Amazonのやらせレビューと戦う「サクラチェッカー」はなぜ生まれたか 開発者に聞く背景やサクラレビューの見分け方

レビューで高評価だったのに品質が……という問題に取り組むWebサービスです。

» 2019年11月22日 08時00分 公開
[ねとらぼ]

 近年問題視されている、通販サイトのやらせ(サクラ)レビュー。評価が高かったので購入したのにあまり品質がよくなかった……という経験のある人もいるかもしれません。そんな中、サクラレビューを見抜くサービスとして「サクラチェッカー(https://sakura-checker.jp/)」が注目を集めています。

サクラチェッカー。NHK「クローズアップ現代+」のやらせレビュー特集でも紹介された

 サクラチェッカーは、Amazon.co.jpに投稿されたレビューを分析し、サクラ度を見抜くというもの。IT企業の管理職でSE業務や採用業務を担当し、転職サイト「ぶっちゃけ面接官(https://tenshoku-seikou.jp/)」を運営するユウさんが2019年7月にリリースしました。

 同サービスは不正レビュアーグループに潜入して得た情報をもとに製品の価格やショップ情報、レビュー分布といった項目を分析。製品URLを貼り付けると、「サクラ度○%」「危険/警告/合格」といった分析結果が表示されます。ユウさんは「分析結果は予想」としつつも、「Amazonのサクラレビューをかなりの精度で見抜きます」と自信を見せています。

チェックしてみた結果

 サクラチェッカーはどのように生まれたのか、開発の経緯やサクラレビューの見分け方などをユウさんに聞きました。

開発のきっかけはひどい“高評価”製品

 ユウさんがサクラチェッカーを開発したきっかけは、「高評価のワイヤレス充電器を購入したら全然充電しなくて困った」「高評価のUSBディスプレイアダプタを購入したら3日で壊れた」ことがあり、Amazonレビューが信じられなくなったこと。

 レビューが1000件あるような商品もあるため、通販するときは合計点数と幾つかのレビューだけ見て購入していたというユウさん。しかしここ1〜2年で失敗する確率が高くなったと感じ、もっと簡単にレビューを判断できる仕組みを開発しようと思ったといいます。

 「普段は管理職なので採用活動や部下のマネジメントの比重が多くなってきており、自分でも何か開発したいなと思ったのもあります」(ユウさん)

 開発にかかった期間は着想から数えると1年以上。ただし実際の開発は主に土日に行い、数カ月かかったとしています。7月上旬のリリースから、改修・機能追加した期間の方が長いとのこと。

サクラチェッカーの仕組み

 サクラチェッカーでは主に「価格、製品」「ショップ」「ショップレビュー」「レビュー分布」「レビュー日付」「レビュアー・本文」の6項目でサクラレビューを判定しています。

  • 価格、製品:異常な値引率や商品名の表記など
  • ショップ:発送地域、電話番号を掲載しているかなど
  • ショップレビュー:急激なショップレビューの悪化が見られるか(オープニングで不正レビューを自作自演で行っている業者などに見られるそうです)
  • レビュー分布:評価の分布が不自然に偏っていないか
  • レビュー日付:レビュー投稿日が極端に偏っていないか
  • レビュアー・本文:レビュー本文の怪しさ、レビュアー自身の怪しさなど

 これら6項目にそれぞれ複数の詳細なパラメータがあり、各パラメータに10段階程度の判定基準があるとのこと。機械学習(AI)も活用し、個人の好みよりレビューの自然、不自然さを分析できるようにしているとユウさんは説明しています。

不正レビューグループへの潜入

 サクラチェッカーには、業者がやらせレビューを依頼する不正レビューグループに潜入して得た知見が活用されています。ユウさんは数十のグループに潜入。レビューグループには外国人(留学生っぽい人)ばかりでなく日本人(副業したい人、主婦など)も参加しており、手軽なバイト感覚の人が多い印象だったといいます。

 外国人ばかりだと思っていたら意外と日本人が多かったことが印象に残ったとユウさん。「日本人向けのレビューグループに2万人ユーザーがいたのはビックリしました。着想当時は怪しい日本語を見抜けば良いかなと思っていたのですが、ここで潜入したことにより思ったより日本人が多いことが分かったので、他の見抜くべき特徴をいろいろとつかむことができました」

サクラレビューが多い商品は?

 サクラレビューは増えているのかを聞いたところ、「数そのものはアマゾンが削除しているのでほぼ変わらないか減少傾向にあります」とユウさん。しかしレビュー自体が巧妙化して見分けづらくなっているとのこと。カテゴリーによって差があり、サクラレビューが全くないカテゴリーもあれば、かなり多いカテゴリーもあると述べています。

 特にサクラレビューが多い商品カテゴリーは「イヤフォン」「モバイルバッテリー」「PC周辺機器」「ゲーム周辺機器」「美容系家電」「折りたたみ傘」「枕」などさまざまで、比較的製造しやすいものに多いといいます。サクラチェッカーではトップページで「高サクラ度カテゴリー」としてまとめられており、サクラ度が高い商品カテゴリーのページでも「サクラ多数のカテゴリ!製品選びに注意が必要」というメッセージを掲載して注意喚起しています。

サクラレビューが多い商品カテゴリーには注意喚起が

サクラレビューを見分けるポイントは?

 サクラレビューを見分けるにはどこに着目すればいいのか、ユウさんに聞きました。サクラチェッカーがまだ対応していない他の通販サイトでも参考になりそうです。

写真に過度な演出があるもの

 商品の写真に文字やグラフィックなどの演出を加えたもの。メインの商品画像にこうした要素を入れるのはガイドライン違反となります。

画像を一部加工しています

商品名が異常に長く、メーカー名が入っていないもの

 Amazonのルールでは、商品名の長さは全角50文字以内(スペース含む)でメーカー名・ブランド名を記載しなければなりません。商品名が異常に長いものやメーカー名がないものはルール違反となります。

画像を一部加工しています

レビューの分布に偏りがあるもの

 星5つの高評価レビューにだまされた購入者が星1つの評価をつけるので、レビューの分布が極端になります。

レビューの日本語がおかしいもの

 「明らかにオカシイ日本語もありますが、最近は巧妙でしっかり見ないと見抜きづらくなってきています」とユウさん。Amazonもこういったレビューは結構削除しているそうです。

ネズミ撃退器につけられたレビューの例

 そのほか、ショップレビューの評価やショップレビューの中に怪しい日本語はないか、レビュアーのプロフィールを見て同じような商品ばかりに5を付けてないかなどがポイントになるといいます。


 ブラックフライデー、サイバーマンデー、お歳暮、ボーナス商戦、クリスマスプレゼント……何かとネット通販を利用する機会が増えるこの時期、だまされて低品質な商品を買ってしまわないよう、あやしいレビューには気を付けたいものです。サクラチェッカーはその一助となってくれるでしょう。ユウさんは、今度もサクラチェッカーの精度向上や細かい機能追加を行っていくとしており、さらなる向上に期待です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  3. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  6. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  7. /nl/articles/2412/21/news005.jpg 藤本美貴、晩ご飯に手料理7品 多忙でも野菜とお肉たっぷりで反響 「お疲れ様です」「凄く親近感」【2024年の弁当・料理まとめ】
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」