電子戦や宇宙も視野に 令和初となった「総火演」写真100枚と映像で振り返る 「島の防衛」想定した作戦シナリオを展開(1/3 ページ)

令和初となった「富士総合火力演習」を写真と映像で振り返ります。

» 2019年09月09日 18時00分 公開
[戸津弘貴ねとらぼ]

 2019年8月25日、日本一の山「富士山」の麓にある東富士演習場(静岡県御殿場市、小山町、裾野市にまたがる一帯)で、陸上自衛隊による最大級の実弾演習「令和元年度富士総合火力演習」が開催されました。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ 2019年8月25日、令和初となる富士総合火力演習が行われました

 今回の総火演は新元号「令和」に移ってから初の実施ということもあってか、事前に行われた観覧チケットの抽選には約14万通の応募があったそうです。倍率はなんと約27倍! 当日の会場には、狭き門をくぐり抜けて、プラチナチケットを手に入れた人が集まり、戦車などの砲弾が発砲される轟音や衝撃波にどよめきをあげ、迫力満点の実弾演習を観覧していました。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ

 2019年の演習には、隊員約2400人が参加。戦車などの戦闘車輌およそ80両、火砲約60門、航空機約20機が使用され、それぞれの装備や機能などを紹介する「前段演習」と、仮想シナリオに基づいた模擬戦闘を披露する「後段演習」の2部構成で進められました。

富士総合火力演習ダイジェスト:戦車編

 前段演習では、榴弾砲や迫撃砲などの火砲から、ヘリコプターや装甲車、戦車などの装備の役割や性能を紹介。実弾演習ということで、本物の銃弾や砲弾を使ったデモンストレーションを披露しました。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ 総火演には岩屋毅防衛相も出席。演習内容を視察しました
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ

 2019年に制式採用したばかりの「19式装輪自走155ミリりゅう弾砲」も初公開。配備数が多く、運用するには隊員8人も必要だった牽引式りゅう弾砲「155ミリ榴弾砲FH70」に対して、19式はより少ない人員で運用できる点や大型トラックの免許で運転できるなどのメリットがあります。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ 初公開された19式装輪自走155ミリりゅう弾砲

 いわゆる自走式のりゅう弾砲としては、「99式自走155ミリりゅう弾砲」もあります。自動装填式でデータリンクに接続して正確な照準ができるなど高性能ですが、それゆえに高いコストがネック。しかも履帯(無限軌道)なので運搬にはトレーラーが必要でした。少ない人員で、高い機動性を持って運用できる19式装輪自走155ミリりゅう弾砲には、有事の際に効率的な活躍が期待されています。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ 「155ミリ榴弾砲FH70」を運用するには多くの人員が必要
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ データリンクに対応した「99式自走155ミリりゅう弾砲」は高性能ではあるものの、無限軌道タイプゆえに機動性は装輪タイプに劣る
富士総合火力演習ダイジェスト:火砲編

 続いて披露された後段演習は「島しょ部における統合作戦」をテーマに進行。島しょ部とは大小さまざまな島が点在する地域という意味で、離島に侵攻して占領を目論む敵にどう対処するかという内容でした。第1段階は島しょ部に配備した部隊で迎撃して侵攻を食い止め、第2段階では水陸機動団などの増援部隊による情報収拾や車輌、人員の展開を進めます。

 そして第3段階では、特定した敵陣地に戦車やヘリコプター、迫撃砲などで攻撃を加え、敵部隊を撃退するという、国土防衛を想定したシナリオで模擬戦闘が行われました。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ

 例年にはみられない特徴としては、陸海空自衛隊の統合運用による連携場面の強化や、陸海空に加えて、宇宙、サイバー、電磁波などの多領域を横断する様子が見られました。

 電子戦や電磁波攻撃への対処などは目に見えないので、状況をスクリーンに映して解説したほか、護衛艦による艦砲射撃や中距離ミサイルなど射程の長い装備を使用するシーンでもスクリーンと模擬射撃で代替するなど、広大な東富士演習場でも収まりきらないほどのスケールで展開されました。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ 会場に設置された大型モニターで車輌紹介から、戦闘状況の解説などが行われました
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ

 また、戦車や装甲車などの動きにも変化が見られました。これまでも総火演では、戦闘車輌が走行しながら射撃する「行進間射撃」は行われてきましたが、今回は複数の車両が連携して援護する、攻撃を交互に行う、援護射撃の中を陣地転換のために移動するなど、より実践的な内容で披露されました。

総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ
総火演 2019 写真 戦車 装甲車 ヘリ まとめ

 それぞれの動きがとても複雑で、発砲のタイミングなど決定的瞬間を取り逃がしてしまいそうになる場面もありました。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/18/news145.jpg “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
  3. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  5. /nl/articles/2412/17/news197.jpg 「巨大なマジンガーZがお出迎え」 “5階建て15億円”のニコラスケイジの新居 “31歳年下の日本人妻”が世界初公開
  6. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  7. /nl/articles/2412/18/news059.jpg 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開【大谷翔平激動の2024年 「妻の登場」話題呼ぶ】
  8. /nl/articles/2411/25/news189.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  10. /nl/articles/2412/18/news056.jpg 日本人ならなぜか読めちゃう“四角形”に脳がバグりそう…… 「なんで読めるん?」と1000万表示
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」