電子戦や宇宙も視野に 令和初となった「総火演」写真100枚と映像で振り返る 「島の防衛」想定した作戦シナリオを展開(2/3 ページ)
総火演に参加した注目装備をピックアップ
16式機動戦闘車(16MCV)は、履帯(無限軌道)の戦車と異なり、装輪(タイヤ)なので高い機動性を誇ります。軽量コンパクトなので、輸送機やフェリーでの輸送も可能。今回の演習シナリオでいえば、初期段階に行動する即応部隊の援護車輌としてだけでなく、戦車などが投入された制圧段階においても支援車輌として利用するなど、幅広い状況に応じた活躍に期待されています。
OH−6Dは卵型の可愛らしいシルエットをしたヘリコプター。1969年から調達されていたOH−6Jの改良版で、1997年から導入されています。非武装ながら高い運動性能を持ち、観測や偵察に使用されてきました。今回の総火演でもAH−1S(通称・コブラ)と一緒に飛行するシーンも見られました。シンプルな操作系で練習機としても愛用されてきましたが、老朽化や組織改編などの影響で2019年度末で退役の噂が流れており、今回の総火演が見納めになるかもしれません。
2019年の総火演は例年以上にヘリコプターが活躍しました。迫撃砲の展示では、120mm迫撃砲と牽引車両が、輸送ヘリコプター CH-47J (チヌーク)によって運ばれてきて展開するという状況や、バイクや高機動車などがヘリ輸送され前線に展開するなどより実際の状況を意識した演習となっていました。その一方で、観測ヘリOH−1(ニンジャ)や、AH−64(アパッチ)などが登場しなかったのは残念でした。
水陸両用車(AAV7)は主に水陸機動団に配備されています。海上を航行し、そのまま上陸して走行できる性能を有しています。災害時などでは瓦礫の浮かぶ海岸を航行して上陸ポイントを探し、そのまま陸上を走行して救援活動するなどの運用が想定されています。
隊員の輸送だけでなく、機関銃や自動擲弾(てきだん)銃などの武装で、降車した隊員を援護する支援車輌として活用することできます。今回の総火演では、侵攻された島しょ部への増援部隊として水陸機動団がAAV7で上陸、奪還作戦に参加するという状況を展示しました。
戦車などの主力装備が華やかに見える総火演ですが、そのすべてが戦闘用ではありません。散水車やグレーダー、ドーザーなどの施設車両(いわゆる工事用車両)といった影の立役者も見どころです。
演習を円滑に進められるように、戦車などの走行でえぐれた地面を埋めて整地する作業はとても重要。統制のとれた動きも一見の価値ありです。
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