「学校はタダ」だと思う保護者、その裏側で自腹を切る先生 現役中学教員に聞く「労働時間だけではない教育現場のブラックさ」(1/3 ページ)
「『自腹切りたくないです』『報われない努力はしたくないです』と言うようになったら、教育現場は終わると思う」。
ブラックな労働環境、厳し過ぎる部活動、なくならないいじめ………。子どもの成長を支える学校を巡って、ニュースではさまざまな問題が取り上げられています。実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。
本記事は、公立校の中学教員に「一般教員として感じている“学校の問題点”」を語ってもらう連載企画。今回は「学校行事などのために、教員が自腹を切っている実態」について、Aさん、Bさん(仮名)にインタビューしました。
合唱コンクールはあるのに、練習に使えるキーボードがない
A:ブラック企業の話題でよく上がるのが、労働時間。でも、もう1つ「お金」という要素もあるよね。
―― 残業代が出ないとか、自爆営業をさせられるとか……
教員の世界では「自腹を切って、仕事で必要なものを購入する」というのが非常に多い。例えば、合唱コンクールのためにキーボードを買ったり、CDデッキを買ったり。
―― 学校にあるんじゃないの?
A:あっても壊れてたりするから、私物を貸すという形で補うわけ。
それから、音楽について専門的に勉強してない教員がほとんどだから、機材どころか指導のノウハウもなかったりね。だから、本を買ってきて個人的に勉強するんだけど、その購入代金も自腹。
教員の給与は同年代と比べると少し高いと思うのだけど、残業時間は過労死ラインを突破するくらい長いし、自分のお金を仕事のために使う機会がすごく多い。
教員の世界ではこうやって自腹を切ることを“持ち出し”というのだけど、合唱コンクールに限らず、体育祭、部活なんかも持ち出しでやるのが当たり前になってる。
―― そういうときに使えるお金は用意されてないの?
A:一応、「学級費」というのはあるんだけど、良くて年間5000円とか。1カ月あたりに置き換えたら数百円だから、ティッシュとかビニール袋とか……あとはメラミンスポンジ? そういうのを買ったら終わり。これだって使いきったら、後は持ち出し。
―― 経費で落とすこともできない?
B:「経費という考え方自体がない」と思ってもらっていいと思う。
A:出るのは、出張の交通費くらいかなあ……。
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