今のギャグ漫画は「テレビを基準にするやり方だとちょっとまずい」――『トマトイプーのリコピン』大石浩二に聞く、「面白かったね」で終わらない方法(5/6 ページ)
――「バズる」という意味では、「ジャンプ+」連載なのに、講談社の「週刊少年マガジン」編集部に突撃した回(第41話「出版社見学に行こう」)は、公開直後からものすごくバズって話題になりましたね。ライバル誌をがっつり宣伝するという、出版社の枠組みを超えた以上のコラボは本当に驚きでした。
『いぬまる』が終わって休んでた時に、いろんな出版社から声をかけていただいたんですけど、その時に講談社の方とお付き合いができて。「次もジャンプでやりたい」って思ってたんで、お断りしてたんですけど、それでも何カ月かに1回連絡をくださってたんです。そこで、せっかくだから講談社への取材も兼ねて、『リコピン』のネタにしたいと思って、ダメ元で「講談社使っていいですか?」って聞いたら、「がっつりやりましょう」ってことになりました。
――おお、意外にもあっさりと……! 逆に集英社側でNGってことはなかったんですか?
ジャンプ+副編集長・中路氏 全くなかったです。できるんだったら全然OKで。僕も講談社見てみたかったので。
――両出版社の偉い人たちの間で、実現に向けてもっとけんけんごうごうのやりとりがあったのかと思ってました。
意外とハードル低くて、みんなやろうとしないんだけど、実はやれたんですよね。
――うーん、ひょっとすると「こんなことできない、無理だろう」って、最初から決めてかかる自分の中の思い込みの方が大きなハードルなのかもしれないですね。
取りあえず何でも言ってみて、担当さんからダメっていわれたらダメって感じですね。そういう誰かがいるから、無茶なこともいえるし、止めてもくれる。逆に止められない限りはやってもいいかなって。
――そうすると、担当さんの判断が重いですね……。
中路氏 ネタが上がってくるのが直前ってこともありますけど、基本自分からNGは出さないようにしています。
――講談社見学回はさっき挙がった冨樫先生の『レベルE』のように、ちゃんと読めば最初から仕掛けに気付けるようになっている構成も素晴らしいと思いました。
最後の講談社グッズプレゼントも含めて、取材するときから「こうするしかない」って思いました。ページをめくるたびに気付く人のパーセンテージがちょっとずつ上がるよう、段階的に気付くポイントを増やす構成をがんばってって感じで。
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