「国鉄時代の空気感が、たまらねぇ……」 六本木ヒルズで開催中「天空ノ鉄道物語」のディープな楽しみ方(後編):月刊乗り鉄話題(2019年12月版)(1/3 ページ)
かなりディープな「気合い入りまくり」な展示に驚き! そういえば「アレのウラ」は初公開かもですよ。
前回は、「特別展 天空ノ鉄道物語」のディープな楽しみ方の前編、スカイギャラリー「外周展示」の見どころを紹介しました。後編は、さらにコアでディープな鉄道の世界へ誘う森アーツセンターギャラリーの「内周展示」を巡りましょう。
「内周展示」もすごい 「国鉄時代の空気感がたまらねぇ……!」博物館では見られない、コアでディープな鉄道の世界へ
内周では「国鉄時代から未来へ続く鉄道」をテーマにした展示が行われます。鉄道ファンとしての注目どころはズバリ、博物館を持たない「JR北海道」の所蔵品です。トワイライトエクスプレスのレプリカも迫力があります。来場者が参加できる企画もあります。
「国鉄時代の空気感がたまらねぇ……!」。展示エリアに入った瞬間、昭和時代にタイムスリップできます。昭和30年代後半、高度成長期の上野駅改札口を再現しています。当時の上野駅を訪れたような臨場感です。これは写真では伝わらない……ぜひ現地で体感してください。
改札口を通ると国鉄時代からのお宝が満載。「ダッチングマシン」はご存じですか? 語源は「デイティングマシン」から。硬券(硬いきっぷ)に日付を刻印するための機械です。
硬券は自動券売機が普及する前のきっぷでした。あらかじめ印刷されたきっぷを用意しておき、窓口の係員が乗客の求めに応じてきっぷをホルダーから取り出し、ダッチングマシンで日付を入れて販売していました。この方式は2019年現在も静岡県の岳南鉄道(関連記事)などで使われています。
ダッチングマシンは菅沼タイプライターの菅沼整一氏が考案しました。菅沼整一氏は日本タイプライター社で和文タイプライターを開発した人物で、菅沼タイプライターとして独立しました。菅沼タイプライターは和文タイプライターで評価の高かった会社でもあります。ダッチングマシンは他に天虎工業も製造しており、二大メーカーとして鉄道業界に貢献していたようです。
自動券売機が普及して以降、新規製造やサポートは実施していませんが、現在も懐かしい硬券きっぷとして多少の需要があるため、硬券きっぷを製造している関東交通印刷が天虎工業製ダッチングマシンの刻印数字などをライセンス生産しています。
というわけで、天虎工業のダッチングマシンはかろうじて現役です。しかし、菅沼タイプライター製はほとんど稼働しておらず、現存数も少ないと思われます。ダッチングマシンそのものがもう貴重ですが、菅沼タイプライター製はレア中のレアです。
国鉄時代、特急王国時代の栄光 「新幹線」と特急列車の部品やヘッドマークがズラリ
続いて、国鉄時代の栄光を理解できるエリアへ。「新幹線」「昭和の特急列車」の部品やヘッドマークがズラリと並びます。
自動車や旅客機が普及し、世界的にも鉄道が斜陽と言われつつあった時代に、東海道新幹線が時速210キロで営業運転を開始。世界を仰天させました。もっとも開業時の最高時速は160キロに抑えられ、東京〜新大阪間の所要時間は4時間でした。2019年現在は最高時速285キロ。所要時間は最短で2時間半を切ります。
東海道新幹線の開業を機に、他の路線でも特急列車が登場して、日本の鉄道は特急王国時代を迎えます。寝台特急も存続し、時刻表を眺めるだけでも楽しい時代でした。
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