Twitter、スワイプ式のリスト新機能や“クソリプ”非表示機能をテスト導入 「いかにして健全性を高めるか?」中の人に聞いた(2/2 ページ)

» 2019年09月01日 13時00分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

 直接聞いてみたところ、コールマンさんからは「実際私自身もTwitter上で見かけることがあるので、問題はよく認識しています」という率直な意見が。

 さらに「違反投稿を申告しやすくする改善も行っています。申告に基づき対応する部隊があり、そこは今年(2019年)からこれまで以上に強化しています」と、Twitter Japan政策広報部担当者※からの補足もありました。このあたりの対策が実を結んでいくのかどうか、今後も見守っていきたいところです。

※ポリシーや安全面にまつわる案件の広報担当


日本特有の使われ方

 健全性という観点で、日本ではどのような使われ方が目立つのか、ユーザーの動向を調査する部門の山内清稔さんによるプレゼンも行われました。最近の調査により、3つの特徴が分かったといいます。

スタッフユーザーリサーチャーの山内清稔さん

 まず、日本ユーザーの最大の特徴は「匿名性が重要」であるという点。これは、いわゆるプロフィール画像の違いによく現れています。米国ではユーザーが自身の顔などをアイコンに設定することが多いですが、日本では好きなアニメキャラクターや、ラーメンといった、趣味にひも付いたものを設定しがち。複数のアカウントを作り、「ラーメン好きな自分、k-popが好きな自分、プロフェッショナルな自分……」というように使い分けるユーザーが多いのも特徴。

 リアルではしがらみにより本当の意見が言えなかったりしますが、Twitter上ではそうして形成された趣味などのコミュニティー内で自由に発言できるようになります。こうして、健全性にかかわる投稿が行われる可能性が見受けられるのだとか。

 第2に、フォローに伴う価値観が日本と海外ではやや異なるという話も出ました。いわく、日本では自分と相手の関係性ではなく、「その人の情報に価値を置く」ユーザーが多いとのこと。

 これは逆にいえば、フォローを外すことをためらわないユーザーが多い(=健全性に関係する)ことも意味します。米国ではお互いに本名が分かる形で利用する場合が多いため、「フォロー外し」はリアルな生活に影響を及ぼす可能性があり、それなりに決意をもって行う必要があります。それに比べ匿名同士であれば、ちょっと嫌に思われる程度で済むため、気軽にフォロー外しができたりします。

 最後に、ファン同士のつながりが強い点も挙げられました。国際的に見ると、例えば有名歌手などを直接フォローして、その著名人が何を言っているかを追うことが主流。一方日本ではファン同士のつながりが強く、そこから広がる連鎖的なフォローが目立つそうです。そうしてファン同士で仲が良いが故に、意見が違った瞬間に健全性にかかわるようないざこざ起きたりもするケースが紹介されました。


インセンティブにより健全性を高める

 今後、こうした健全性を脅かす空気をどうやったら改善していけるのでしょうか。記者側から出た「(Twitterでは)『怒り』のエネルギーが伝播しやすい」「怒りのエネルギーじゃないほうがインセンティブが大きい、みたいな誘導はできないものか」という意見に対して、コールマンさんは「『インセンティブ』という言葉が聞けたのは面白いですね。実はわれわれも社内でその言葉をよく使っています」と反応。

 インセンティブを与える方法として、既にいくつか試案があるそうです。1つは、どんなツイートを重み付け(Amplify)するか。通常はフォローしているユーザーのツイートしか見えません。しかしおすすめツイートや、検索で何を上位に表示するか、大量のリプライの中でどれを上位に表示し、何を下位にするのか。あるいは機械学習を用いて、違反アカウントと同様の振る舞いのアカウントを「Amplify」しない、といった施策を試みているそうです。

「インセンティブ」という言葉はTwitter社内でもキーワードとして使っているらしい

 また、「リツイート」や「いいね」には良い側面と共に、負の側面もあります。プロトタイプ版twttrであえてリツイートやいいね数を見せていないのは、「リツイートやいいねは必ずしも重要なインセンティブと考えていない」ためだといいます。

 もう1つ興味深い施策として、リプライを寄せられた側が生産性がないリプライだと判断した場合に、そのリプライを見えなくするという機能も紹介されていました(関連記事)。現在はカナダ限定で試験中というこの機能。「これがベストかは分かっていません」との前置きの通り、ひとまずはユーザーの感触を確かめている段階だそうです。果たして“クソリプ”撲滅の救世主となるのでしょうか。


 なまじ旧来のTwitterに親しんでいると、新機能が来るたびについ拒否反応を示してしまいがちです。とはいえそれがトライアンドエラーの一環なのだと思えば、試用してみるのも一興と思えるようになるかもしれません。今後のさらなる改善に期待したいところです。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  7. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  8. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  9. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. /nl/articles/2411/15/news132.jpg これ自宅なの!? 浜崎あゆみ、玄関に飾られたクリスマスツリーのサイズが桁違い 豪邸すぎてパーティー会場と間違われたことも
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた