泉佐野市、ふるさと納税からの除外取り消しを求めて国を訴える 「過去にさかのぼって法的規制しているのと同じ」

制度設計が甘かったという総務省のミスを自治体に転嫁している、という主張です。

» 2019年11月01日 17時02分 公開
[ねとらぼ]

 大阪府泉佐野市は11月1日、総務省がふるさと納税制度から同市を除外したのは違法だとして、高市早苗総務相を相手取り、除外の取り消しを求める訴訟を大阪高裁に起こしました。

フォト 泉佐野市は旧制度の5月31日まで“駆け込み”キャンペーンを実施した

 同市の除外については、第三者機関の「国地方係争処理委員会」が9月、違法の恐れがあるとして除外を再検討するよう総務省に勧告したものの、総務省が除外を継続したため、泉佐野市は提訴に踏み切りました。

 泉佐野市の千代松大耕市長は「国の省庁が中立・公平な第三者機関から違法性を指摘されておきながら、そのような状況を維持するということは、自らのメンツだけを守ろうとする身勝手な考え方であり、社会的にも教育的にも悪影響が大きく、地方自治の存続を危ぶませる」とコメントしています。

 改正地方税法に基づく6月からのふるさと納税新制度では、返礼品は「調達額が寄付金の3割以下の地場産品」に限定し、「返礼品を含む経費の比率を寄付額の50%以下にする」などと定めました。その上で、自治体からの事前の参加申請を受けた総務省が審査し、対象自治体を指定する形になりました。

 この結果、これまで高額な返礼品で寄付を集めてきた泉佐野市など4市町について、総務省は新制度の対象から除外を決定していました。

フォト 泉佐野市など4市町が新制度から除外された(総務省のニュースリリース)

 旧制度でも総務省は返礼率などについて通知を出して自治体に守るよう促していましたが、泉佐野市は「地方自治法上、通知は「技術的助言」であり、法的拘束力はなく、従うか否かは自治体の任意だった」と主張。旧制度では返礼品について法的規制はなく、除外決定は過去にさかのぼって法的規制を適用しているのと同じであり、国は裁量権を逸脱しているとも主張しています。

 訴状で、泉佐野市は阿部泰隆 神戸大学名誉教授(行政法)のコメントを引用しています。阿部名誉教授は、

もともと制度設計の時に、良識ある行動に期待するなどと言っていないで、このような事態を想定してあらかじめきちんとした競争ルール(違反の場合の資格はく奪・復権のルールも)を定めておくべきであったのである。

そして、国と地方の関係も2000年の分権改革により法治国家となった以上は、総務省は、この事態が望ましくない、地方財政法に違反すると思うのであれば、何度も助言などしていないで、早急に立法化すべきであった。仮に最初はこうした事態を想定できなかったとしても、その兆候が現れたら、何年も技術的助言をしていないで、直ちに法制度を構築して、事後の進展を防止すべきであった。

ふるさと納税の競争激化は、これまでの法制度では許されていたのであり、総務省が、それを傍観せざるを得なかったのは、先を読まず、まっとうな法制度設計をしなかったためである。それなのに、総務省は、禁止できなかった過去の行動について、今回、事後に、これからも指定しないという理由としているのである。これは総務省の立法作業の不備を、その当時の法制度の中で許された行動をした地方公共団体に不利となるように転嫁したものである。それは一種の禁反言の法理にも触れるものである。

──と述べています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2505/19/news109.jpg マクドナルド、ハッピーセットの「早期終了」を発表 横行する転売――モラルのない行動に第2弾販売への不安広まる
  2. /nl/articles/2505/17/news021.jpg 50年間放置して“ジャングル化”したおばあちゃんの家 → 掃除したら…… “木の中から現れたもの”が170万再生 「予想を超えた」「ブラボー」【海外】
  3. /nl/articles/2505/18/news010.jpg 日本人のママと米国人のパパが国際結婚→生まれた子どもは…… 290万再生の“まさかの現在”に「びっくりしました」「心温まる」【海外】
  4. /nl/articles/2505/14/news157.jpg Nintendo Switch 2の抽選に当たったのはいいけど…… “とんでもないミス”に1800万表示の絶叫「やべえええ」「めっちゃ笑った」
  5. /nl/articles/2505/16/news171.jpg 1室1万円“忘れられた別荘地”、1DKアパートのドアを開けると…… まさかの光景に「すごい」「驚きました」
  6. /nl/articles/2505/13/news026.jpg 「購入して大正解」 ワークマンの“1780円最強暑さ対策ポンチョ”に称賛続出 「文句なし」「ずっと販売して」
  7. /nl/articles/2505/15/news035.jpg “1K8.5畳”の新居を一人暮らし男子が模様替え→1年後…… 「もうホテルやん笑」生まれ変わった空間に驚き「こんな部屋に住みたい」
  8. /nl/articles/2505/17/news037.jpg 水族館で夫が撮った妻と息子のショット、見返そうと思ったら…… 妻の予想外すぎる姿に「コーヒー吹いた」「これはさすがに王騎将軍もびっくり」 投稿者に話を聞いた
  9. /nl/articles/2505/18/news030.jpg 「アムロ専用ザクか……」 ガンダムが奪われた世界でアムロが乗る機体を“妄想したガンプラ”に反響 「すごく“ありそう”」
  10. /nl/articles/2505/16/news148.jpg マクドナルド、「ちいかわ&マイクラ」ハッピーセット→即日売り切れの店舗も…… 対策とるもフリマサイトに転売「早速転売ヤーの餌食に」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 急性骨髄性白血病で闘病中だったVTuber、死去 「復帰を目指して闘病」 専門学校の講師としても活動
  2. 万博の“着物ショー”に天皇陛下だけ許される「装束」登場で物議…… 「深くお詫び」主催者謝罪
  3. 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」 投稿者に話を聞いた
  4. 大人なら解けないと恥ずかしい? 「(1/8)−(1/8)」を計算せよ!【算数クイズ】
  5. 「女の子みたいな顔だね」と言われ続けた男の子、20歳になったら→「神がかってる」姿に驚がく 「人体の不思議」「オーラが凄い」
  6. 使わなくなったカラーボックス→“ずぼらシンママ”が簡単DIYしたら…… 天才的な仕上がりに「かしこーい!!」「これ作ってみよう」
  7. クリスマスに出会ったギャルとギャル男が21年後…… 誰も予想できない現在に「素直に凄い」「人に歴史あり」と称賛の声
  8. カルディ全店で販売の生ハムから「サルモネラ属菌」検出…… 「心よりお詫び」7万個自主回収
  9. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「待ってました!」 人気作の登場に混乱の懸念も「すぐ売り切れそう」「初週ヤバいぞ」
  10. お隣さんから丸見えの土地→巨大ウッドフェンスを7日かけてDIYしたら…… 雰囲気ガラリで「すごい大作ですね」「ワクワクした」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 築53年家賃4万円・何てことない団地のドアを開けると…… まさかの空間出現に驚きの声「素敵」「ここまでお洒落に」
  2. 小学生時代「こんなプラモ誰が買うんだよw」→40年後…… “大人になった”を実感するエピソードに「分かる」「特大ブーメランw」
  3. 49歳病没の大宮エリーさん、生前開催の個展で「体調も万全でなかったので不安」 3カ月前には苦しげな姿も「声が出にくい」
  4. 自販機に“1000円”を入れたら……? 出てきた“とんでもないお釣り”にお口あんぐり「こんなん初めて見た」
  5. 自宅の犬小屋に住み着いた野良猫、1年後の姿に「泣いた」と大反響 それからどうなった?現在の様子を聞いた
  6. 100万円の“錦鯉”を自宅の池に入れたら…… 「おかしいでしょ」3日後、まさかの事態に「鯉は難しい…」「信用が大切ですね」
  7. パパに、保育園へ行く娘のヘアアレンジを任せたら…… ママがひっくり返った“仕上がり”が400万表示「重力どこ?」「頑張った感がいい!」
  8. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  9. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  10. 「神パンツきた」 ユニクロ新作“3990円パンツ”が品切れラッシュの大人気 「過去イチかも」「本当にこれは買い」