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» 2019年11月09日 07時30分 公開

男女2人で布団のあるところに行きたいな……「ハイスコアガールII」18話 小春、捨て身の攻めに出る(1/2 ページ)

アーマー脱衣でのフィニッシュは、そう簡単には決まらない。

[たまごまご,ねとらぼ]

ハイスコアガール (C) Rensuke Oshikiri/SQUARE ENIX

 ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作アニメ。ゲームを愛した2人の少女と1人の少年の、エモーショナルな恋の物語。

 18話、渋谷をうろつくようになった矢口春雄(ハルオ)に対して、日高小春が直接ぶつかっていく回。もう高校生、恋愛をしたら性的なことだってありえるけれども、ちゃんと向き合えているのか、ハルオ?


ハイスコアガール (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

渋谷は人を狂わせる


ハイスコアガール チョベリグー(18話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 今回も渋谷編。この作品での渋谷は、溝ノ口に住むハルオたちとは異なる大人びた社会として描かれます。ハルオ、大野、小春の3人からすると、背伸びした、不良っぽさのある、自分たちの成長のテンポとは違う空間。だからこそ刺激的だし、同時に落ち着かない。渋谷での焦りの感覚は、恋愛で悩む3人の思いにシンクロします。

 渋谷で浮かれまくった代表が、大野晶の姉の。カラオケで大騒ぎし、安室奈美恵のスタイルをまねたアムラーの格好で街を闊歩(かっぽ)、大黒摩季のCDシングルをGET。チョベリグだぜごきげんだぜ。ガングロに、ルーズソックスに、チーマー気取り。実に90年代。


ハイスコアガール 縄張り争い的な(18話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 渋谷勢と溝ノ口勢の戦いに巻き込まれたハルオ。この縄張り争いのノリは、当時のチーマーの模倣のようなやりとり。「俺たち溝ノ口勢が勝ったら渋谷会館は俺たちのものだ」なんてセリフで煽り合っていますが、まあお遊びのようなもの。小春いわく「くだらない」。

 それよりも深刻なのは、ハルオが弱い意志のまま渋谷の雰囲気に流されっぱなしなところ。本人は不良に染まったわけじゃないと言うものの、普段と違うまっくろけな衣装と帽子に変化。しかもその横にはベタベタする女子の姿が。


ハイスコアガール チョベリバ……(18話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 地元の溝ノ口だと「ハルオはバカなやつ」という印象が周囲に強いからなのか、そこまでモテませんでした。けれども知らない土地に行くと、女子から見てそこそこかわいい男子に見えるらしい。これは今までなかった珍しい状況。ただし、ほれられているのではなく、もてあそばれている、というのが大問題。渋谷こえー。

 渋谷はハルオの価値観をどんどん狂わせていきました。優柔不断ながらも誠実で親孝行だった、夢中になってゲームに真剣に立ち向かっていたハルオの姿は、ここにはありません。人に流されるふぬけな男になってしまった。


ハイスコアガール MK5小春(18話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 ハルオが渋谷にいるというウワサを聞いた小春は、渋谷勢VS溝ノ口勢戦に参加。ハルオに絡んでいるチャラい女子。それを振り払えないハルオのふがいなさ。溝ノ口を田舎とバカにする渋谷民。「ゲームで熱くなっちゃうなんてバカみたいだし〜」という挑発。さすがに小春がブチ切れるのもムリはない。

 登場する渋谷住人は、小春視点だとあまりいいイメージで表現されていません。どちらかというと愚かで、大事なものを奪っていく不快感が強めです。


ハイスコアガール 小春VSハルオ再び(7巻)

 先日、ハルオに格ゲー3本勝負で負けた小春。しかし今回は、腑抜けなハルオと、羅刹と化した小春。勝負は「ファイティングバイパーズ」。ハルオがフラフラしていた間も、ずっとハルオを思い、ゲームに打ち込んでいた彼女が、負けるはずがない。「イイこと」なんてさせてたまるか。


ハイスコアガール 鬼が舞い降りる(18話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 小春、渋谷勢(ハルオ含む)を10タテ。軟弱者を捻りつぶしました。

 大野とハルオがどうしてもゲームでは目立ってしまいますが、小春はかなりのセンスを持った強豪選手。かつて、ちょっと気を抜いていたハルオをこてんぱんにしたことすらもありました。努力とセンスで際立っている彼女、感情が絡むとさらに強くなるようです。


脱いで押し倒す

 ハルオに目をつけていた渋谷女子の発言は、今までの純朴な「ハイスコアガール」には出てこなかった、強烈なものでした。

 「ウブでかわいいじゃん あんなチョロそうな男…脱いで押し倒しちゃえばイチコロよ」

 小春も大野もハルオも、恋愛に際して男女としての性の意識はゼロではないはず。けれどもそれを自分たちのことだと考え言動にうつす余裕は、今まで見られませんでした。

 小春がハルオとの試合で、アーマー脱衣フィニッシュを決めるシーンは彼女の心理を見事に表していました。

 「ファイティングバイパーズ」は「→←→←P+K+G」のコマンド入力で、全員がアーマーを自ら脱衣することができます。これには攻撃判定があるため、当ててトドメをさすことが可能です。ただキャラクターはアーマーは失うと、ダメージが増えたりするなど一気に弱体化します。アーマー脱衣を狙った時ガードされたら、その後一気に殺されるかもしれない、なんていう魅せ技。あるいは屈辱技・舐めプ。

 彼女が危険を犯してアーマー脱衣でハルオを倒したのは、渋谷女子の「脱いで押し倒しちゃえば」に対しての「私だってできるわよ」という意思表示。小春、今まで出さなかった「女の武器」を、ついに使うことになります。


ハイスコアガール もちろん性的な意味です(7巻)

 自らの気持ちが追い詰められているからこその、小春の行動であり、今まで秘めていた本心。ただ、彼女も渋谷の勢いのある空気に流されて、背伸びしてしまった感もありそうです。そんな脱ぐような子じゃなかったもの。「ファイティングバイパーズ」のアーマー脱衣が、脱いだ後弱くなってしまうように、小春のような状況での色仕掛けは、ハイリスクすぎる。


小春、捨て身の色仕掛け


ハイスコアガール ゲームだったらフラグ立ちまくりのシーンだけれども(7巻)

 小春の攻めっぷりは、超直球。そもそもハルオが鈍い方だからというのも先読みしているんでしょう。絶対避けられないような「女」の攻撃を撃ち続けます。「矢口くんを見てると 妙な衝動に自分を抑えられなくなる…」という発言は、多分本音ですが、今までになくエロティック。「最近矢口くんにハグされる夢ばかり見るんだ」「気持ち良かったなぁ 夢の中でギュッとされて」「スケベだよ 悪い?」

 このラッシュ、ハルオ以外だったらかなり攻撃力高いと思います。男心のくすぐり方と、扉を開いているのを示す言葉選び、初の色仕掛けにしてはメチャクチャうまい。アニメでは指先の描写がものすごくセクシーなので必見。


ハイスコアガール トドメの一撃(7巻)

 ある程度理解できたハルオがゲームの話でなんとかそらそうとするも、「布団がある所行きたい」「男女で行く所」と詰めてきた時は、さすがにハルオもそっち方面の話に流れてしまいます。

 お持ち帰りOKの据え膳状態。男を動揺させる決定的な発言ではあるんだけれども、小春はまだ幼すぎた。攻めに出るならば、そらされた時相応のダメージを受けるもの。彼女はそれに耐えられるほど強くはありませんでした。


ハイスコアガール 色仕掛けは難しい(7巻)

 結局朝まで何もなく、ホテル勧誘発言もかわされ、早朝の渋谷駅前で泣き崩れる小春。

 小春がハルオにセクシャルなささやきをしている最中、細かく震えている描写があります。彼女にのしかかるのは、彼を手に入れられるという勝利の自信ではなく、自分の踏んでしまったルートへの恥じらいと痛み。

 あえて言えば、ハルオが小春の発言を最初からきっぱり断ればよかったのかもしれません。でもそんな心の強さがあったら、そもそも渋谷のゲーセンでフラフラしていません。だから「ギュッとして 一生のお願いだから…」と言われた時も、できないと言えず迷っていたわけで。

 大野とハルオが終電を逃し、2人でビジネスホテルの同じ部屋に泊まる回(4巻)が思い出されます。2人で浴衣に着替えて、ゲーム機をテレビにつなぐ。ハルオが大野を助けてあげたいとしゃべるのを聞きながら、静かに眠りにつく。ハルオが先にチェックアウトしたのに対し、大野が窓から手をふる。これが2人の、自然に合った歩みのテンポでした。

 同じ「帰れないのでホテルに泊まる」という事態でも、ここまで別の展開になってしまう。


ハイスコアガール 大野は見た(18話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 そんな早朝の2人に出くわしてしまった大野。

 偶然ではないです。ハルオを探しに渋谷にやってきて、ゲーセンにいるのではないかと探し回った。渋谷勢がハルオと小春のうわさ話をしているのを聞いてしまった。まんが喫茶に泊まり朝を迎えて、渋谷駅に歩いてきた。ここで出会うのは大野の執念ゆえの、必然です。

 修羅場、という単語で片付けられるものではなさそう。心身の成長、家庭の問題、愛するゲームとの在り方。恋愛の駆け引き、さまよっていた自身の未熟さ、自己を見つけられない苦悶など、今までこの作品で描かれてきたあらゆる悩みが3人にどっと押し寄せているように見えます。

 3人、もう今まで通りではいられない。でも渋谷から溝ノ口までの帰り道の電車は同じだぞ。待て次回。




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