一本奪ったままにはさせない「ハイスコアガールII」19話 大野、女の宣戦布告(1/2 ページ)
イーブンに持ち込んだら、あとは最終戦
ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作/アニメ)。ゲームを愛した2人の少女と1人の少年の、エモーショナルな恋の物語。
18話で必死の色仕掛けを使った日高小春。負けじと19話で、大野晶も動き出す。矢口春雄(ハルオ)を巡る2人の女の全面戦争勃発。
渋谷、朝の電車
18話での小春の攻勢は、ハルオが応えないことで失敗に終わりました。決死の覚悟で恥をかなぐりすてて色仕掛けまでしたのに反応なしとなると、もう惨めで仕方ない。とはいえハルオを朝まで引き止めることには成功した、と言えるのか?
小春がハルオに泣きながら抱きついて、抱きしめてほしいと言った時、その現場を見てしまった大野。一触即発の事態、小春は抱き返されることを諦め、完全負け犬状態で涙ながらに帰ろうとします。
引き止めたのは、大野というのが意外な展開。電車の中では、かばんに入れていたペロペロキャンディを、ハルオと小春に渡します。
このペロペロキャンディ、小学生の時にハルオが大野にあげたことがあるものと同じ形です。3人は電車で何も話しませんが、ハルオは大野が気を遣っていたことを悟っており、後に彼女の家で話を持ち出しています。
基本的に今まで大野から何かを働きかける、というのがそもそも今まであまりなかったことを考えると、これはかなり重大な出来事。哀れみなのか悔しさなのか嫉妬なのか優しさなのか。少なくとも大野は恋敵を蹴落として喜ぶような子ではないのが、一連の流れで言葉無く静かに描かれます。
ハルオしっかりしなさい
漫画・アニメで追っている人から見たら、ハルオは2人のどちらかを単純に選べばいいというものじゃない、というのはよくわかります。特に大野には家庭の事情もありますし、一筋縄ではいきません。
しかし周囲から見たら、やはり女の子2人に挟まれて有耶無耶になっているハルオの姿は許されないらしい。ハルオの恋愛事情が周りの人々にだだ漏れなのも含めて、みんなの反応を見てみます。
中学生からの友達である宮尾光太郎と、顔はいいけど器が小さくてモテない土井玄太。特に宮尾はハルオの保護者であるかのように気遣い、心配し、支えてくれています。
彼は「選べ」とは言っていません。「間違えるな」と言っています。
宮尾はあらゆる登場人物の中でもダントツで、大野・小春・ハルオ3人の本心を見てきました。だから恋愛についてのあれこれは簡単には言えません。ただ、中学時代からハルオのゲーム好きを傍で見てきて、そのために真面目に頑張っているのを知っているからこそ、今の状況がよくないことを告げます。
「ゲーセン好きが何かの間違いにつながったら お前を支えてくれたゲームたちが泣くぜぇ?」
渋谷でフラフラしていたのも、大野と小春のことを真剣に考えきれていないのも、まだ迷いがあり、逃げているから。宮尾の言葉には、心のガイルさんも同意。
母親と、大野の姉の真の女二人は、かなりストレート。宮尾が理屈で助言しようとしていたのに対して、女性陣は感情を考えろと怒ります。
真「早朝に女連れてるオメーと遭遇した晶の気持ちを想像してみろ!!」母親「嘆かわしや 小春ちゃんもどんな気持ちだったことやら」
2人が怒っているのは「女の子2人の気持ちをちゃんと考えろ」という点なのは注目したいところ。どちらかに肩入れしてはいません。大野と小春両方の子が悲しんでいることから逃げるな、と言っています。
このへんはハルオも察してはいるものの、なかなか理解しきれない部分です。けれども「仕方ない」ではすまされない。大人の女性視点2人が入ることで、今の局面がどれだけ問題があるかをきっちり見せてくれます。
大野の1ラウンド
小春とハルオの一夜は何も無かったし、むしろ小春にしてみたら辛いだけの出来事ですが、大野から見たら心痛む光景だったのは間違いありませんでした。
そこで大野がとったのは、ハルオを家に引きずり込んで、一緒に過ごすという行動。今までにないほど強引です。
真「前回は小春ちゃんに一本取られたわけ」「晶はあくまで平静を保ってたけど内心ではきっと悔しかったんでしょうね ハルオくんをむりくり家に拉致する計画 晶らしくない考えだもん…」
姉いわく、相当な負けず嫌いらしい。とはいえ男の子を自分のわがままで強引に連れ出すのは、あまりにも大胆。
同時に、このシーンを見てホッとした人もいると思います。というのも今まで大野は二歩三歩下がって待つタイプの子だったのに、こういうわがままを通せるようになった、という成長でもあるからです。これも萌美先生の教育が少しゆるんだからかも。
ハルオはこの日、強制お泊まり。じいやがゲーム機を買ってきて、ハルオの母親には許可取り済み。何から何まで完璧。そりゃダブルピースもしますわ。
なんだかんだで一緒に遊んでいるうちに、ハルオと大野の間の空気もいつもどおりに。それどころか、大野はすっかり気を許し、寝転がります。
最初は2人プレイをしていたのですが、途中からハルオに1人プレイさせることに。その様子を寝ながら見ている大野、自宅だからとはいえ、男の子の横でこの様子です。
今までにないくらい大野が心を許しきっている描写です。しかしハルオに甘えるようなことは、していません。ここが、彼女の公正さラインなんでしょう。
小春はハルオと夜を一緒にすごした。でも何も起こらなかった。
大野はハルオと夜を過ごすチャンスを手に入れた。でも何も起こさなかった。
これでイーブンです。
女の戦い
真と母親は、2人は格ゲーと同じ状態にあるのではないか、と語り合います。先に渋谷で小春が一本先取。大野家でのお泊りで一本取り返す。つまり3戦目がある。
大野が小春の家に赴いてきた。異常事態です。緊張感が走る。2人が向かう先は、ゲーセン。無言で対決を挑んできたのは、大野から。
小春「今日私のところにきたのは 矢口くんのことが関係してるんでしょ…?」「もしそうだとしたら…私も受けて立つ…私も大野さんと真剣勝負がしたい!」
2人ともゲームを愛するものだからこそ、ゲームで向かい合う。
次回2人の決戦。
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