運行は「週1本」 ……は? それだけ!? なぜ? 超レアすぎる路線バスに乗ってみた【写真21枚】(2/2 ページ)
週1本の路線バス、「利用者がいない」わけではない
最初は週1本なんて利用客がいなさそう。大丈夫だろうか……などと思っていたのですが、国府津駅で一気に高校生の集団10人を含む14人の利用客が乗り込んできました。そこそこ需要がありながら、どうして週に1本だけの運行なのでしょうか。
実は国府津駅〜小田原駅間は平44系統を運航する神奈中バスの他に、箱根登山バスが1時間4〜5本も運航している区間。利用者は早く来た方のバスに乗るだけのこと、なようです。
さらに神奈中バスのWebサイトによると、週に片道1本のみが走るとある「緑町」バス停は、箱根登山バス、伊豆箱根バス、富士急バスの4社合同のバス停となっています。時刻表には時刻ではなく「7時〜20時台は1分〜15分間隔で運行」と書かれているほどでした。
終点のJR小田原駅着は7時53分。降りた人は6人でした。平塚駅〜小田原駅間まで乗り通したのはわたし1人でしたが、区間ごとの利用客はそれなりにいました。まったく利用客がいないので本数が少ない、のではないことが分かりました。
週1本だけ運行している理由は「免許維持」のため
神奈中の平44系統は、平塚駅〜国府津駅までは並行して他系統の神奈中バスが走っています。単独区間である国府津駅〜小田原駅間ではライバル他社のバスが多く走っており、本数や利便性の面で大きく見劣りします。あれば利用者はいるものの、失礼ながら「なくても困らない」といった感じでしょうか。
それならばなぜ、「わざわざ週に1本だけ」運行しているのでしょうか。
バス路線を営業するには、国土交通省に路線を運行する申請をし、沿道住民や警察との協議を経てバス停の位置を決める手続きが必要です。路線ごと廃止してしまうのは簡単ですが、もし将来復活させたくなったときにこういった手続きをイチからやり直す必要があります。ここにとても手間やコストが掛かるので廃止はできれば避けたいのです。
でも、路線バスの走っている実態がなければ「バス路線の免許が失効」してしまいます。そこで免許を維持するために最小限度の本数で走らせます。「免許維持路線」と呼ばれます。
もっとも、各バス会社が「これが免許維持路線ですよ」と公表しているわけではありません。極端に本数が少ないことを筆頭に、「そのバスしか走らないバス停がある」「他のバス会社の運行エリアと重なっている」などの特徴を持つ場合が多いようです。今回乗った平44系統と復路の平45系統も、恐らく免許維持路線の1つなのでしょう。
ちなみに、平塚駅−小田原駅間は、バスだと約1時間13分、運賃680円の道のりでした。JR東海道線ならば約21分で410円。早く安いのは鉄道です。
でもいいのです。週に1本しか運行しない超レアなバスで、早朝にのんびりと海沿いを移動するのも意外に心地よいものでした。東京近郊で体験できる「平44系統」で日常にまぎれた非日常の旅、皆さんも楽しんでみてはいかがでしょうか。
(少年B)
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バス停名の候補には「日本一の高いところにあるバス停」というのもあったとか。
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