「男は男を救わない。だから女との恋愛で救われたいが、救われない」という考え方に、うーむとうなって迷路にハマってしまった話(1/2 ページ)

うーむ……。

» 2019年07月21日 19時00分 公開
[しげるねとらぼ]

 「弱者男性は同じ弱者男性を救えないのか」という話が、少し前にネットで話題になった。おれもまあ、おそらく発端に近いであろう「おっさんはおっさんが大嫌いだし弱い男はもっと嫌い」というはてな匿名ダイアリーの記事を読んだ。そしてうーむとうなってしまった。

 その匿名ダイアリーでは、学歴やルックスなどさまざまな理由からまったくモテず、女性が憎くてたまらなかった男性の書き手が、35歳になって女性を憎むエネルギーがなくなってきたこと、さらに自分が男女双方からいじめられてきたことを告白。そこから導き出される結論として、強者の男性は弱者男性に興味がないこと、弱者男性もそんな強者男性を怖いと思っていること、さらにそれを怖いということすら吐き出せず、インターネットで強者のフリをして女叩きにせいを出すしか選択肢がなかったことがつづられていた。

 結論としては「男は怖いから女に救ってもらいたいが、現状そんな手段はないし、おっさん同士で群れてやっていくのはおっさん自身が嫌がる」という話だ。うーむ……。

 ……先に書いておくと、ここから書く文章は「うーむ」とうなってうなりっぱなしみたいな内容である。最後まで読んでも何にも解決してないので、一応それを念頭に置いて読んでほしい。

しげる ライターしげるが恋愛や人間について考える連載。今回は答えが出ない問題について

弱者男性が群れてやってくの、やっぱり難しいっすよね

 思うに、弱者男性(という言い回しも漠然としてるのでちょっとどうかと思うけど)が集まって生活して、相互に援護しつつ社会の荒波から自分たちの身を守ることは可能である。可能だとは思うんだけど、天文学的に低い確率で成立する関係性だろうな……というか、よほどうまく偶然が作用しないと難しいと思う。

 まず「自分は社会的経済的その他もろもろの条件において弱者である」と認められなくてはいけないし、同じように考えている気の合う人間を見つけなくてはいけないし、そういう人たちがある程度近所に住んでなくてはいけないし、できれば関係者全員がある程度以上の収入を得ているのがベターだろう。

 そう考えていくと、やっぱり男性同士がうまく相互にカバーしつつ死なないようにやっていくというのは難しいことなのだと思う。

 そもそも、「俺って弱いなあ」と開き直るのがまず難しい。先ほどの匿名ダイアリーの人ではないが、「弱い男性」が嫌いな男性は多い。それが自分のこととなればなおのことだ。なぜそれが嫌いなのかという理由はさまざまだろうけど、「男は強いものでなくてはならない」という思い込みや、男性同士の関係で弱者はどうしてもスポイルされがちであるという点から、後天的に刷り込まれたものだったりする。

 アル中の治療はまず自分が中毒だと認めるところから始まるというが、それと同じである。ヘビーな酔っぱらいほど「俺は酔っぱらってねえよ〜」と言う。自分が酔っぱらっているのを認めるのは、自分を直視できる人間だけだ。そしてそれはある程度の胆力を必要とする。

恋愛で救われると言いたくない! けど効果はある……!

 となると、あまりこういうことを言うのはどうかと思うけど、やはり現状一番社会的にも価値が保証されており、そこに至るための各種マッチングサービスや相談所や、そもそも世間的に話題にしやすいネタだというコンセンサスが存在しているなど“インフラ”が整備されており、簡単にもろもろの問題を解決できるのは、恋愛という方法なのではないか……という気がしてくる。なんせ、弱者男性が弱者男性同士で助け合うのは前述のようにめっちゃ難しいのだ。まだ異性との恋愛の方が楽そうに見える(異性愛者の場合)。

 しかし、おれだって本当はこういうことは言いたくない。というのも、逆に「恋愛が全てを解決してくれる」という通説がまことしやかに信じられているからこそ、男同士で肩を寄せ合って生活していくのが難しくなっているのではないかとも思うのだ。鶏と卵というか、「うるせえバーカ! 何が恋愛だ! 死ね!」と言いたくなる気持ちもわかる。

 なんせ恋愛は「弱者男性同士で連帯してやっていく」みたいな方法よりも一般的で、なおかつ一応世間的には楽しくステキなものと見なされているので、各方面からの圧もある。人から「彼女(彼氏)作りなよ〜!」みたいな、意見以下のぼんやりしたことを言われて「ヘヘ……そっすね……」と愛想笑いしつつ「こいつ死なないかな〜」と思った経験のある人も多いことだろう。

 恋愛は全ての問題を一発で解決してくれるようなものではない。恋人ができたところでそれが原因で年収が1000万円を超えることはないし、いきなり健康になったりもしない。それに加えて、特に恋愛をしたくない人だっているだろう。やりたくなければやらなくたっていい。

 それでもやっぱり、恋愛で埋まる心の穴というのはある。

 もちろん人によるし、万人に有効な処方箋ではないけども、それでも信用している人間に精神的にも肉体的にも認められることの効果は非常に大きい。ナメてはいけないものがあると思う。自宅に掃除機をかけるようになった、人格に社会性が芽生えた、物腰に余裕が発生し他人を気遣うようになったなど、いきなり変化した人間をおれはけっこう見てきた。

 「なるほど自分はこれでもいいのか」と自認できるのは、やっぱりプラスの効果がある。変に精神的にこじれているとその限りではないと思うけど、でも時間をかけて1人の人間と関係を構築すれば、そんなこじれだって快方に向かうこともあるだろう。万能ではないが、効き目自体はちゃんとある薬……という感じだと思う。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた