何年も治らない“心の風邪”、「治る力」を感じるための自傷行為 エッセイマンガ『うつを甘くみてました』 作者インタビュー(1/3 ページ)

双極性障害の闘病生活を当事者/家族視点で描いたエッセイマンガシリーズ。本編を一部掲載

» 2020年04月02日 20時00分 公開
[ねとらぼ]

 うつ状態と躁状態を繰り返す「双極性障害」。エッセイマンガ『うつを甘くみてました』『家族もうつを甘くみてました』(ぶんか社)は、10年超にわたる心の闘病体験を当事者/家族の2つの視点で描いたシリーズ作品。作者・ブリ猫。さんにうつと向き合うことの大変さ、周囲がサポートすることの難しさをインタビューしました。『うつ甘』『家族もうつ甘』本編も合わせて掲載します。



マンガ『うつを甘くみてました』『家族もうつを甘くみてました』とは

 「当時 私は美容の世界で華やかにピカピカした日々を 過ごしていました」「ところがある日…それは突然やってきました」(『うつを甘くみてました』冒頭より)

 ブリ猫。さんは夫の浮気発覚後、心療内科でうつ病と診断(その後、双極性障害II型に変わる)。2017年から、その壮絶な闘病の日々をPixiv上にマンガとして投稿するようになり、2018年、それを書籍化した『うつを甘くみてました』が刊行。

 続編となる『家族もうつを甘くみてました』(2020年刊行)は両親へのインタビューを行い、1作目『うつ甘』の出来事を“見守ってきた側の視点”で振り返った作品。双極性障害という1つの体験を2つのマンガ、2つの角度で捉え、「当事者/その周囲の人が感じる、心の病気に向き合う難しさ」を描いています。

作者:ブリ猫。(Twitter:@bnyan42

 東京都出身。元・美容関係店舗経営者。34歳の時に、夫の浮気がきっかけでうつ病を発症。その後、『双極性障害II型』と診断される。現在も闘病中。二児の母であり、3匹の猫飼いでもある。

『うつ甘』 #生まれて初めての心療内科













何年たっても治らない“心の風邪”

―― 初めて心療内科に行ったときは、どんな状況でしたか?

ブリ猫。さん(以下、ブリ猫。):作中にある通り、心療内科の先生への第一声は「助けてください」でした。

 10数年前、私は子どもを外に預けながら、美容関係の会社を経営。旦那さん(すでに離婚)の仕事がちょっと特殊であまり家にいなかったので、私は乳飲み子のワンオペ育児をしながら働いているような状態でした。

 そのなかで、旦那さんが浮気していることが分かって。せめて話し合いの場が持てればよかったのですが、全て拒絶されてしまい……というのがことの始まりです。

 仕事中も帰宅後も、その浮気のことで頭がいっぱいで眠れない。旦那さんの浮気相手が、私も知っている人物だったこともあって人間不信。もう外に行くのも怖い。自傷行為もしていましたし、「我が子を手にかけて自分も死のう……」というくらい追い込まれていました。

―― 作中では予期不安、摂食障害、幻聴といった症状もあった、と書かれていますね

ブリ猫。:さらに身体にも症状が出ていたのですが、当初は「うつかもしれない」という発想が頭になく、原因が全く分からず困っていました。背中の痛みを何とかしたくてマッサージを受け続けていたら、疲労骨折してしまったくらい。

 とにかく、この“痛い”“苦しい”を肯定してくれるところを探していましたね。心療内科に行ったきっかけは……たまたまネット上で「心の風邪」みたいな話を見掛けたことだったかなあ。

―― うつ病の代名詞のように使われていた言葉ですね

ブリ猫。:初めて行った心療内科の院内パンフレットにも同様のことが書かれていて、「これは心の風邪なのかあ。じゃあ、1〜2週間もすれば良くなるかな」と言われた通りに薬を飲んでいました。でも、全く治る気がしない、という。

 処方されていた薬は“混乱した頭を混乱させないようにしているだけ”だったんですよね。飲むと思考停止できて、ツラいことを考えずに済む。でも、薬が切れると再び考え始めてしまう。だから、また飲む。確かに楽にはなるんですが、周囲からはボーッとしているようにしか見えないんですね。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/27/news009.jpg しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  2. /nl/articles/2404/27/news020.jpg パパに笑顔を見せる4カ月の赤ちゃん、ママの顔を見ると…… あるあるな反応に「なんで?!」「ママをすごく信頼してる証拠」とさまざまな声集まる
  3. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  4. /nl/articles/2404/27/news003.jpg 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  5. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. /nl/articles/2404/27/news008.jpg 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  7. /nl/articles/2404/27/news010.jpg 巨大ウサギのデカさを伝えるため、2Lペットボトルを横に置いてみたら…… 衝撃の比較結果に「えっ、500mlじゃないんですか」「マジで大きい」
  8. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  9. /nl/articles/2404/26/news187.jpg 実写「シティーハンター」、最後まで見るとあるはずの仕様がない配慮「わかってる」「粋なはからい」「いい判断」
  10. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」