古代日本のチーズ“蘇(そ)”が千年に一度の大ブーム 3時間かけて作ってみたらマジで苦行だった(3/3 ページ)
実食してみた!:いちばんおいしかったのは“焼き蘇”
一晩あけました。蘇を4種類の食べ方で食べ比べしていきましょう。冷蔵庫で寝かした蘇は、前日よりも堅くなっていました。濃厚4.4で作った蘇は冷凍したクッキー生地くらいに堅くなっています。一口サイズに切って食べてみましょう。
プレーン蘇:これは、まさに、チーズである
この味を持ちうる言葉で簡潔に説明するなら、これはチーズです。甘みはほとんどなく、塩味がします。ベビーチーズに近いのですが、もっと薄い味です。現代の食品は、進化に進化を重ねて味がはっきりしてきているのではないでしょうか。今回作った蘇をどうやったらおいしくなるのかなと研究を進めると、現代の乳製品にたどり着くように思います。
2つの蘇の違いを食べ比べてみましょう。温かいときには、濃厚4.4のほうが断然甘みがありましたが、一晩寝かしたあとは雪印メグミルクの方が甘味がありました。ホットミルクで感じるような甘みです。
「蘇 ブルーベリージャムを添えて」:経験のない味に脳ミソがついてこない
ネット上には、ジャムをのせるとおいしいという情報がありました。せっかく砂糖を使っていない料理なので、ジャムも砂糖を使用せず、冷凍ブルーベリーをみりんで煮込んで作りました。きっと上品な甘さが広がるおいしいスイーツになるはずっ!
うーむ。想像とは違う味になりました。おいしいとは思うのですが、未知の味すぎて脳みそがついてきません。生まれたときからこれを食べていたならば、きっとおいしいのではないでしょうか。ソースの味付けを工夫すれば、もっと合うようになると思います。
ハチミツ蘇:ハチミツの味が蘇に完全勝利
こちらもネット上の情報。ハチミツをのせるとおいしいそうです。早速やってみました。
うおおおおお。ウマい。ってかハチミツがウマいです。ハチミツの味が完全勝利します。現代の食べ物のほうが味が強いと前述しましたが、本当にそんな感じです。口の中で権力闘争が始まり、ヤリで戦う蘇が、ミサイルで戦うハチミツに負けた感じがしました。これもハチミツをうまく選べば、ピッタリ合うのかもしれません。
焼き蘇:リッツにのせたら最高にウマかった!
最後に、焼き蘇を試してみます。これもネット上の情報です。グリルで3分焼いたところ、アルミホイルにくっついてしまいました。しかし、かじってみるとウマい。今まででイチバンおいしかったです。
素朴な味です。「アルプスの少女ハイジが、黒パンにのせて食べていたチーズです」と言われたら、納得してしまいそうな味です。
これはパンやクラッカーに合うかもしれません。試しにリッツに乗せて、グリルで焼いてみました。
う、う、ウマいっ! フォアグラのような食感が、リッツのサクサクと合います。まろやかなチーズの香りと焦げの香ばしさを感じたあと、穏やかな甘味がほんわりと口に広がり、弱めのクリームチーズが残ります。これ、普通にウマい!
わかったことをまとめましょう。
- フライパンでも時間はかかる
- 作り方で味が変わる
- 蘇は焼いてリッツに乗せて食え!
蘇作りはすごく大変で、途中めげそうになりましたが、完成した喜びはひとしおでした。そして最後に一言。「蘇を作ってみた」という人がネット上には多数いますが、彼らに伝えたい。ホント、すげーよ、みんな、すげーよ。よくこんな作業やったよ。マジで、すごい!
参考文献:経沢信弘著『古代越中の万葉料理』・桂書房・2017年
(高橋ホイコ)
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2時間かかって作り上げた先にある高揚感。
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