アニメ制作企業、平均売上高が2年連続プラス成長 一方で3割が赤字
当面は堅調ですが「安定した利益確保が必須」との指摘。
帝国データバンクが発表した「アニメ制作業界動向調査(2019年)」によると、2018年(1月〜12月期)のアニメ制作企業の平均売上高は8億4300万円(前年比+8.1%)と、11年ぶりに2年連続で前年を上回りました。ピーク時の2007年(9億9200万円)の8割超の水準まで回復しています。
今後も日本アニメの人気を背景に堅調に推移すると予測していますが、その一方で「国内ではアニメーターの不足感が高まるなかで、自社での人材育成や設備投資による生産性の向上、単価交渉などによる、安定した利益確保が必須となる」と指摘しています。
売上高の合計は約2132億円と、11年から8年連続で前年比プラス成長を維持し、過去最高を更新しました。人材不足や外注費の高騰が続いたものの、制作量を確保したことで大手を中心に業績が回復、底上げにつながったとのことです。
制作態様別の平均売上高では、制作を直接受託・完成できる「元請・グロス請」が16億6300万円(+8.0%)。映像配信が好調だったほか、テレビアニメや劇場作品でヒット作品が相次いだことが影響したとのことです。
下請けとして携わる「専門スタジオ」の平均売上高は2億7700万円(+10.5%)と、6年ぶりの2年連続プラス、12年ぶりの2桁成長でした。競争が激しい中、総じて手がける作品が多かったことや、受注期間のタイトさなどを理由に元請けから比較的高単価で受注できた専門スタジオが多かったとしています。
利益面では、前年比プラスの「増益」だった企業が48.5%だった一方、マイナスだった「減益」企業が49.5%と、ほぼ拮抗。特に専門スタジオでは「減益」が54.7%と半数を超えており、「専門スタジオでもアニメーターの正社員化や育成が進む中、投資が先行する一方で収益化に至らず、減益に転じたケースがみられた」とのことです。
この結果、最終損益が赤字だった企業は30.4%を占め、3年ぶりに増加。過去10年間で最も高い割合になりました。
また、18年に倒産・休廃業・解散が判明した企業は、「ハイスクール・フリート」などを制作していた「プロダクションアイムズ」など合計11社となり、過去最多を更新しました。近年の特徴として「請負単価の低下などで売上高が減少したほかに、人材不足による人件費、下請業者などへの支払い費用が増大し、資金繰りが行き詰まったケースが多い」としており、人材不足で業況を拡大できず、事業継続を断念した企業もあるとのことです。
当面は堅調な推移を予測していますが、安定した利益確保に加え、たびたび指摘されているアニメーターの労働環境の改善なども急務になると指摘しています。
また、7月に起きた京都アニメーション放火事件について「アニメーターを始めとする人材喪失、制作資料などの物的損失は同社のみならず、日本アニメ文化にとって大きな痛手」だとして、業界全体の動向を注視する必要があるとしています。
関連記事
- 「出版社以外」からの収入のほうが大きくなった──うめ小沢高広さんに聞く「いま漫画家デビューを狙うならこうします」
『東京トイボクシーズ』などの作品で知られ、早くからKindle配信などに取り組んだ「うめ」の小沢高広さんに、今どきの漫画家の仕事について聞いてみました。 - 「諸悪の根源は製作委員会」ってホント? アニメ制作における委員会の役割を制作会社と日本動画協会に聞いた
製作委員会ってそもそも何をする組織なの。 - アニメ会社「リテイクが直らなかったら50%減額」 その発注書大丈夫? アニメ会社、日本動画協会、JAniCAに聞いた
どうなのでしょう。 - アニメ会社の辞めどきは―― 業界歴10年の元アニメーターが伝えたいこと
これからアニメーターになりたい人、これからアニメーターをやめたい人に。 - 日本過酷すぎぃ! フランスのクリエイターが語る高待遇な海外アニメ業界
日仏で活躍するクリエイター、吉田クリストフさんに聞いてみました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
-
サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
-
「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
-
「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
-
【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
-
授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
-
高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
-
小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
-
考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
- 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
- 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
- チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
- 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
- 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
- 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
- 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
- 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」