一見ハードボイルドだけどほのぼのシュール 何の事件も起きない刑事漫画「刑事松島」がじわじわくる
やばげな人がぞろぞろ出てくるけど、みんな悪人ではない。
Twitterで公開された4コマ漫画「刑事松島」シリーズが、ハードボイルド調なのにほのぼのすると評判です。主人公の松島刑事は実質的に働いていないし、悪人は出てこないし、なんなら何も起きない。
ハードボイルドといえば、主人公と情報屋のやりとりがつきもの。松島もネタを仕入れようと、子飼いの情報屋である坂本と密会します。
しかし彼が語ったのは「『アイドルはウンコしない』とはよく言うが、その反面めちゃめちゃオシッコするらしい」という、万が一事実だったとしても全く役に立たないヨタ話。それでも松島は「こいつはマジで使えない」と思いつつ、情報量を5000円も支払うのでした。理由は「カラオケとか一緒に行くと楽しいから」……単なるさびしがり屋じゃねえか!
そんな松島ですが、ときには道ばたにとめた車の中で、じっと真剣に何かに聞き入ることも。「アジトがばれて刑事に張り込まれている?」と、謎の組織「白い液」の女性を驚かせます。
ところが駐車場所はラブホテルの前で、彼女は「ラブホの盗聴か!」とずっこけることに。そんな彼女を、松島は「静かにしてくれる!? いま鈴木蘭々の兄ちゃんの違法ラジオ聞いてっから!」としかりつけるのでした。「起承結転」みたいな展開にツッコミが追い付かないのですが、とりあえず「鈴木蘭々さんの兄が無免許で私設FM放送局を10年ほど営んでいたのは事実だけど、事態が発覚した2011年に現行犯逮捕されているぞ」とだけは記しておきます(参考:日刊スポーツ)。
ほかにも、何の用もなしに「変な民芸品しか作っていない暴力団のフロント企業」へ乗り込んだかと思えば「人がたくさんいると楽しいな……」とつぶやいたり、何の関係性も築いていない上役に「アンタが上に行ってもこの組織は何も変わらねェのか……?」などと、さも「組織の改革を誓った同志」であるかのように話したり……松島の行動は、言ってしまえば空虚の極み。これを「おかしい」で片付けるのは簡単ですが、「行動力だけはあるけれど不器用なさびしがり屋さん」とみると、どことなく親しみを覚えるような気もします。
漫画は広く拡散され、「全編全く意思疎通とれてなくて面白かった」「5000円でアメリカ行こうとする坂本好き」「セリフさえなければ完全にハードボイルド」などと好評を博しました。作者のショルダー肩美(@yellowishrice)さんは、主にWebメディア「オモコロ」へ多数の作品を寄稿している漫画家。そのほとんどが、奇怪な人物の行動を淡々と描く4コマ漫画です。ぶっちゃけ、この中だと松島はまともなほう。
作品提供:ショルダー肩美(@yellowishrice)さん
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とぼけた調子がクセになる。
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