「どれだけ研鑽を積めばウメハラの領域にいけるのか」 東大卒プロゲーマー・ときどが語るeスポーツ界の新たな課題と“最強”への道筋(3/4 ページ)

» 2019年11月02日 13時00分 公開
[イッコウねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

――では他に「10先でケリをつけたい」と思えるようなプレイヤーはいますか?

ときど:(少し考えてから)……いない、ですね。

――……梅原さんとはもう一度10先で戦いたいわけですよね。

ときど:梅原さんとはやりたいです。


ときど 即答でした

 10先でケリがつくか分からないですけど、お互いが納得した組み合わせで、僕が殺してきてしまったような亡霊に「お前こういう良いプレイをするようになったんだな」と思わせられる相手が、梅原さんしかいない。梅原さんは僕が機関銃でバンバン撃っていた中を、日本刀一本で斬り抜いてきたような人ですから、1度でも10先で勝つことができれば……僕にとっては自信にもなりますよね。



「勝てないプレイヤーは、一つのタイトルに絞っているプレイヤーだった」

――プロゲーマーになった当初と、キャリアを重ねた今とで変化はありますか?

ときど:プロゲーマーになった当初は、ほとんどそれまでと考え方は変わっていなかったんですよ。でも、「結果が振るわなくなったな」と自覚したときに取り組み方も、ゲームへの考え方も大きく変わりましたね。

 昔はゲームを深堀りしつくせてなかったんですよ。かつてのゲームセンターにあったような「こいつにだけは負けられねえ」と考えて一つの組み合わせを詰めていくような雰囲気も知ってはいましたが、もともと大会で勝つために満遍なく対策して強いキャラを使って効率良く勝つというスタイルでやってたんです。でも、それが逆に勝てなくなったんですよね。

 効率良く勝つということは、表面上の知識を頭に入れてそれをベースにして戦うってことだったんですが、そういったものは他のプレイヤーでもマネしやすい。当時はプロも珍しかったのでそういった点をいち早く押さえることで勝っていたんですが、プロが増えてくるとそういう部分は当然抑えた上でプラスアルファで勝負する時代が来て、そこで勝てなくなったんです。


ときど

 当時は原因に全然気付かなくて、ただ“勝てなくなってきている”という事実だけがのしかかってきて。どうしたもんかな〜と思っていたんですけど、色んな人と長期戦で戦うように練習してもらうようにして、徐々に弱点を払拭していった。

 以前は複数のタイトルをプレイしてたんですが、まぁ当時は全体のレベルも低かったので大会に出ても割と楽にTOP8くらいには入れてたんです。でも、僕が「勝てない」と思わされるプレイヤーは一本のタイトルに絞ってプレイする“深堀りできるプレイヤー”だった。だから、まずは色んなゲームをプレイするのを辞めてみようと。それでも好転するまでは時間がかかりましたけどね。

――プロゲーマーになれる人となれなかった人は何が違うのでしょう。

ときど:最近思うんですが、「すごい強いのにプロになれないのはもったいない」と思ったプレイヤーは、スポンサーを受けるようになってきたので「実力が評価される時代にはなってきているのかな」と思います。要するに時代が追い付いてきているということなんですけど、時流が来る前にゲームを辞めてしまったり新しいゲームに入って来なかったプレイヤーもいるんで……仕方ないことですがこういう人たちがプロになれないのは残念ですね。もちろん、業界が元気なうちはまだまだチャンスがあるとは思いますが。


ときど

 かつてはスポンサーを獲得できるような目立つプレイヤーになるためには海外で活躍しなければいけなかったんです。でも、そのために費用をかけて、休みを取って、プレッシャーがかかる中で海外大会で結果を出すなんてまぁまず無理ですよね。今は国内大会でも目立ちやすい環境にはなってきているので、昔よりはプロゲーマーになりやすい環境になってきているなと思います。

――ここ1〜2年で「eスポーツ」という言葉が浸透して、徐々にではありますがゲームを競技にすることは受け入れられつつあります。今後さらにeスポーツの振興を進めるために必要なのは何だと思いますか?

ときど:やっぱ人じゃないですか。スーパースターと呼べる存在が出てくると頼もしいですけどね。もちろんメーカーさんに良いゲームを作ってもらうのも当然なんですけど、僕らの視点から言うと魅力的な人が居てくれると、もっと色んな人に興味を持ってもらえますから。

――「スーパースターが必要」との話が出ましたが、私がプロ格闘ゲーマーにインタビューするとほぼ確実に話題に上るのが「後進の育成が重要」という話なんですが……。

ときど:……はい、ホントそうなんですよ。


ときど 「よくぞ聞いてくれました」みたいな表情

――もう「それです!」って顔してますね(笑)。後進の育成、これについてはどう思いますか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/19/news043.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に【大谷翔平激動の2024年 「お菓子」にも注目集まる】
  2. /nl/articles/2412/18/news131.jpg 「昔モテた」と言い張るパパ→信じていない娘だったが…… 当時の“驚きの姿”が2900万再生「おおっ!」「マジかよ」【海外】
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  5. /nl/articles/2412/19/news056.jpg 「何故バレないと思ったのか」 アニメグッズ購入が“親にバレた人”にツッコミ殺到 ひと目で分かる原因に「そりゃバレますって」
  6. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  7. /nl/articles/2412/18/news016.jpg プロが教える、年末までにしたいお風呂の掃除術 目からウロコのワザに「なるほど」「これは保存だ!」
  8. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. /nl/articles/2412/17/news047.jpg 遊ばなくなった“シルバニアのおうち”を大改造したら…… 娘が喜んだ“すてきなアイデア”に「なんということでしょう」
  10. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」