある。「私はおばさん」「モテない・結婚できない女」と自虐をして気まずさをやりすごしている女性たちに、また自分で自分を嘲笑させ、自省、自責させるのかと思うと少し気がめいらないでもない。
美しい男性と、泥臭く残念な女性。この対比や「自分との対話」が、本当に今を生きる女性たちの力になるのかどうか、楽しみに見守っていきたい。
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