「お菓子の下に金貨があった」関西電力役員への金品、小判や金の延べ棒も 「悪代官かよ」とネット仰天
ただし悪代官はどっちだ問題が浮上。
関西電力(関電)の役員が福井県高浜町の助役から金品を受け取っていた問題で、関電は10月2日、記者会見を開き、金品には小判や金貨が含まれていたことを明らかにしました。金品は菓子など土産物の袋の底に見えないようにして渡されるケースが多かったといい、「悪代官かよ」とネットではあきれる声が広がっています。
この問題は、関電の役員ら20人が、高浜原子力発電所がある福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていたというものです。
第三者委員会の調査結果として関電が公表した報告書によると、元助役から渡されていたのは現金や商品券のほか、米ドルなど。中には「小判型」を含む金貨や金杯、金の延べ棒(500グラム)も含まれていました。調査報告書では、受け取った20人の氏名と金品の内容を公表しています。
元助役は、「手土産」「昇進祝い」などとして、関電役員との面談や会食の席のほか、関電役員の自宅訪問や郵送などで金品を渡していたとのことです。
その際、「菓子等の土産物の袋の底に見えないように金品を入れて渡されるケースが多く、昇進祝いの場合等は金品を包んで手渡されるケースもあった」とのことです。150万円相当を受け取った関電の岩根社長は、記者会見で、「お菓子なのかと思っていたら、下に金貨があって驚いた」と述べています。
関電の報告がネットに伝わると、「お代官さま、山吹色のお菓子でございます」「(お菓子の下に小判を見つけ)ほう、●●屋、おぬしもワルよのう」「お代官さまこそ」「わっはっは」──という時代劇の悪役あるあるシーンを思い浮かべた人は多かったようで、「『おぬしもワルよのう』は実在したのか」「現代版の悪代官」「この場合どっちが悪代官なんだ」といった感想がTwitterなどに次々に投稿されています。
渡された金品の大部分は返却されていますが、一部は使われたものもあったということです。
返そうとすると「ワシを軽く見るなよ」と激高した元助役
報告書によると、元助役は金品を渡す際に工事発注など個別の案件について要求をすることはなく、関電役員側も工事発注などで便宜を図った事実は認められたかったとしています。
元助役が金品を渡す狙いについて、役員の1人は「多額の金品を相手に渡すことで自分を大きく見せようとしていた」「元助役が重視する『礼儀』の実践」「自分を中心とする人的ネットワークの維持」が狙いであり、「自己顕示欲の表れだった」と感じていたとのことです。
関電役員の多くは金品の返却を申し出たものの、元助役は「お前、誰に向かって言うてんねん、そんなこと言わんと受け取れ」「なぜワシの志であるギフト券を返却しようとするのか、無礼者。ワシを軽く見るなよ」などと激高。報告書は元助役について「感情の起伏が大きく対応が非常に難しい人物」だったとしており、関電の役員と社員に対し「お前は何様だ」「お前なんかいつでも飛ばせる」といった暴言、恫喝を日常的に加えていたとのことです。
859万円相当を受け取っていた関電の八木誠会長は、元助役について、「高浜地域全体に対してしてこの方の発言力は大きく、われわれもこの方の協力を得ながら高浜発電所を運営してきた。この方の動きを非常に敏感に感じていたのは事実で、過剰に反応している面もあったのかもしれないが、この方の高浜地域における影響力は大きかった」と述べています。
こうしたこともあり、関電の役員個々人が金品を直ちに返却することは「現実の対応上、歴代対応者が積み重ねてきた対応実績も踏まえると相当困難であったことが認められる」と報告書は指摘しています。
会社での対応を求めた職員もいたとのことですが、「先輩や上司から個人で対応するほかはない」と指示された結果、金品全てに渡された日時をメモし、わざわざ貸金庫を借りるなどして対応した挙げ句、税務上の問題を指摘されて多額の出費を余儀なくされた担当者について、「むしろ同情さえ禁じ得ない」と報告書は記しています
報告書は「早期に会社なり組織としての対応がなされるべきだったのは明白」と断じ、解決を個々人の判断に委ねてきたのは「関電の官僚主義あるいは前例踏襲主義の現れ」として非難を免れないと指摘。「事なかれ主義というべき会社の体質の問題」の改善と対策を急ぐべきだとしています。
関電は新たな調査委員会の設置を発表。本件に加え、類似の事案などがないか、徹底的に調査し、信頼回復に努めるとしています。
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