台風でイベントが中止になったら、参加者はどうすればいいの? 「COMIC CITY SPARK14」振替対応、赤ブーと弁護士に聞いた(3/3 ページ)

» 2019年10月26日 19時57分 公開
[小林夏帆ねとらぼ]
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――イベントの参加要項に「天災による中止の場合も返金しない」と明記されている場合、消費者契約法に反するという指摘があります。こうした場合、主催の規約と法律ではどちらが優先されるのでしょうか。

 私たちの一般的な私生活に関する法律関係については、私たちの意思によって決めることができるという考え方をとっています。そのため、契約をするのかしないのか、するとしたら誰とどのような内容・方法でするのかといったことについて自由に決めることができます(契約自由の原則)。

 今回の「COMIC CITY SPARK14」のケースですと、サークル参加者は「天災等の不可抗力によりイベントの開催を中止する場合、既納金を返さない」という内容についても納得した上で、参加の申込みをして契約した以上、返金が認められないのが原則です。

 ただ、何が何でも契約自由だということを認めてしまうと、持ち合わせる情報の量・質、交渉力に劣る消費者にとって不利益が大きくなります。そこで「消費者契約法」によって、一定の制約を加えています

 この消費者契約法では、消費者の利益を一方的に害する条項について無効とすることで、消費者を保護しようとしています(消費者契約法10条)。これにより、民法などの一般的な規定によって判断される結果と比べ、契約条項によって判断される結果が権利を制限していたり、義務を重くしたりしている場合に、事業者の不利益と消費者の不利益とを比較して、消費者の不利益の方が信義や誠実に照らして大きいといえる時は、契約条項の効力を否定し、消費者を保護することが可能です。

 台風という自然災害によってイベントが開催できず中止となった場合、民法の規定によると、主催者は参加者から参加料をもらえず、既にもらっているお金は参加者に返すことになります。この結果と比べると、契約条項によって、既納金を一切返さないとすることは、参加者のお金を返せという権利を制限していると考えることができます。そして、参加者はお金を返してもらえないという不利益を受けています。

 一方、主催者としても、イベントにあたって会場や人の準備にかかった費用を回収できないという不利益があります。この両者の不利益を比べたとき、一部返金なども受けられないという場合は、参加者の不利益の方が大きいと言えます。そのため、既納金を一切返さないという規定は、消費者契約法10条によって無効とされ、法律の規定が優先されると考えられます。

――中止に伴って、振替イベントの開催や、別のイベントに振替できるコードを発行するなどの対応がなされた場合は、参加者は返金を求めることができるのでしょうか。

 主催者がそのような対策を取った場合、参加者の不利益の方が大きいとはいえない可能性があります。この場合、たとえ返金がないとしても、それに代わる措置をとることで、消費者の利益を一方的に害するとは言い難いからです。

 このようなケースだと、参加者は返金を求めることができない場合もあります。

――もし、天災などの不可抗力でイベントが中止になり、主催者が振替も返金といった対応を一切行わない場合、参加者はどのような手段をとればいいのでしょうか。

 参加者は、主催者に参加料やチケット代の返金の連絡をして、主催者と話し合いを進めることになります。その際は、後で言った言わないといった紛争を避けるために、書面でのやりとりをおすすめします。

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