「固定費は平均月80万円」「里親探しは継続中」 保護猫カフェ休業中、猫たちは今―― 運営者に聞いた(1/2 ページ)

ネコリパブリック代表、河瀬麻花さんに聞きました。

» 2020年05月03日 19時00分 公開
[谷町邦子ねとらぼ]

 ネコリパブリック(TwitterFacebookInstagram)は猫カフェの入場料やイベント収入を中心に運営する「自走型保護猫カフェ」

 しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による政府の自粛要請で、主催するイベントネコ市ネコ座は延期。また、緊急事態宣言を受け、全国の保護猫カフェ7店舗全てを休業中です。ネコリパブリックが経営するサビ食堂はテークアウト専門に、ネコリパブリックのアパレル雑貨ブランドを販売するNECOREPA STORE 蔵前店は休業、NECOREPA STOREはオンラインのみの営業となっています。


ネコリパ緊急事態 困難な状況でもネコリパブリックの存続、保護猫活動の継続を目指す

 「今までのやり方では無理になってきている」と言うネコリパブリック代表、河瀬麻花さん(以下、河瀬さん)に、休業中の猫たちの様子や今後の取り組みについて聞きました。

休業中もかかる保護猫カフェの固定費

 来店すれば猫と触れ合える猫カフェは、猫にとっては生活の場。営業・休業にかかわらず、家賃・光熱費・ご飯代・医療費・世話をする人間の人件費といった固定費がかかります。

「東京や大阪など大都市の店舗では月100万円弱、地方都市では月50万〜60万円かかります。平均すると一店舗当たり80万円くらいですね」(河瀬さん)


ネコリパ緊急事態 ネコリパブリック代表 河瀬麻香さん

もし外出自粛が長引いたら……。保護猫カフェや保護猫はどうなる?

 外出自粛が長引けば、一方的に固定費が出ていくばかり。当然運営は厳しくなりますが、当初5月6日を期限としていた緊急事態宣言も延長する方針と伝えられ、先行きは不透明です。

「緊急事態宣言が6日に終わり、翌日7日からカフェを再開できるとは思っていません。たとえそうなったとしても、今までとはいろんなものごとのあり方が変わってしまうと思うんです。でもネコリパブリックが必要な場所であることは変わらない。これからも保護猫活動をする人と、保護猫を飼いたい人をつなぐ場であり続けるために、形を変えながら生きのびたいです」(河瀬さん)


ネコリパ緊急事態 各店舗もオンラインによる収益確保に取り組んでいる。「オンライン保護猫カフェ応援プロジェクト」では、店舗への寄付で在籍する猫の写真がもらえる(画像提供:ネコリパブリック

 困難な状況の中、運営継続のためサポーター募集を開始。クラウドファンディングも計画しており、オンラインでサービスの必要固定費を賄おうと動いています。とはいえ、仮に外出自粛が夏まで続いた場合、7店舗の営業継続には「今集まっている継続寄付の10倍の金額が必要」だといいます。

「どのお店も締めたくはありませんが、しめざるを得なくなることの可能性はゼロではありません。ただ、なんとか継続させたいという思いがあるので、とにかくなんでも捨て身でチャレンジするつもりです」(河瀬さん)

 もし閉店する店舗が出てきても、猫の保護は“多店舗展開の強み”を活かして継続されます。店から撤収するまで猫たちの譲渡先をじっくり探し、里親とのマッチングに成功しなかった際は営業中の店舗に移動するという手順です。

 他の保護猫カフェや保護猫ボランティア団体と連携しているため、どこかが窮地になれば「こちらは何匹までだったら受け入れられます」と連絡をとりあうことも。ネコリパブリックを含む多くの団体の人たちが、「保護猫の生活を守り続けたい」という強い気持ちで助け合っているようです。

休業中も、在籍猫の里親探しは継続中

 休業中の店舗では猫たちの生活の世話だけでなく、里親への譲渡も継続されています。

外出が自粛されているためか、里親希望の方が増えていますね。今までお客さんとして通っていた人が『この機会に家に来て欲しい』とおっしゃってくれたこともありました。家に保護猫を迎えることで、豊かになれるのだと思います」(河瀬さん)

 オンライン上で気になる猫を見つけた人には、アンケートに回答後来店してもらい、面接を受けてもらうことになっているとのこと。他のお客さんがいない貸し切り状態の店舗を予約して来てもらい、徹底した消毒と、スタッフとのソーシャルディスタンスを守ってもらうなど、コロナウイルス感染防止に努めているそうです。




「保護猫カフェ運営」という立ち位置から社会に求めること

 猫たちの保護を続けながら、新しい形で収益を生み出そうと試行錯誤するネコリパブリックですが、他の飲食店同様、休業がどれだけ続くか分からない中で固定費の負担は大きく、「感染拡大防止協力金」が必要だと強く感じるとのこと。また、長年猫の保護に携わってきた河瀬さんは次のように語ります。

保健所が新型コロナウイルスに関係する業務で忙しいと、収容している動物のことが二の次になってしまうのではないかと心配です。通常では譲渡対象の猫が殺処分になる、ということが起こらないようにしてほしい」(河瀬さん)



 さらに、ペットショップの売り上げが伸びているという話を耳にした河瀬さんには気掛かりなことが。

「外出できない『巣ごもり』状態だからと、犬猫をペットショップで買う人は、最後まで命を飼えるのでしょうか。ネコリパでは譲渡を求める人に面談をしますが、そうではなく、気軽に命を買えるような状態ならば心配です。忙しくなったなどの理由で、捨てられてしまうことはあってはいけません」(河瀬さん)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  5. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/17/news066.jpg 「ヤバすぎwwww」 ハードオフに1万8700円で売っていた“衝撃の商品”が690万表示 「とんでもねぇもん見つけた」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた