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» 2019年12月07日 07時30分 公開

ホテルのベッドの中に2人「ハイスコアガールII」22話 大野さんが「女性」に見えた日(1/2 ページ)

好きな子と「ダイナマイト刑事」の協力プレイをする幸せ。

[たまごまご,ねとらぼ]

ハイスコアガール (C) Rensuke Oshikiri/SQUARE ENIX

 ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作アニメ。ゲームを愛した2人の少女と1人の少年の、エモーショナルな恋の物語。

 21話で大野晶への恋心にようやく気づいた矢口春雄(ハルオ)。告白するのは、「スーパーストリートファイターIIX」での勝負に勝ってから。大野と2人、大会に出るべく一路大阪へ。ハルオ、それは長距離デートだぞ。


ハイスコアガール (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

ゲーセンで協力プレイできる青春


ハイスコアガール 大会に出るべく一路大阪へ(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 これから大会でお互いが、秘めた思いを胸に、死力を尽くしてぶつかりあう……とはいえ高校生の男女が2人きりで新幹線で旅行となると、既に恋人同士にしか見えません。

 大阪にたどり着いた2人は、かつてお祭りに2人きりで行った時のように、あるいは小学生時代に変なゲーセンに行った時のように、純粋にワクワクしています。明日大会で決戦があるとは思えない2人旅。ハルオも成長したもので「めったにないこの時間(大野と遊べる時間)を大事にせんと…」と意識的に2人で遊ぶことを優先しています。

 2人が大阪に着いてから真っ先に行ったのが、ゲーセン巡り。観光地が嫌なわけじゃなくて、格闘ゲーマーは地方のゲーセンにいる強豪と腕を競いたいものです。今のようにネット対戦もないので、旅先でのバトルは非常に貴重な機会。またこの2人の場合、「積もる話」をするなら会話より対戦の方が通じあえることも多いでしょう。ハルオも改めて、大野の超絶プレイを見て、自らの感情を確認します。


ハイスコアガール 伝説の10円ゲーセン、フェラーリ(9巻)

 大野とハルオが向かったゲーセンの一つが「フェラーリ」という店。10円でプレイできることで有名なものの、パワー調整は最大、一本勝負。一瞬で対戦のケリがつくという強烈な仕様。

 日本橋に実際にあった店です。大阪はオブジェだらけ、なんてハルオが言っていますが、「フェラーリ」の看板も派手でした。この場所で10円で勝ち続けるには「くらわない」という理屈になるものの、そんな簡単にいくはずもない。集まっているのはツワモノだらけです。お金がないから10円ゲーセンに行くんじゃなくて、大野とハルオはワクワクするために行く。観光地に行くのも10円ゲーセンに行くのも、感情の高まりは変わりません。


ハイスコアガール 女の子と横に並んで2人プレイなんて、ゲーマーの夢だよ(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 大野と久しぶりに協力プレイで遊んだのが「ダイナマイト刑事」。小学生時代から、かっこいいものよりもヘンテコな世界観を好んでいたハルオらしい、熱いチョイス。モップ、柱時計、コショウ!

 「ハイスコアガール」は痛みや辛さを含んだシビアな恋物語であると同時に、ゲーム好きな人間が思い描く至高の夢のような描写もたくさんあります。その一つが協力プレイ。90年代当時の殺伐としていたゲーセンで、男女2人並んでイスに座って協力プレイなんてしていたら、激しすぎる嫉妬の目線がグサグサ刺さっていたはずですが、この作品では許されます。高校時代に好きな女の子と「ダイナマイト刑事」で息をあわせて2人でジャンプ。大人になったゲーマーから見たら、いくら犠牲を払おうとも手に入らない貴重すぎる経験です。

 ハルオ「楽しいぜ…何が一番幸せかと問われたら…今 この瞬間が」


ハイスコアガール 青春か!!(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 22時を過ぎて警察が見回りに来た時、好きな女の子の手を握って深夜の街を逃げていく。なんてロマンティックなんだろう。普段の日々からちょっとはみ出した素敵なワンシーン、高校時代に経験したら一生忘れられない。こういう思い出の積み重なりが、ハルオの恋を育んでいたのは、21話を見ての通り。


ハイスコアガール 今回の大野さんは、だいぶ攻めてます(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 一方大野はイベントごとに興味津々な方。今までも遊園地やお祭りで、ハルオと2人の時だけは無言ではしゃいでいました。大阪では2人ともゲーセンめぐりで満足してはいましたが、大野は何度もたこ焼きを食べて喜んでいました。しかもハルオへの「あーん」まで。今回は特に、彼女は「恋人がするようなこと」をハルオに対して強く求めている節があります。「ダイナマイト刑事」協力プレイをやりたいオーラを出していたのも大野の方。

 小学生時代、「ファイナルファイト」にハルオが乱入した時、烈火のごとく怒っていたのを思い出します。

2人、ホテルにて。


ハイスコアガール この目、不可抗力(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 かつて大野が家出をした時、2人でホテルの同じ部屋に宿泊したことがありました。その時はハルオに恋愛感情が無く、大野の苦労を知ったばかりなのもあって、助けてあげたいという気持ちしか湧いていませんでした。

 しかし今回は違う。もう自分の恋愛感情を理解した後で、2人でホテルに泊まるとなると、どうやったって意識してしまいます。

 宿泊する部屋にはお化けが出るらしくて怖いから、という理由でハルオの部屋に来た大野。ガウン姿で、無言で一緒に寝てとせびる姿は、一見甘えん坊な赤子のよう。だけど原作とアニメの表現を見ると、それ以上のものが彼女の顔に浮かんで見えます。一応不可抗力です。

 日高小春とハルオが渋谷で一晩明かした日、彼女は恋の辛さゆえに、ホテルに一緒に行きたいと思い切ってハルオを誘いました。結果うまくいかずが、小春は後に「(ホテルに行っていたら)めちゃくちゃに襲ってた」と告白しています。異性を意識した時の、高校生の直球な恋愛心理です。

 それに比べると大野とハルオのホテルでのやり取りははるかに幼く見えます。そこまで性を意識した焦りの表現はありません。ただし1回目泊まった時から比べて、お互いへの意識は確実に膨らんでいるのが描かれます。


ハイスコアガール 同衾(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 新幹線の隣の席に座り、並んでゲームをし、手をつないで走り、気がつけば同じ布団の中にいる。マンガでもドキドキするシーンでしたが、アニメの表現だと色味と光の描写で、ムードの高まりが尋常じゃない。薄暗さが醸し出す雰囲気があまりにも艶っぽい。

 こういう複雑な事態が起きるといつも、ハルオの心理はゲームで表現されます。言葉以上に雄弁に、ゲーム中の状況が心を表現してくれるから、この作品は面白い。


ハイスコアガール 目の前の未知のレディ(9巻) (C)CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 ハルオの心理を表しているのは、基本的に「ストII」の溜めキャラ、ガイルです。大野は普段は、耐えて戦う投げキャラのザンギエフで表現されます。

 今回、2人が各々の部屋にいたときは、どっちかが話しかけてくれないだろうか、という駆け引きが発生しました。お互い溜めを作っている「待ちガイル」状態。これが二段目のコマのハルオが感じた空気感。

 同じベッドに入った時、溜めを作り続ける待ちガイル・ハルオの目の前には、「ストリートファイターZERO」シリーズの春日野さくらが出現。大野のことをついに女性として意識した瞬間です。

 以前からこの作品では、たとえば小春が女性キャラを多く使っていたり、ハルオが使う女性キャラに大野が嫉妬したりと、「女性キャラ=女の子の心理」の構図が使われていました。今回はハルオが、女性キャラ=大野の心を至近距離で感じて、しゃがみガードをする待ちガイルのごとく動けなくなっています。

 なんで春麗やキャミィじゃなくてさくらなのかは、すごく気になります。「ストZERO」シリーズではガイルが家庭用まで出ておらず、さくらと邂逅するのが未知の体験だったからなんでしょうか。


ハイスコアガール 近い(22話) (C)押切蓮介/SQUARE ENIX・ハイスコアガールII製作委員会

 ここまで間近で目を合わせるのは初めて(1回目のホテルは別のベッドのため)。いくらハルオと言えども、この状態ですんなり眠れるはずもない。一つのベッドの上で男女2人、どうなるかは次回に持ち越し。

 この時が、永遠に続けばいいのに。



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