町工場のおやじがレーザーで金属板に刻んだ「NEVER GIVE UP」 技術力とメッセージが感動を呼ぶ

投稿主は金属加工を手がける会社の代表取締役。制作の経緯を聞きました。

» 2020年03月30日 16時54分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 「今、困難を乗り切ろうと頑張っている全ての人へ」――ある町工場がTwitterにて、金属加工技術を用いたメッセージ動画を発信しました。工業用レーザーが金属板(ステンレス)を掘って世界の復興を願うイメージを描き、「NEVER GIVE UP」と刻んで勇気づけます。


NEVER GIVE UP レーザーマーキングで刻まれた願い

 話題を呼んでいる動画は、金属加工を手掛ける協立工業社および星野金型社の代表取締役・森下一(@kyoritsu_1962)さんが投稿した作品。レーザーがパチパチと光り、地球がウイルスに侵されるイメージを描き出すところから始まります。


NEVER GIVE UPNEVER GIVE UP

NEVER GIVE UPNEVER GIVE UP 閃光が走るたびに、戯画化されたウイルスが出現

NEVER GIVE UP 地球のピンチが描かれる

 しかしこの陰鬱な様子は、さらなる照射で一変。一面がじわじわと光り、ウイルスが塗りつぶされていきます。


NEVER GIVE UP

NEVER GIVE UP

NEVER GIVE UP 上下左右へ光が走り、まっさらな状態に

 まっさらになった板に、再びレーザーの光が射しこみ、再びイラストが描画されていきます。出来上がったのは、回復した地球を包み込む大きな手、そして「NEVER GIVE UP」のメッセージでした。


NEVER GIVE UP

NEVER GIVE UP 緻密な線が復興のイメージを描画

NEVER GIVE UP

NEVER GIVE UP

NEVER GIVE UP メッセージはバチバチと光を放ちながら深く刻まれる

 現状の困難と、願われる復興を描いた動画は広く拡散され、「勇気が湧く!」「金属だけど温かい」と好評。大勢に「町工場のおやじすごい!」と賞された森下さんに、編集部は詳しい話を聞きました。


暗い、つらいニュースの間に、ほんの少しだけホッとできるものを


――動画制作の経緯を教えてください。

森下 毎日コロナウイルスで大変な、先が見えないニュースばかり目にしていたところ、スポーツ選手や著名人が、少し気の紛れるような応援動画をアップし始めたのを拝見しました。そのとき私には何ができるだろうと考え、いつも作っているファイバーレーザーの加工動画で、暗い、つらいニュースの間に、ほんの少しだけホッとできるようなものを作りたいと思ったのがきっかけです。


――一度描かれた絵が消える場面が不思議でした。どういう仕組みなのでしょうか。

森下 最初はステンレスの板に、薄く絵を彫っています。次に、1番最初の絵よりも深く、細かいピッチで板全体を彫ることで、最初の絵を消してしまいます。そして、手の絵はさらに出力を上げて深く彫り、最後のメッセージは出力をMAXにして深く、強く彫る事で焼き色を出しています。

――動画では一瞬で絵ができていくように見えますが、編集を加えていますか?

森下 Twitterには投稿できる動画の長さに制限があるので、ところどころ早送りをしています。ちなみに、私の動画は全て、映像作家をしている弟が編集してくれています。

――新型コロナウイルスについて、本業に影響はありましたか?

森下 弊社は自動車や鉄道、医療、業務用厨房、建築関連の金属部品、金型を製造する、全体で従業員約50人の工場ですが、社員の衛生環境を整えるため、さまざまな工夫が必要になったり、打ち合わせや出張ができなくなったりと、徐々に影響が出始めています。新しい案件も随分と少なくなっていますし、流れてしまうものもあります。幸い、現時点では、経営が傾くような大きな影響はまだ出ていません。

 ただ、本当の意味で業績に影響が出始めるのは最終メーカーのお客さまが製造ラインを止めたあと――時間差でわれわれ零細企業に大きな大きな影響が出始めると思います。先日から自動車メーカー様のライン停止が報道されていますが、われわれに影響が出始めるのも時間の問題であると考えています。

動画提供:森下一(@kyoritsu_1962)さん


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/27/news062.jpg 49歳病没の大宮エリーさん、生前開催の個展で「体調も万全でなかったので不安」 3カ月前には苦しげな姿も「声が出にくい」
  2. /nl/articles/2504/28/news013.jpg 夏に向けてトリミングしたワンコ、飼い主が迎えに行ったら…… 注文ミスが生んだ“予想外の姿”が180万表示 「もっと見たい」「じわじわくる」
  3. /nl/articles/2504/24/news136.jpg 青い毛糸で輪っかをひたすら編み、つなぎ合わせると…… 予想もつかなかった完成品が195万再生「これはヤバい」「なんてアイデアなの」【海外】
  4. /nl/articles/2504/28/news147.jpg Vtuberの死去を所属事務所が発表 「詳細については控えさせていただきます」
  5. /nl/articles/2504/25/news063.jpg 紙コップに“ひも”をクルクル巻くだけで…… 1000万再生された“驚きのアイデア”に「これは思い付かなかった」【海外】
  6. /nl/articles/2504/27/news008.jpg 万博会場に3DSを持って行ったら…… 300万表示の“目を疑う現象”に動揺広がる 「信じられない!」「今令和やぞ」
  7. /nl/articles/2504/26/news004.jpg ケガして動けないエビのため半年間、口元にエサを運んで介護したら…… 「びっくり」「不思議」まったく予想外の変貌に大反響
  8. /nl/articles/2504/28/news076.jpg 「復活キター!」 マクドナルド、“仲良しな二人”の復活を予告 意外な組み合わせに「仲悪いと思ってた」「また帰ってきたか、、、」
  9. /nl/articles/2504/27/news021.jpg 釣り人が捨てたフグを保護 → ありえない量のエビを与えたら…… 「大笑いしてしまいました」と反響を呼んだ姿から1年後……保護主に話を聞いた
  10. /nl/articles/2504/25/news022.jpg 足の悪い母のため、庭に作った小道→100均アイテムで雰囲気ガラリ 天才アイデアに「すごい!」「真似します」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】