桐谷健太と横浜流星の王道ホームドラマで視聴率復活「4分間のマリーゴールド」 ドラマオリジナル路線がピタリとハマった7話(1/2 ページ)
「グランメゾン東京」かと思った!
「俺のことを信じてほしい。俺の料理と、俺の将来を信じてほしい」
「グランメゾン東京」……ではない。福士蒼汰、菜々緒主演の4分間のマリーゴールドの一幕である。人の「死の運命」が見える救急救命士・みこと(福士蒼汰)と、余命1年の義姉・沙羅(菜々緒)との禁断の愛を描く物語なのだが、先週放送された第7話はなんと2人の話が出てこない王道のホームドラマになっていた。冒頭のセリフは、花巻家の末弟・藍(横浜流星)が長兄の廉(桐谷健太)に言ったもの。7話はこの2人が中心だった。視聴率は7.1%とちょっと回復。
反対ぐらいで諦めていたら好きなことはできない
「このたびは、私と沙羅の婚約のご報告、そしてみなさまへの感謝を込めまして……」
毎週のように苦悩し続けているみことだが、今週は冒頭から楽しいホームパーティーでニコニコ。救命現場の同僚たちや廉の同僚の原田(橋本じゅん)たちはこぞって藍の料理を激賞する。
そんな藍は受験1週間前。本当は得意な料理の道を進みたいと思っていたが、藍に期待する廉が決めた方針によって国立大学を受験することになっていた。藍は自分たちきょうだいの面倒を見てくれた廉に恩義を感じており、自分の進路にも納得しようとしていた。だが、大学に行ってもやりたいことはなく、進学には明らかに乗り気ではない。
みことも沙羅も、藍が料理の道に進みたがっていることを見抜いていた。「人生は一度きりだからね」「いつ何が起こるかわからないからね」と何気なく沙羅の余命をからめて、やりたいことをやるべきだと藍にエールを送る2人。しかし、廉は頑なだった。
「好きにしろって送り出すのは簡単だよ。でも、問題はその後だろ。最後までケツ持ってやんねぇと」
みことは廉をなんとか説得しようとするが、あの優しげな話し方ではオラオラな廉にかなうわけがない。一方、好きな絵の道を進んでいる沙羅は少し違った角度から見ていた。
「お兄ちゃんの反対くらいで諦めてたら、好きなことはできないよ。だって、現実はもっと厳しいんだから」
たしかにその通りだ。一方、苦悩する藍は、自分でつくった弁当を初めて同級生の琴(鈴木ゆうか)に食べてもらう。琴が食べているところをじっと見る藍。「おいしい」と言われると少し微笑む。いつも家族のために料理をつくって、褒められても淡々としていた廉が、初めてうれしそうな顔をした。琴とのやりとりで、藍はあらためて料理の道に進むことを決意したのではないだろうか。
一番好きなことを諦めたくない
受験当日、藍は試験を受けずに帰ってきた。当然ながら廉は激怒するが、藍は敢然と食ってかかる。
「だって、廉兄、俺の気持ち聞いてくれないでしょ? それでも俺、料理の勉強したくて、もう時間を無駄にしたくない。だからこうするしかなかったんだよ」
藍の言葉を聞いて、さらに激昂する廉。
「お前が夜中に熱出したときも! デパートで迷子になったときも側にいたのは俺だよ! 箸の持ち方を教えたのも、チャリンコの乗り方を教えたのも俺だよ! ここの家長は俺! 全部、俺がお前のケツ持ってきたんだろ!」
怒りのあまり家を飛び出した廉は、家族のために別れた恋人・千冬(磯山さやか)を呼び出し、藍を「ちびすけ」呼ばわりしながら酔い潰れてしまう。家に帰ってきて眠りこける廉を見ながら、みことが藍に語りかける。
「まさか廉兄も、ちびすけに担がれる日が来るとは思わなかっただろうね」
「もうちびすけじゃないよ」
「だったらそれ、廉兄にも教えてあげたら? 廉兄にとっては、いつまでたっても藍はちびすけなんだから」
廉にとって藍はいつまでも子ども。でも、藍はもう子どもではない。これはどこの親子の間にも普遍的にあるギャップだ。
廉は家族のために自分の「好き」を諦めていた。それは千冬への思い。そして、いつしか藍に「好き」を諦めさせようとしていた。諦めることの連鎖。こういうことも、よくある。
翌朝、廉に「昨日は勝手なことをしてごめんなさい」と深々と頭を下げる藍。その上で、自分の意志を貫こうと言葉を続ける。
「これから先、どんな人生が待っているか、いつまで続くか誰にもわからないのに、自分が一番好きなことを諦めたくない」
廉は黙って聞いている。
「廉兄は俺のこと心配なのかもしれないけど……俺のことを信じてほしい。俺の料理と、俺の将来を信じてほしい」
藍が去った後、二日酔いの自分のためにつくってくれたおかゆを食べながら号泣する廉。自分の間違いを悟ったのだろう。同時に、藍の優しい気持ち、強い意志を目の当たりにし、もう「ちびすけ」ではないことを知って、寂しくもあったのではないだろうか。
廉は藍の料理学校への進学を認め、自分でパンフを持ってきて藍に渡す。やっぱり世話焼きなんだなぁ。嬉しそうな藍。一方、みことは藍にこう話しかける。
「これからは廉兄自身が廉兄の思うように生きてほしい。後悔のないように、自分のために生きてほしいんだ」
義理の姉弟として恋愛を成就させた沙羅とみことは「好き」を貫いていたことになる。奮起した廉は、千冬のもとへ走って行き、秘めていた想いを告げる。すると、千冬も既婚だと言っていたが本当は夫などいなかったと返す。廉よ、「よっしゃ!」と喜ぶだけじゃなくて、そのタクシーに乗っちゃえよ。藍も廉も自分の思ったとおりの道に一歩進んだ。
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