「自分はゴジラから離れられない運命」 ファンを代表してゴジラに弔辞を読んだ男が語る、“好きでい続けること”の幸せオタクの幸せ(1/3 ページ)

ゴジラファンとしての道を切り開いた粕谷さんに“ひとつのことを好きでい続けることの幸せ”についてお話を伺いました。

» 2019年12月22日 18時00分 公開
[Kikkaねとらぼ]

 日本が世界に誇る怪獣王「ゴジラ」を愛し続け、ファンを代表して弔辞を読んだこともあるファンがいます。ゴジラファンとしての道を切り開き、「自分はゴジラからは離れられないんです」と語る「ゴジラ応援団」の粕谷さんに、“ひとつのことを好きでい続けることの幸せ”についてお話を伺いました。


ゴジラ 東宝 川北紘一監督(左)と「ゴジラ応援団」の粕谷さん(右)。撮影所の雰囲気が伝わってくる貴重な1枚

 「自分は決して特別なファンではなく、あくまで皆さんと同じようにゴジラを愛する者です」。そう笑顔を浮かべる粕谷さんはゴジラファンの間で一目置かれている存在です。特によく知られているのが1995年12月24日に有明で行われた「ゴジラの告別式」で弔辞を読んだことで、平成ゴジラシリーズの完結編として公開された映画「ゴジラvsデストロイア」の作中散ったゴジラを、ファン代表として悼みました。


ゴジラ 東宝 ゴジラの告別式で弔辞を読む粕谷さん

 そんなゴジラファン、粕谷さんはいかにしてゴジラファン道を切り開いたのでしょうか。


ゴジラ 東宝 「ゴジラ応援団」の粕谷さん(ホテルグレイスリー新宿のゴジラヘッド前にて取材)

逆境からはじまったファン人生

 5歳ごろに玩具店で見かけたブリキのおもちゃがきっかけでゴジラと出会ったという粕谷さんですが、初めて見た映画は「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(1966年・当時7歳)。怪獣大ブームが巻き起こっていた同世代の中ではやや遅れたゴジラ映画デビューでした。

 「映画館から帰ってすぐにお風呂でエビラ遊びをした」と当時の大興奮を振り返る粕谷さんでしたが、1967年2月に映画「ゴジラ」(1954年)のテレビ初放送を見たことが人生の大きな転機となります。

 「『ゴジラは悪い怪獣をやっつける存在』というイメージが勝手に出来上がっていた自分にとって映画『ゴジラ』はラストを含めて大きなショックを残しました。『これはもしかして現実に現れたゴジラなのか?』と混乱して、そこからゴジラに対する興味がより湧き上がっていきました」と粕谷さん。

 しかし家庭の厳しさに加え、通っていた小学校では担任に「まだ怪獣なんて見ているのか!」とクラス全員の前でさらし上げられたこともあるなど、当時は周囲からの理解が得られにくく、粕谷さんは「いかがわしい物でも見ているかのような目で見られてつらかった」と懐古します。

 それでも好きという気持ちは止められず、新作ゴジラ映画が公開されると集めて回った新聞広告を廊下一面に張り付けるなど、両親へ向けて小さな反抗も。しかし中学に入ると、両親から特撮や怪獣からの卒業を迫られ、「そんなに好きだったら人に認められるような賞でも獲ってみなさい!」と無理難題を突き付けられてしまいました。

 普通なら諦めるところですが、粕谷さんはこの言葉に一念発起。中間試験そっちのけで没頭し、石ノ森章太郎さん、永井豪さんとそうそうたる顔ぶれが審査員を務める雑誌の「全日本怪人・機械獣コンテスト」で準優勝を果たしました。


ゴジラ 東宝 粕谷さんが描いた歴代ゴジラ

 また大学1年生のときには、フジテレビ系特撮番組での怪獣デザインコンテストで入賞。朝のワイドショー「小川宏ショー」(フジテレビ)への出演も果たしました。実家には番組出演を祝う連絡が相次いだことなどから、長く怪獣好きを理解もらえなかった両親も「悪いことをしているわけではないし」とここから本格的に応援に回ってくれるようになったそうです。

 その後は雑誌『GORO』(小学館)の記事がきっかけで「自分と同じような怪獣好きがいるんだ!」と知った粕谷さん。特に最近テレビドラマにもなった「怪獣倶楽部」のメンバーの活躍には憧れると同時に、「衝撃波Q」「PUFF」といった怪獣同人誌の熱量の高いレポートやイラストに驚いたと言います。

 以降は自身も同人活動に取り組むようになったという粕谷さんは当時について、「個人情報の取り扱いがおおらかだった時代に自力で映画関係者を訪ねては資料を探したり、手書きで書き写した資料の内容を元にガリ版で同人誌を刷ったりしたことが、今では良い思い出になっています」と懐かしみました。

「自分はゴジラから離れられない」、運命のいたずらで再びゴジラ熱が再燃

 その後も「アマチュア連合特撮大会」「復活ゴジラ委員会」に携わるなど精力的なファン活動を行っていた粕谷さんでしたが、就職を機にゴジラや特撮とは一つの区切りをつけることに。熱心な活動からは一線を退くこととなりました。

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