パスポートのネット申請、カード決済が可能に 北斎の絵、プラスチック化……変わるパスポート(1/2 ページ)
かなり便利になりそう。
パスポート(旅券)の電子申請が2024年度にも始まり、手数料のクレジットカード決済もOKに──こんなニュースが報じられ、「これはありがたい」と喜ぶ声がTwitterにあふれています。今後パスポートには葛飾北斎の絵が印刷され、一部はプラスチックになるなど、大きく変わっていきそうです。
日本経済新聞の27日付報道によると、外務省は24年度にもパスポートの電子申請をスタート。収入印紙・証紙で納付している手数料のクレジットカード支払いも認めるとのことです。パスポートの申請は3月、7月などに集中しており、窓口の混雑を避けられる電子申請へのニーズが大きい──としています。
現在、パスポートの申請は全て紙の申請書によって行われ、申請者は原則として申請時と交付時の2回、窓口に出頭する必要があります(申請時は代理人も可)。手数料の納付は、交付時に収入印紙と都道府県証紙で支払う形です。多忙な人や窓口から遠い地域の人にとって、パスポートの取得は大きな負担になっています。
外務省が5月に公表した中長期計画によると、
申請者がスマートフォン、タブレット、PC等で申請情報を旅券事務所に送信できるようにし、手数料もクレジットカードで納付できるようにすることで申請手続を簡便化するとともに、旅券交付についても宅配による交付を導入等して申請者の出頭回数の削減を行う
──という状態を目指しているとのことです。申請はネットで、手数料はクレジットカードで、受け取りは宅配で──と、利便性がかなり高まりそうです。
ただ、日本のパスポートは“世界最強”とも言われており(関連記事)、各種手続きにも利用できる信頼性の確保は重要なこと。このため、完全にネットで完結できるというわけにはいかず、どこかのタイミングで1度は本人の出頭が必要になる可能性があります。
手数料のクレジットカード納付や旅券の宅配交付を踏まえ、本人出頭のタイミングも見直しを行う。
また、顔認証システムを導入し、旅券事務所等による本人確認作業を高度化する。なお、旅券は国際的身分証明書であり、様々な手続で本人確認書類として使用されることから、申請者に原則一回は出頭を求めて本人確認を行う必要がある。旅券申請時に厳格な本人確認を行い、一人に一つしかないマイナンバーと旅券情報を紐付けて管理することにより、なりすましや不正取得を防止する。
日経新聞は「パスポートを郵送で受け取れるようにするのか、本人確認も兼ねて窓口訪問を求めるのか、今後詰める」と報じています。
また、電子申請にマイナンバーを活用することで、戸籍謄本の提出が不要になります。電子申請に政府の「マイナポータル」を活用するシステム構築計画の説明では、
マイナポータルを活用し、旅券の電子申請を行えるようにする。これによりマイナンバーカードのICに搭載された基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)及びマイナンバーを申請書に自動転記し、入力事項の削減と旅券事務所の審査業務の負担軽減を図る。また、遠隔で本人確認が可能となることから切替申請時の出頭回数削減を行う。
(外務省資料の「別紙4」より)
──としています。
「富嶽三十六景」新デザイン、プラスチック
20年3月から発給が始まる新デザインのパスポートには、葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」が印刷されています。査証欄などの見開き2ページに1作品が印刷され、10年パスポートは48ページに24作品、5年パスポートは32ページに16作品が使われています。
外務省は「旅券は新たな偽変造対策を採り入れるために定期的にセキュリティの仕様を更新しており、今回のデザイン変更もセキュリティ更新に合わせたもの」と説明。「世界的にも広く知られ、世界遺産でもある富士山をメインモチーフとし、まさに日本を代表する浮世絵のひとつ」として同作品が選ばれました。
また、将来は顔写真や氏名が印刷されたページがプラスチック板に変更されたパスポートが導入されます。プラスチック板にレーザーで印字する手法を採用し、偽造が難しくなります。東京新聞によると、導入は24年度になるとのことです。
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