「あれ、なんで今自分が謝ったんだろう?」“怒りの瞬発力が低い人”が考えていること――漫画『きょうも厄日です』山本さほインタビュー(1)

世の中には、一瞬でキレられる人と、そうじゃない人がいる。

» 2020年07月11日 12時00分 公開
[杉本吏ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
きょうも厄日です

 『岡崎に捧ぐ』などの作品で知られる山本さほさんは、なぜか厄介な人たちを引き寄せてしまう謎の能力の持ち主。トラブル続きな日々をつづったエッセイ漫画『きょうも厄日です』の中から、その一部を作者インタビューと合わせて公開します。(聞き手/構成:杉本吏)

漫画『きょうも厄日です』とは?

 街を歩けば不思議な人に出くわし、電車に乗れば面倒な人に絡まれ、旅行に行けばおかしな事件に巻き込まれる……。山本さほさんの身に降りかかる災難を、“笑い時々ホラー”なタッチで描きます。

作者プロフィール:山本さほ

 1985年生まれ。幼少時代からの親友「岡崎さん」との友情や子供時代の思い出を描いた自伝的作品『岡崎に捧ぐ』がネット上で話題となり、漫画家に。現在、『きょうも厄日です』(文春オンライン)『無慈悲な8bit』(週刊ファミ通)連載中。


怒りの瞬発力






山本さほ先生インタビュー(1)



――今回は「怒りの瞬発力」というお話です。確かに、何かあったときに一瞬で怒る(怒れる)人と、そうじゃない人がいますよね。

山本: 私には本当に怒りの瞬発力がなくて、分かりやすいところでいうと「車を運転しているときのクラクション」です。目の前に人が急に飛び出してきて、「あぶねーだろ!!!」ってすぐ言える人がいるじゃないですか。あれ私、できないんですよ。

――そうか、確かにあれも瞬発力ですね。

 判断にすごく時間が掛かるんです。人が飛び出してきても、まず「あれ、ここって横断歩道だったっけ?」とか「信号は青だったっけ?」とか、そういう方を先に考えてしまうんです。いつも「私が悪い前提」で考えが始まるんですよ。

 だから自分に落ち度が全然なくても、一回「私が悪い」ってことで考えて、ゆっくりと「私は悪くないのでは……?」ってことが全部整理できてから、じわーって怒りが来る。

――それってロジックのあとに感情が来てますよね。理屈が確認できてからやっと怒り始める、というのは。

 そうそう。そこ(理屈の確認)を全部やらないと、やっぱり「間違えて怒っちゃったらどうしよう」っていうのが心配なので。

――「まず私が悪い前提で始まる」っていうのは、そうなった原因というか、きっかけのようなものはあったんですか?

 やっぱり私の今までの全作品で共通して言っているのが、自己肯定感の低さなんですよね。なんか自分の順位が低いんです、すごく。

――過去の作品では「小学生時代には全能感があった」と描かれていて、実際かなり奔放だったようですが。

 小学生の頃はそんなこと(自己肯定感の低さ)なかったと思うから、中学、高校、卒業してから……と、じわじわ出来上がっていったんだと思いますね。

――ちなみに、先ほど「間違えて怒っちゃったらどうしよう」と言われてましたが、間違えて怒ってる人なんて世の中にめちゃくちゃいっぱいいますよね。

 そうですね(笑)。めちゃくちゃいるし、そういう人たちに私たちは日々、悩まされてると思うんですよ。「あれ、なんで今自分が謝ったんだろう」って。

――そういう性格を直したり解決したりしたいとは思いますか?

 うーん……でも、そんなにすぐキレたくないじゃないですか。私はすぐキレる人は好きじゃないから、別に今のままでいいかな。確かに「適切な場面でキレる」ことができるようになったらスカッとはするんでしょうけど、今のままでいいです!

(2)に続く

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2504/18/news046.jpg 高校生の娘がいる女性、“スケバン姿”大公開→20年以上経て…… まさかの変貌ぶりに「すごい」「若くなった?」
  2. /nl/articles/2504/22/news021.jpg 自販機に“1000円”を入れたら……? 出てきた“とんでもないお釣り”にお口あんぐり「こんなん初めて見た」
  3. /nl/articles/2504/17/news162.jpg 築53年家賃4万円・何てことない団地のドアを開けると…… まさかの空間出現に驚きの声「素敵」「ここまでお洒落に」
  4. /nl/articles/2504/21/news010.jpg 10年間髪を切っていない男性→婚活のためイメチェンしたら…… 「美容師さんすげぇぇ!」「鳥肌立ちました」と290万再生
  5. /nl/articles/2504/19/news039.jpg 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  6. /nl/articles/2504/22/news032.jpg ママ友が「家、きれいすぎん?」と驚がくした“秘密の間取り”  「これはすごいわ」と大反響も……今はどうなった?リアルを聞いた
  7. /nl/articles/2504/22/news091.jpg 「ここ最近の買い物で1番」 ファミリーマートの“2990円パンツ”に反響続出 「控え目に言って最高」「感動してる」
  8. /nl/articles/2504/21/news032.jpg 150万円で買ったジャングル廃墟→家族3人で本気DIYしたら……「良くなりすぎた」 見違える結果に「やばい」「憧れる」
  9. /nl/articles/2504/22/news044.jpg 「これしか履けません」 無印良品の“4990円夏向きパンツ”に称賛続出 「手放せません」「なくてはならない」
  10. /nl/articles/2504/22/news107.jpg 工藤静香、広々自宅庭とウッドデッキで愛犬たちと…… 豪邸っぷりが分かる自慢のガーデニングも公開
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「成長したらそのうち襲ってくる」と言われたワニ、16年後……→ 280万回再生を突破した驚きの姿に「初めて見た」の声
  2. 【大阪万博】皇后さま、帽子から靴までブルーとピンク 天皇陛下のネクタイと“連日おそろいコーデ”
  3. 飲み終えた“コーヒーかす”→捨てずに石と混ぜると、1カ月後…… 「感動」目からウロコの裏ワザに「やってみよう」
  4. 人里離れた山にカメラを設置→1週間後…… 「なんで?」映っていた“意外すぎる住人”に「笑った」「実在していたのか!」
  5. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  6. 「ウソだ…」「言葉が出ない」 幼少期から絵を描き続けた少年→15年後…… 大人になって描いた絵が100万再生【海外】
  7. 湘南の砂浜に打ちあがった“超危険生物”を飼育したら…… 貴重な姿に「初めて見ました」「かっこいい」と大反響→2年後の現在について話を聞いた
  8. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」話題になった飼い主に聞いた
  9. 万博「ミャクミャク」記念500円硬貨、金融機関での「品切れ」&高額転売相次ぐ…… 5倍以上の金額で出品される事態に
  10. マクドナルド、次回ハッピーセットコラボに「争奪戦すごそう」 品切れや転売の懸念も「1個でいいから欲しい」「たくさん作って」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 【べらぼう】“問題のシーン”、「子供に見せられない」 身体張った27歳俳優へ「演技やばくない?」
  2. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  3. 「本当に迷惑」 宅急便の「不在連絡票」と酷似のチラシが物議…… ヤマト運輸「配布中止申し入れ」
  4. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  6. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  7. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  8. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  9. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  10. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】