タナゴなど日本の淡水魚の半分以上が絶滅危惧状態に IUCNがレッドリスト最新版を発表
淡水魚が静かに減少しています。
IUCN(国際自然保護連合)は、絶滅が危惧される種をまとめた「IUCN 絶滅危惧種レッドリスト」最新版を発表しました。取り上げられているのはエイ類や霊長類など。日本に関りが深い種としては淡水魚があげられています。
淡水魚は世界的に危機的状況で、特に深刻なのが日本とメキシコ。自然河川の喪失・生息環境の悪化・汚染・外来種などにより、日本の固有淡水魚種の半分以上とメキシコの淡水魚の3分の1以上が絶滅危惧にあると記されています。
世界の海産魚類の中で最も危機にさらされているのはエイの仲間サカタザメ類。乱獲などが原因で、16種のうち15種が「深刻な危機(CR)」と評価されています。
霊長類の中では7種類が絶滅寸前に。原因はブッシュミート(野生生物の肉)目当ての狩猟や生育環境の喪失です。
今回のリストでは深海で暮らす約500種の硬骨魚種が新たにレッドリストに掲載されました。
特に注目したいのは熱水噴出孔に生息する貝類の「ウロコフネタマガイ Scaly Foot Snail (Chrysomallon squamiferum)」。深海に生息する種は「DD(データ不足)」に分類されることが多い中で「EN(危機)」に分類されたことにより、深海鉱業の規制に向けた動きが出ています。
「IUCNレッドリスト」はこれまでに10万5732種を評価しており、そのうち2万8338種に絶滅の危惧があるとしています。
IUCN事務局長代理のグレーテル・アギラー博士は、「10万種以上がIUCNレッドリストで評価されたことで、今回の更新版は世界中で人間がどれほど野生生物を過剰捕獲しているかをはっきりと示す結果となった。自然界の多様性の保全はまさにわれわれの重大関心事であるということに目覚めなければならない。
それは、『持続可能な開発目標』を達成するための基本でもある。政府、産業界、市民社会は自然の過剰利用を止めるために緊急に行動しなければならない。そして、持続可能な生計を強化するため、地域社会や先住民を尊重し、支援しなければならない」と話しています。
IUCNレッドリストの危惧のカテゴリー(上のほうが危惧が高い)
「絶滅 EX」または「野生絶滅 EW」
「深刻な危機 CR」「危機 EN」「危急 VU」:地球規模で絶滅危惧にある種
「準絶滅危惧 NT」:絶滅危惧カテゴリーの閾値に近い種、もしくは現在の保全措置が中止されると絶滅危惧になる種
「低懸念 LC」:絶滅の危険性が低いと評価された種
「データ不足 DD」:絶滅するかどうかを決めるにはデータが不十分である
※この他、既に絶滅していると思われる「深刻な危機 CR(絶滅の可能性)」というカテゴリーがあります。
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近年発見された新種の鳥類も、11%に絶滅のおそれがあるとのこと。
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