ニュース
» 2019年09月09日 07時30分 公開

広告代理店勤務の女性が漫画で告白 彼女を追いこんだパワハラと長時間労働の実態

命にかかわるほどの壮絶な話です。

[黒田順一郎ねとらぼ]

 広告代理店に勤務する女性が、自身が受けたパワハラを漫画にしてTwitterに投稿し、話題になっています。

生活が破壊されていく 小さな違和感から、生活が破壊されていくことに

 この漫画の作者は、広告女子ぱすた(@pastayade)さん。彼女がパワハラを受けるようになったのは、S先輩の下で仕事をするようになってからでした。

 ある日、先輩と残業をしていると、ふと声をかけられました。「なあ、ぱすた。ちょっといい? お前……やる気あるの?」。S先輩は成績がよくて人望もあつかったため、ぱすたさんは彼のことを尊敬していました。「すみません」と素直に謝ると、「ま、俺がお前をしっかりとしごいてやるから、ついて来いよ!」と、このときはまだ良い先輩だと思っていたそうです。しかしこのやりとりが、悪夢の始まりでした。

S先輩のチームに配属されたのがきっかけだった S先輩のチームに配属されたのがきっかけだった

 その後、ぱすたさんの生活から休みの概念が消えました。夜中の11時に「今から会社に戻るから打ち合わせな」と電話が来たり、午前2時にラーメン屋に連れていかれ「これ食って朝まで仕事な」と言われたり。無給での休日出勤を強要されたり、飲み会も仕事のうちと断れないよう追い込まれたり。

 数ヶ月もすると、頭の回転が鈍くなり、ミスも増えていきました。しかし、少しでも認めて欲しくて、ぱすたさんは毎日寝る間を惜しんで頑張っていました。

最初は、良い先輩だと思っていた 最初は、良い先輩だと思っていた

 ある飲み会の帰りぎわ。他の人たちと別れてから、先輩はぱすたさんにこのようなことを話しました。

 「お前がトイレに行ってたとき、さっきの人たち、お前の悪口言ってたぞ。お前が俺に仕事ブン投げて、俺が尻拭いしてるって。周りからはそう見えるんだよ。俺ももっとお前に厳しくしないとな」。既に夜中の2時をまわっており、連日の睡眠不足もあり眠くてしかたなかった状態で投げかけられた言葉でした。そしてその日から、S先輩のパワハラはさらに激しくなりました。

昼夜土日問わず、電話がかかってくる 昼夜土日問わず、電話がかかってくる

 退社するのは午前4時ですが、3時間後の午前7時にはまた出社しなければなりません。目は充血、食欲は減り、生理も止まってしまったそうです。仕事はどんどん雑になり良い企画も出せなくなって、悪循環に陥りました。

 もう何週間寝ていないかも分からない――限界が近づいていたころ、ぱすたさんは社外からとある電話を取りました。「すみません、御社のSさんの案件で、前払い金300万円が入金日を過ぎているのに支払われていないのですが……」。S先輩に電話を回したところ、彼はこのように返答しました。「すみません、この件はぱすたの担当だったんですけど」……。

 ぱすたさんは、この案件とはまったくの無関係でした。S先輩は、このことを局長にも報告し、完全にぱすたさんのミスとして責任を転嫁してしまったのです。さらに彼は、ぱすたさんが声をあげないようにと仲の良い役員のことも持ちだし口封じまでしました。

関係なかったミスを押し付けられたことがきっかけで、心身を壊した 関係なかったミスを押し付けられたことがきっかけで、心身を壊した

 以来、ぱすたさんは心身を崩して、S先輩のチームを外れました。ぱすたさんは現在も同じ仕事を続けているそうですが、チームから外れたのが幸いだったのか、今ではなんとか回復したそうです。しかし、その後S先輩の下についたぱすたさんの後輩が、さらに酷いパワハラを受けて、この春に退職しています。

 「少しでも、S先輩の様な人が業界から減ることを祈るばかりです」――漫画の最後は、この一文で締めくくられています。

 この壮絶な投稿に、たくさんの反応が寄せられています。「もしも私がその立場なら無断欠勤して逃亡してます」「残念ながら、こういう方は減らないですよね…。積極的に避けるしかないと思います」「これ本当の話なんですか!? 法律とかどうなってるんだろう」。ぱすたさんはまめに返信していて、仕事そのものは好きなこと、明らかに法律違反であっても社内では当たり前になっていること、当時はパワハラとすら気づかず、これが当たり前だと「洗脳されていた」ことなどをつづっています。

 2016年には、大手広告代理店「電通」に務めていた高橋まつりさんが過労を苦に自殺してしまった事件がありました。その高橋まつりさんの母親が、この漫画にコメントを残しています。「娘のことかと思いました。やる気あるの?ってところ以外まつりパターンとそっくりそのままです。(中略)部署異動になって良かったですね。就活生にも警告を」。

 また、ぱすたさんも次のように語っています。「各代理店に若手の友人がいますが、皆全く同じような経験をしているので、業界全体がそんな感じなのかもしれません」。いずれにせよ、同じような状況に直面している方は、このような労働が違法だということを認識したうえで、自分の体にとって最善の対処をしてください。

画像提供:広告女子ぱすた(@pastayade)さん



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/11/news037.jpg まるで絵画 SNSで公開された“世界屈指の美しい犬”の姿に「女神様」「サラブレッドのお馬さんかと」
  2. /nl/articles/2312/10/news033.jpg 捨てられて真っ黒だった元野良猫が、家猫になった今では…… 真っ白で幸せいっぱいの暮らしに「ほんときれいな美猫さんに」「胸が熱くなる」
  3. /nl/articles/2312/11/news030.jpg 猫たち、日常を写した1枚に爆笑ポイントを詰め込みすぎてしまう 108万件表示された光景に「猫4匹いる!?」「笑っちゃったw」
  4. /nl/articles/2312/11/news094.jpg ハロプロアイドル、自撮り加工での大失態暴露「最悪です」「あー恥ずかしい」 やらかし写真は投稿済でファンの反応まちまち
  5. /nl/articles/2312/10/news018.jpg 同居猫のおしりを嗅いで「テメェ屁こいたなぁ!!!!!??(怒)」と理不尽ギレする猫の姿に抱腹絶倒「夜中に爆笑させないで」「名作」
  6. /nl/articles/2312/10/news019.jpg 入院で2週間不在だったママを待ち続けた猫、再会の瞬間…… 涙を誘う喜びあふれる“お返事”に「深い絆に涙が」「嬉しさがひしひしと」
  7. /nl/articles/2312/11/news074.jpg ロッチ中岡、「エンゼルスの大谷翔平」をすべり込みセーフで撮影 “お別れ1時間前”の写真に「マジ? 奇跡だ」「さすがもってる!」
  8. /nl/articles/2312/08/news128.jpg 木村拓哉、「DA PUMP」ISSAとの舞台裏ショットが感動モノ「兄弟みたい」「泣きそうになる」 “縁のあるチームTシャツ”に反響「愛を感じます」
  9. /nl/articles/2312/11/news097.jpg King Gnu井口理、プライベートでスペイン旅→同行した“超大物”に驚きの声 「まさかの」「番組一本できるやつ!」
  10. /nl/articles/2312/11/news078.jpg 4児のパパ・岩隈久志、“スタイル抜群”と話題の長女が20歳バースデー 感慨深すぎる父娘ショットで「何歳になっても可愛くて」
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」