駄菓子屋で買えるカップ麺「ブタメン」はなぜ生まれたか? 幻の生麺タイプや「焼そば」の存在も(1/5 ページ)
開発担当者が本場九州のとんこつラーメンを片っ端から食べて、作り上げた味。
10円や20円でおいしいお菓子を食べられる駄菓子屋さん。その中でなけなしの小銭を奮発して買ったとっておきのごちそうが、「ブタメン」(おやつカンパニー)でした。
ふつうのカップラーメンと遜色ない、いや凌駕するほどのとんこつスープが決め手で、店先で食べたあのおいしさは今でも忘れられません。
しかしこのブタメン、同じおやつカンパニーが販売する発売60周年の「ベビースターラーメン」の陰に隠れて、取材記事はほとんど見たことがありません。ならばと三重県津市のおやつカンパニー本社へ。
あのおやつカンパニー本社へ入れる興奮も冷めやらぬ中、おやつカンパニーマーケティング本部の安澤元博さんと、諸岡亜由美さんにいよいよ「ブタメンのひみつ」を伺いました。
「子どもに食べてもらえるラーメンを」
――まずブタメンはいつ生まれたんですか?
安澤 1993年です。しかしその前からカップ型の麺は出していて、最初は1978年に発売された「ベビースターカップラーメン」。これはミニカップ麺の元祖と言われますが、ベビースターラーメンのような短いカット麺でした。
――へぇ、元祖! ちなみにその商品が生まれたいきさつは?
安澤 当時、大手メーカーのカップ麺はレギュラーサイズだけだったので、(小サイズ、低価格で)子どもに食べてもらえるラーメンを考えたのがきっかけです。
諸岡 そしてブタメンの前身といえるのが1987年発売の「ベビースター当たりら〜めん」です。短いカット麺ではなく、ふつうのラーメンのような長い麺のミニカップ麺です。しばらくしょうゆとカレーの2フレーバーで展開していたんですが、1993年にとんこつ味が「当りら〜めんブタメン(とんこつ味)」として登場したのです。
――ついにブタメンが……ちなみになぜとんこつ味になったんですか?
諸岡 1980年代後半に首都圏を中心にとんこつラーメンが流行していたので、全国的にもヒットすると思い、とんこつ味に決めました。商品化のために開発担当者は本場・九州に出張し、現地のとんこつラーメンを片っ端から食べたと聞いています。
――当時60円の商品にそこまで……!
安澤 ちなみに福岡のとんこつラーメンの中でも、福岡市周辺のサッパリした味がモデルと言われます。
――あと、そもそもなぜ「ブタメン」なんですか?
諸岡 とんこつ=ブタから、わかりやすくてインパクトのある「ブタメン」としました。イラストのブタの目のぐるぐるは、「あまりのおいしさに目が回っている」ところを表現しています。
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