高畑充希「同期のサクラ」今後の展開を徹底予想 鬱陶しがっていた同期が「サクラのいない世界に生きててもしょうがない」と思うまでの10年を描く(1/2 ページ)
百合、葵、菊、蓮……花の名前の同期たち。
10月9日に「同期のサクラ」(日本テレビ系)の第1話が放送された。令和に至るまでの10年を描くこの作品、登場人物に共感するというよりも、見守っていく物語になりそうだ。
融通の効かない高畑充希にブチ切れる橋本愛
病院のベッドに横たわり、意識の戻らない北野サクラ(高畑充希)の周りに、会社の同期、月村百合(橋本愛)、木島葵(新田真剣佑)、清水菊夫(竜星涼)、土井蓮太郎(岡山天音)が駆けつけた。4人の思いは皆一緒だった。「サクラのいない世界に生きていてもしょうがない……」。
その10年前の2009年、大手ゼネコン・花村建設の新入社員となったサクラは入社式で、社長(西岡徳馬)のスピーチに「話が長いと思いました」と発言し、周囲を唖然(あぜん)とさせていた。
式の後、新人研修の課題として「日本の未来に残したい建造物の模型作り」が発表される。サクラはなぜかリーダーに選ばれ、百合、葵、菊夫、蓮太郎と同じ班になった。4人を親睦会に誘ったサクラは、故郷の離島に橋をかける仕事に関わるため、どうしても土木部に入りたいのだと自分の夢を語る。結果、5人はサクラの故郷にかける橋の模型を作ることになった。
しかし、サクラに絵心がなく、彼女が描いてきたスケッチは散々なもの。サクラのイメージを聞いて代わりに蓮太郎が図案を描き起こすが、なかなか納得しないサクラは何度も蓮太郎に手直しさせた。さらに「橋があるのに島がない」「人と車がない」と指摘し、空気を読まずに他のメンバーを振り回し続けるサクラ。そしてようやく模型が完成すると、今度は「耐荷重が足りない」と言い出し、締め切り前日なのに他のメンバーにやり直しを迫った。堪忍袋の緒が切れた百合は「そっちに振り回されるたびにこっちがどれだけ迷惑してるかわかってる!?」とサクラを怒鳴り、他の3人からも同意見と告げられたサクラはそのまま帰宅した。
審査会当日、サクラの姿がない。そんな中、人事部長の黒川森雄(椎名桔平)から橋の模型の耐荷重について質問されたメンバーの表情に焦りの色が浮かんだ。その瞬間、作り直した橋を持参したサクラが到着。黒川が指で橋を押すと、その模型はしっかり重さに耐えられるよう製作されていた。しかし、この模型は社長賞を獲得できず。サクラは結果に異を唱え、「賞に選ばれた商業施設の模型は社長が10年前に手掛けたプロジェクトにそっくりで、忖度で選ばれたのではないか。社長賞はA班の保育園がふさわしい」と主張した。黒川から「班としての意見か、君個人の意見か」と尋ねられたサクラは「私個人の意見です」と回答。後日、サクラの配属先は「人事部預かり」と発表された。
「過保護のカホコ」のパラレルワールドではない
キャラクター的に、かなり既視感のあるドラマだ。主演・高畑充希、脚本・遊川和彦の組み合わせは2017年の「過保護のカホコ」(日本テレビ系)を思い出すし、誇張された高畑のロボット的な演技はカホコを彷彿(ほうふつ)とさせる。まるで、「過保護のカホコ」のパラレルワールドを見ているよう。「カホコ、就職したんだー!」と感慨にふけったり、いつかサクラが「すっばらしい!」と言い出しそうな気がしてしまうが、別作品である。
この10年には東日本大震災がある
このドラマの特徴は、「1話で1年を描く」というコンセプトになっていること。最終話になるであろう10話が現在で、初回は10年前の2009年である。つまり、サクラが入社してからの10年の軌跡が1クールかけて描かれていく。この形式は1992年に放送され、遊川が脚本を担当した「十年愛」(TBS系)と同じだ。
新人研修で橋の模型を作ることになったサクラたち。全く妥協せず、なかなか帰らせてくれないサクラに百合は物凄い剣幕でキレた。
「いいかげんにしてくんないかなあ。そっちに振り回されるたびに今までこっちがどれだけ迷惑してるかわかってる!? どんなときも妥協せず自分の信念まっしぐらみたいなこと言ってっけどさ、組織に入ったらそうはいかないの。上司の理不尽な命令やクライアントのわがままなオファーに従わなきゃならないの。それが大人になって働くってことなの。この際だから言っとくけど、私たちはあんたのこと仲間とか思ってないから。ただの同期入社で、たまたま班が同じになっただけ。私たちのこと仲間とか言わないでくれる?」
「同期のサクラ」は、サクラ以外の同期4人に目が行く。10年後の現在、意識を戻さないサクラを囲む4人は「私たちはあなたがいない世界なんかに生きていたくない」と言った。2019年の4人は、サクラに多大な影響を受けているとわかりやすく描かれていた。場の空気を読むタイプだった百合は道を邪魔する若者を注意し、蓮太郎は会議が終わりの雰囲気になっても妥協しようとせず、菊夫は関わった人たちを仲間と認め、葵は再開発計画の説明会で「私には夢があります」と声高に語り始めた。サクラを鬱陶しがっていた4人がこの10年で彼女からどのように影響を受け、なぜ「サクラのいない世界に生きていてもしょうがない」とまで思うようになったか。「人と違うから」「空気を読まないから」「一生懸命だから」というありきたりな理由じゃなく、もっとすごく大事なことがあったのだと期待し、これからの10年分に付き合っていきたいと思う。
また、10年の軌跡で起こる変化はサクラにとっても無関係ではないはず。入社早々、百合と衝突し、同期から融通の効かなさを指摘されたサクラ。でも、この点に関して彼女は決して変人ではない。あのサクラと同じ年齢だった頃、果たして我々はどんな人間だったろう? 振り返ると、恥ずかしくなる思い出ばかりだ。だから、歳を重ねた10年の間にサクラも成長を見せる気がする。
令和に至るまでの10年、この国には東日本大震災が起こった。サクラたちが入社したのは大手ゼネコンだ。2011年、つまり第3話が1つのキーポイントになると予想している。
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