「お袋の貯金は兄妹で分ければいいよな?」借金1億円を母親に肩代わりさせた兄の発言に相談者激怒「テレフォン人生相談」先週のハイライト(2/2 ページ)
遺留分を侵害する遺言書だって有効ですから
この日の回答者は弁護士の坂井眞。
生前に多額の贈与を受けていた場合などは、「特別受益の持ち戻し」として相続分から差し引かれることがあるとしつつも、兄の会社を立て直すために母親たちがお金を出したのは、法律的には“その会社に援助”しているだけで、兄個人が援助してもらったわけではないと説明。
「分かりますよね、言ってることは。納得できるできないは別に」
「はい。ただ、兄のために家、何軒も売ったんですね……」
「うん、だからちょっとよく聞いてもらいたいんだけど、もう一回冷静に聞いて」「アナタの気持ちは……『兄貴が助けられたんじゃないか!』って、その気持ちは分かるけどね」
兄が親から商売を引き継いだ時点で経営があやしかったのか? それとも兄の責任で莫大な借金を背負ってしまったのか? その辺は明らかにされていなかったが、法律的な理屈は分かるものの、「兄貴が借金さえ作らなければ、その1億円を兄妹で相続できたかもしれないのに!」と思うと納得はしづらい。
「『(兄は)特別受益で先にもらっているじゃないか』って言うためには『これこれがこういう風に(特別受益に)当たります』っていうことを言わないといけなくて。裁判の手続きの中でも、遺産分割審判の中でそういう話がよく出るんですけど、なかなか簡単には認めてくれない傾向があります」
兄(の会社)が肩代わりしてもらった借金が生前贈与に当たると裁判所に認めてもらうハードルは高いようで、それを理由に兄の遺留分である「遺産の6分の1」を渡さないというのは難しそうだ。
今井通子が付け足す。
「まあ、お母さまがお元気なうちに、お母さまの意志もよく伺って、とりあえずは遺言書を作った方がいいかもしれませんね」
「(母親から)『もう兄には、母が死んでも教えるな』って言われてるんですよ。『お金を全部分けちゃって、その後に教えろ』って言ってて……」
ずっと、母親の意志に関係なく相談者が「兄には渡さない!」と言っているのかと思っていたが、母親も同じ考えだったのか。よかった。
再び坂井眞。
「だからそういう、(兄には一切遺産を渡さないというような)遺留分を侵害する遺言書だって有効ですからね」「それで、お兄さんが遺留分権を行使できる間にしなければ(時効は1年)、その遺言書通りになるので」
結局、「兄には渡さない」もしくは「相談者に全て渡す」というような遺言書を作っておいて、あとは兄が遺留分を請求してこないことを祈るばかりというアドバイス。それだけ「遺留分」の権利が強いということだろう。
母親が施設に入る前から貯金の分け前を気にするような兄。遺留分を請求してこないなんてあり得ないとは思うが……(母親の死を1年間隠し通すか!?)。
逆に考えると、親が亡くなった時に「お前には一切遺産を渡さない」なんて遺言を残されていたとしても、遺留分を請求すればその分はキッチリもらえるということだ。もちろん、時効になる1年以内にやらなければならない。いつかのために覚えておこう。
いやあ、「テレフォン人生相談」はためになるなぁ。
これまでの「テレフォン人生相談」
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