数奇な運命の末に京都に戻ってきた「酒呑童子絵巻」 修復プロジェクトがクラウドファンディングで寄付を呼びかけ
修復後はオンライン上に公開され、自由に鑑賞できるようになるそうです。
江戸時代後期に作られたと思われる「酒呑童子絵巻」の修復プロジェクトの寄付を、立命館大学アート・リサーチセンターがクラウドファンディングで呼びかけています。この巻物は、絵巻作成技術がもっとも進んだ時代に制作されたため完成度が高く、現存する酒呑童子絵巻の中でもっとも豪華な作品の一つだそうです。
「酒呑童子絵巻」は、源頼光とその家臣らが酒呑童子という鬼を退治した物語を描いた物で、全5巻となっています。京都で作られたものですが、明治時代にウィリアム・ビゲローがアメリカへと持ち出し、ボストン美術館に納められました。その後、ビゲローの友人だったヘンリー・ロッジに譲られることとなり、ロッジの一族とともにベルギーに移動。第二次世界大戦のときは、ブリュッセルがナチス軍に占領されたため、ロッジの子孫はこの絵巻を含む財宝を秘密の倉庫に隠して避難しました。ナチス軍撤退後ロッジの子孫が戻ると、幸いにもこの絵巻物は略奪されておらず、ひっそり階段下の隠し場所に残っていたそうです。
修復後には、展覧会が開催される予定です。同時に、高精細デジタル画像をWeb上に公開し、誰もが鑑賞したり、クリエーター達が素材として利用できるようにするそうです。しかし、この巻物は制作されてから一度も補修されておらず、大変手間のかかる補修作業が必要になるため、多額の費用がかかります。そのため、クラウドファンディングで資金を募ることになったそうです。
本プロジェクトでは、Webページに名前を掲載することや、修復作業現場の特別見学会など、資金提供の額に応じて様々なリターンが用意されています。興味のある方は、是非Bluebacks OutreachのWebページで確認してください。
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