「お〜いお茶」の俳句、実は200万句から選ばれているって知ってた? 伊藤園に聞く“日本最大の俳句コンテスト”の秘密(2/3 ページ)
約200万句の応募、どうやって審査しているのか
── 審査はどう行っていますか?
横山 大前提として年齢も名前も、どこの出身かも出さず、作品だけで審査しています。
まず1次審査は約200万句を、延べ200人以上の俳人の手で2万句ぐらいまでより抜きます。1次審査会は十数回開催しています。
── 句の数が数だけに、審査もすごいスケールですね。
横山 次の2次審査では、1次とは別の俳人15人に句を絞り込んでいただきます。
さらに第3次審査では、2次で最終選考対象外のものを元ジャーナリストや編集者さんなど俳人以外の方に見ていただいて、「敗者復活」させます。違う目線だと「いやこれ、面白いでしょ!」ということもあるんですよね。「新俳句(※)」のコンテストなので、専門家以外の目線で見たときに良い作品も残そうと。
※公式サイトによると「(俳句における)厳密なルールは問いません」「『新俳句』は、敷居を下げ、間口を広げ、誰もが楽しめる五七五をめざしています」。例えば、季語が入ってなくてもよい
横山 第4次審査では11人の最終審査員の方々にご自宅で作品を見ていただいて、順位付けをします。
各賞の候補作品を選出していただき、それを事務局でポイント化。上位から点数の高い順に並べた最終審査用の資料を作成します。
── じっくり選んでいただけるんですね。
横山 そして、だいたい5月ごろに最終審査会。ホテルの一室に審査員の方が全員集まって、協議をしながら決めますね。
本来であれば、点数の高いものが大賞になるはずなんですが、面白いことに全く違う句が選ばれることもあります。紙で見ながら話し合っているうちに「自宅ではこれが良いと思っていたけど、こっちがいいな」と。
データベースで類似作品対策も
── 類似作品対策などはどうしているのですか? 応募総数が200万句もあると、大変だと思うのですが
横山 俳句は17文字なので、似た句もどうしても出てきてしまいますね。他コンテストも含めた過去の入賞作品をデータベース化していて。入賞・入選の7000句については、そのデータベースに引っ掛からないか全て確認し、類似したものは俳人の方にも判断していただいたうえで発表します。
横山 もし何かあれば、次点を繰り上げます。
── まさかの復活もあると。
横山 そういうケースもあります。
── そこまでやるのがすごいですね。
横山 他社さんができないのはそこにあると思います。
── ……ところで、“1人で100句送ってくる人”とかもいたりします? その方が受賞できる確率が上がりそうですけど。
横山 いえ、1人6句までと決まっています。しかし、第31回で新設した「新俳句フォト部門」は制限はございません。
伊藤園の社員が応募してもなかなか載らない
横山 ちなみに、伊藤園の社員も応募できるので、私も毎年応募しています。
── “中の人”の方が受賞しやすいんじゃないですか?
横山 それはないです。作品のみで審査しますから、社員の句とは分かりません。
ただ僕の前の担当は、佳作(パッケージには掲載されない)までいったそうですけど。佳作は5000人選ばれるのですが、そこに入るだけでも大変なことだと分かっているので、相当に喜んでいましたよ。
── 応募者数が数十万人規模ともなると、社員さんでもそういう感じなんですね。競争の激しさが伝わります。
横山 一応、僕も大賞を狙っていますけど、実際取っちゃったらどうしようかなと思いますね(笑)。
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