「凪のお暇」“メンヘラ製造機”ゴン(中村倫也)の残酷さ 4話の慎二の涙は空気を読む凪を変えるのか?(2/2 ページ)
慎二の素直な涙は空気を読み続ける凪へのメッセージか
「勝手に堕ちてけ、モジャモジャ!」(慎二)
凪の幻影を振り払おうとしていたのに、そのモジャモジャがコンビニに依存していた。らしくない姿を見て居ても立ってもいられない。節約をし、アイデアひとつで何もない生活から楽しみを見つけてきた凪の魅力的な部分が消えてなくなっている。
堕ちていく凪に慎二は黙っていられなかった。
「お前も見ただろ、あいつのユニットバスの洗面台! いいのかよ、お前以外に何人も女がいるような男で」
まともなら、化粧水だらけの洗面台を見れば正気になるはずだ。でも、凪は見て見ぬふりをした。
「むしろ、ゴンさんみたいなすてきな人はみんなでシェアしなくちゃ」(凪)
そんなこと、絶対思ってないはずだ。自分に言い聞かせてるだけ。でも、どうしても失いたくない。同僚の意見に同調し、よく思われようと慎二の前で飲めないふりをしていた頃と全く変わっていない。空気を読んだ言葉。それどころか、凪はもう壊れていた。
「お前、マジでスベってんだよ……」(慎二)
初回でも登場した慎二のセリフだが、あのときとは気持ちが違っている。これまでの小馬鹿にした感じはなく、悲しみに打ちひしがれていた。
「何で? 慎二、もしかして泣いてるの?」(凪)
慎二は毎週泣いてる。ただ、自分が傷付いたときは隠れて泣いていたのに、凪が傷付けられたと知った今は目の前で泣き出した。空気を読み、自分を偽る凪へのメッセージになった気がしてならない。すなわち、凪に本心が伝えられなかった慎二が初めて素直さを振り絞った瞬間だった。
凪本人が変わらないと結局同じ
今回は、凪と慎二の馴れ初めが描かれた。断れないよう空気を作っておいてからの、「俺ら、付き合っちゃう?」(慎二)。このときの凪も、やはり流されていた。でも、お暇した凪は慎二の肩書やスペックに惹かれていたと気付いた。じゃあ、ゴンのどこに惹かれていたのだろう? 自分を肯定してくれ、「好き」「可愛い」という言葉を投げてくれる一面しか彼女は見ていない。やはり、外側だけだったのではないか。
今の関係を確認したいのに、「変な空気になったら……」と躊躇したあの場面。相手が慎二だろうと足立だろうとゴンだろうと、凪本人が変わらないと結局のところ同じである。
やはり、このドラマは慎二とゴンの間で凪が揺れ動く恋愛ドラマではなく、凪が自立する姿を描く成長物語だと思う。
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