日本一貧乏な観光列車「ながまれ海峡号」の1回しか出ないメシで満腹になってやったぜ:月刊乗り鉄話題(2019年10月版)(1/5 ページ)
はるばる来たヨ函館ェ〜 おいおいおいおい……! 1回だけれど「4時間食べ続ける」旨すぎる列車でした。【写真40枚】
北海道、函館と言えば、いまも歌い継がれる演歌の名曲「函館の女」。北島三郎さんの大ヒット曲です。2019年現在の東京駅〜函館駅間は東北・北海道新幹線で約4時間半。「はるばる」してませんね。飛行機ならフライト時間は約1時間20分。函館は近い!
函館の名物といえば函館山の夜景、路面電車、ラッキーピエロのハンバーガー、ハセガワストアーのやきとり弁当、五稜郭、函館朝市など、たくさんありますね。
その函館には、日本一の栄誉に輝いた観光列車があります。道南いさりび鉄道の「ながまれ海峡号」です。関係者が「日本一貧乏な観光列車」と自虐的に紹介しています。ややこしいですが「日本一貧乏の栄誉」ではありません。優れた鉄道企画旅行を選ぶ「鉄旅オブザイヤー2016」でグランプリを獲得した正真正銘の日本一になった列車(の旅)です。
もう少し説明したいところですが、まずは列車に乗りましょう。
「ながまれ海峡号」は旅行会社主催のパッケージツアーで運行します。集合は函館駅の改札口前。案内係のお姉さまに参加証の缶バッジをもらって、ガラス張りのコンコースを歩いて行くと、ネイビーブルーの気動車が待っていました。銀色の細い帯の上下に、オレンジやイエローの円が並びます。なるほど、これは「水平線と漁り火」ですね。銀帯が途中で上へふくらんでいます。これが函館山かな。窓の上には無数の星、北斗七星もあります。
乗り込むと、まずは大漁旗が出迎えます。漁師町のおもてなし。そして飾り付けはモミジですね。すっかり秋の色。よく見るとオレンジ色のイカが混じっている。白いぬいぐるみもぶら下がっています。これはご当地キャラの「ずーしーほっきー」さんです。ホッキ貝のにぎり寿司をモチーフにしているそうで、おなかのポツポツは米粒を現しています。
シートは4人掛けのボックスシートとロングシート。JR北海道のディーゼルカーとしては一般的な配置です。ただし、全ての座席にテーブルが取り付けられています。このテーブルはパタンと開くと面積が倍になります。良くできてるなあ。車両を普通列車として使う時は、テーブルを取り外します。
15時51分。函館駅を発車します。走り出してすぐの車窓右手に道南いさりび鉄道の本社があります。各部門の社員さんたちが手を振ってお見送りしてくれました。こちらも手を振って応えます。
車窓左側は線路だらけ。函館駅は貨物列車の拠点です。青函トンネルを通り抜けた貨物列車が到着し、機関車を付け替えて道内各地に旅立っていきます。その広い構内を、たった1両のディーゼルカーが進みます。隣の五稜郭駅のそばには機関車の基地もあります。ふふ、乗り鉄的には海よりも山よりも良い眺めなのであります。
五稜郭駅を過ぎると線路は二手に分かれます。右に分かれていく線路は函館本線です。北海道新幹線の新函館北斗駅方面、その先に札幌駅。道内各地につながります。
私たちの列車は左の線路へ。こちらが「道南いさりび鉄道」です。函館湾と津軽海峡を望み、37.8キロ先の木古内駅まで運行しています。「ながまれ海峡号」は、木古内駅までの全線を往復します。函館駅に戻る時刻は19時47分。約4時間の旅です。料金は9800円〜1万1800円で、座席と人数によって変わります。ボックス席は2〜4人のグループ向け。ロングシートは、1人または5人以上のグループ向けです。
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