“障害者の性”を描く映画「37セカンズ」が全ての人に勇気を与える傑作である理由 (1/2 ページ)

傑作なので見てほしい。

» 2020年02月08日 14時50分 公開
[ヒナタカねとらぼ]

 日常の中で、誰かに「お前にはこれくらいしかできない」などと可能性を制限されてしまったことや、自分自身で「どうせこれくらいしかできない」と過小評価してしまった経験はないだろうか?

 2月7日から公開されている日本・アメリカ合作の映画「37セカンズ」では“障害者の性”というテーマを扱っており、“障害者の可能性が制限されてしまっている”状況がリアルに描かれる。その上で語られる本作のメッセージは、驚くほど普遍的なものになっている。


障害者の性を描く映画「37セカンズ」が、すべての人に勇気を与える理由 (C)37Seconds filmpartners

「37セカンズ」予告編

車椅子生活のゴーストライターの女性が“性”に触れる

 まずは、あらすじを簡単に紹介する。

 脳性まひの女性のユマは、過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、マンガ家のゴーストライターを続けていた。彼女は公園に捨てられていたアダルトコミック誌を見かけたことをきっかけに、自立のため出版社へ持ち込みをするが、女性編集者から「作者に経験がないと良いエロマンガは描けない」と言われてしまう。ユマはその言葉に従い、やがてネオンきらめく歓楽街へと向かうのだが……。 同作ではこのように、物語の発端およびメインストーリーに“障害者の性”があり、“障害者の可能性が制限されてしまっている”という状況も描かれている。

 ユマは体が不自由であり母親と2人暮らしで、オープニングの“風呂に入るだけ”のシーンでは、その大変さはもちろん、彼女を介助する母親の愛情、その一方での「私がいないと何もできないんだから」と思ってそうな過保護ぶりも伝わってくる。

 さらに、ユマは健常者の少女マンガ家の友人のゴーストライターもしている。友人はルックスがアイドル並みにかわいくてサイン会でも大人気であり、ユマはその姿を見て、次第に「自分の名前で、大好きなマンガを描きたい」と願うようになる。

 この“過保護な母親からの抑圧”と“ゴーストライターを続けている”という状況こそが、“可能性の制限”だ。そして、彼女は「妄想だけで描いたエロマンガなんて面白くないから、経験しておいでよ」という女性編集者のとんでもないアドバイスにより、性の世界に足を踏み入れるのである。


障害者の性を描く映画「37セカンズ」が、すべての人に勇気を与える理由 (C)37Seconds filmpartners

まさかの冒険へ旅立ち、そして新たな世界も知っていく

 この作品が真に面白いのは、“障害者の性”を文字通り赤裸々に描きつつも、それをきっかけに“可能性の広がり”と“新たな世界”を提示していくことだ。

 やがて、主人公は『フォレスト・ガンプ/一期一会』のような、広い世界への冒険の旅にも出発する。そこには、「障害者の性を描いていたと思っていた物語が、ここに行き着くのか!」という驚きがある。そして、障害のある人に限らず、全ての人に通じるメッセージにもつながっていく。

 また本作では、「可能性が例え制限されていた(障害があった)としても、その中で大切な価値観に気付くこともできる」という、さらなる優しい訴え、希望も提示されている。

 自分の可能性を見つめ直すきっかけは、“性”であっても構わない。むしろ、子どもから大人への過程において人間として自然な欲求である性と向き合うことは、成長の糧となるのではないか……当たり前のことかもしれないが、その当たり前に気付かせてくれることにも、同作の意義がある。


障害者の性を描く映画「37セカンズ」が、すべての人に勇気を与える理由 (C)37Seconds filmpartners

主人公を演じるのは実際に脳性まひの女性

 ユマ役を演じたのは、生まれつき脳性まひがあり社会福祉士としても活動している佳山明。当初主人公役には健常者の女優の起用が検討されたが、監督のHIKARIが強い疑問を示し、オーディションによって100人の候補から選ばれたのが佳山だった。彼女の存在があってこその映画になっていることも、特筆すべきだろう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/15/news019.jpg 4カ月赤ちゃん、おねむのひとり言が止まらず…… 心とけそうなおしゃべりに「とてつもなく可愛すぎる!」「ウルウルした」
  2. /nl/articles/2404/15/news020.jpg 1歳妹が11歳姉に髪を結んでもらうやさしい光景が160万再生 喜ぶ妹のノリノリのリアクションに「可愛すぎて息できない」「ねぇね髪の毛結ぶの上手」
  3. /nl/articles/2404/13/news014.jpg 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  4. /nl/articles/2404/14/news013.jpg 海岸を歩いていたら「めっちゃ緑のヨコエビがおって草」 作りものと見まごうほどの色合いに「ガチャの景品みたい」と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/11/news165.jpg 遊び疲れた子猫を寝かしつけてみた 絵本のような光景に「きゃーあ」「可愛すぎて変な声出た!」
  6. /nl/articles/2404/15/news014.jpg 100均大好き起業ママが「考えた人天才すぎる」と思わず興奮 ダイソー&キャンドゥの優秀アイテム5選が参考になりすぎる
  7. /nl/articles/2404/15/news103.jpg 「ケンタッキー」新アプリ、不具合や使いづらさに不満殺到…… 全面的刷新も「酷すぎる」「歴史に名を残すレベル」
  8. /nl/articles/2404/15/news038.jpg ダイソーの材料を“くっつけるだけ”で作れる、高見え「カフェコーナー」 今流行りのジャパンディな風合いに「天才的に美しい」「まねする!」
  9. /nl/articles/2404/14/news006.jpg 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  10. /nl/articles/2404/15/news021.jpg 下っ腹に合わせて購入したGUデニムで50代女性に悲劇→機転を利かせたコーデに称賛!! 「笑って楽しんで60代、70代を迎えたい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  2. 500円玉が1つ入る「桜のケース」が200万件表示越え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「オトナも絶対うれしい」「美しい〜!」
  3. 赤ちゃんがママと思ってくっつき爆睡するのはまさかの…… “身代わりの術”にはまる姿に「可愛いが渋滞」「何回見てもいやされる!」
  4. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  5. 日本地図で「東京まで1本で行ける都道府県」に着色 → まさかの2県だけ白いまま!? 「知らなかった」の声
  6. 中森明菜、“3か月ぶりのセルフカバー動画”登場でネット沸騰 笑顔でキメポーズの歌姫復活に「相変わらずオシャレで素敵」「素敵な年齢の重ね方」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. もう別人じゃん! 「コロチキ」西野、約8カ月のビフォーアフターが「これはすごい」と驚きの声集まる
  9. 娘がクッションを抱きしめていると思ったら…… 秋田犬を心ゆくまで堪能する姿が440万再生「5分だけ代わっていただけますか?」「尊いなぁ…」
  10. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」