黒木華「凪のお暇」キャスティングを不安視していてごめんなさい 開始15分で引き込まれた“リアルな重さ”(1/2 ページ)

サイコパス化した高橋一生は原作よりも怖い。

» 2019年07月26日 12時50分 公開
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 7月19日に「凪のお暇」(TBS系)の第1話が放送された。好きなドラマは初回の15分でほぼほぼわかる。1話を丸々見て、ハマる予感しかない。いわゆる、当たりのドラマだ。


凪のお暇 凪{黒木華)はふとんひとつ背負って、人生から引っ越した イラスト/まつもとりえこ

「わかる!」と言い続け、心が折れた

 都内にある家電メーカーで働くサラサラストレートヘアが特徴的な大島凪(黒木華)は、平穏に過ごすため常に場の空気を読み、「わかる!」と周りに同調することで自分の平和を保っていた。同僚たちはそんな凪を「うちらの下請け」と呼び、理不尽な仕事を凪に押し付ける。でも、彼女にはよりどころがあった。“営業のエース”であり、人気者の我聞慎二(高橋一生)とひそかに付き合っているのだ。しかし、慎二が自分の陰口をたたいている場面に出くわし、過呼吸に陥った凪は心が折れた。これをきっかけに彼女は人生のリセットを決意、会社を退職して引っ越した。

 転居先のボロアパートで、質素ながらも豊かな生活を送る老婆・吉永緑(三田佳子)との交流が始まる。隣人の安良城ゴン(中村倫也)とは、ゴンの家のベランダに成っているゴーヤをきっかけに会話することができた。そこに突然、凪の住所を知った慎二がやって来る。無神経なことばかり言う元彼に対し、凪は「今後一切、私に関わらないで!」と別れを告げた。その後、慎二は行きつけのスナックに行き、凪のことが大好きで、「一生守っていく」と心に誓っていたことを号泣しながら打ち明けた。

 翌朝、ゴンはゴーヤのお礼を言いに凪の部屋を訪ね、そして凪を抱きしめた。頭が真っ白になった凪はその場に倒れ込んだ。


凪のお暇 1話の見どころ。黄色くなったゴーヤっておいしいんだそうです イラスト/まつもとりえこ

空気を読む役回りを自分で選んでいる

 「空気は読むものではなく、吸って吐くもの」(ドラマ後半で凪が言うせりふ)。

 しかし、凪は空気を読むことに腐心していた。仕事で問題が起こると、自分の責任ではないのに身代わりで名乗り出たり、周囲との衝突を避けるために「わかるー!」と何でも同意したり。結果、同僚に仕事を押し付けられ「うちらの下請け」呼ばわりされる始末。さらに、凪は恋人に対しても下僕だった。

 「世界三大欲求の食欲が満たされたわぁ。残るは睡眠と、あと1つ……何だっけ? ねえ、凪。して」(慎二)

 「しよう」じゃなくて「して」と言われる切なさ。端的に、2人の関係性を示している。この辺までの描写は、原作を読んでいても本当に胸くそが悪かった。

 高橋一生演じる慎二は、原作マンガの慎二と少し異なる。マンガではちょっと可愛らしさがあるのに、実写だと本当にむかつくのだ。慎二は会社の同僚に凪の陰口を言っていた。

 「アッチがいいから会ってるだけ」

 「だってそいつ、一回食った後の野菜育てて何回も何回も食うわけ。作るメシも貧乏臭いし、コンセントとかいちいち抜くし。俺、そういうケチ臭い女、生理的に無理なんだわ

 凪をかわいそうな人間関係の被害者とするのは簡単だ。彼女はこういう役回りを自分で選び、限界が来て破裂した。だから何もかも捨て、素の自分を取り戻そうとお暇するのだ。

無意識に打算のある凪

 凪には打算がある。慎二を逆転ホームランを打つための“最後のカード”とした会社員時代。彼が持つステータスと人気に惹かれていた。アパートに転居した彼女は、自販機から釣り銭を拾う緑を見て、勝手にゴミ屋敷住まいだと思い込んだ。ナチュラルに失礼……。

 でも、部屋に足を踏み入れると緑は(精神的に)豊かな生活を送っていた。怖そうな八百屋の店員もいい人だったし、腕にタトゥーを入れた隣人・ゴンも人の良さそうな男だった。それら全て、凪がアクションを起こしたからわかったこと。勤めていた会社と、転居先で出会った人たちには天と地の差があった。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」