二人の微妙な関係に余計な手出しをしてもいいものですか?「宇崎ちゃんは遊びたい!」5話 二人をくっつけたい男・榊登場(1/2 ページ)
見守るか、はたまた手助けするべきか。
ウザくて、かわいくて、SUGOI DEKAI! 「宇崎ちゃんは遊びたい!」(原作/アニメ)は、マイペースで1人の時間が好きな桜井真一(さくらい・しんいち)と、彼にまとわりついてくるキュートだけどちょっとウザめの後輩・宇崎 花(うざき・はな)の、ニヤニヤな距離感を楽しめるキャンパスコメディーです。
5話は桜井の友人・榊(正確には木へんに神)が初登場です。桜井・宇崎の関係をニヤニヤしながら見る一人ですが、今まで登場した他のキャラとは異なるスタイル。これは一波乱起きそうです。
顔は良くて性格が悪い友人・榊
出番が多くともあまり語らないので、謎が多い桜井。特にアニメでは宇崎ちゃん視点の表現が増えたので、桜井の本音や環境について不明な部分は正直あります。その中でも謎の一つだった「友達はいるのか」問題について、今回答えが出されました。います。原作では「先輩が大学で真正(マジモン)のぼっちだと思われてたらかわいそう」だと作者が書くくらい。
友人の名前は榊 逸仁(さかき・いつひと)。金髪のイケメンで、女の子たちの引く手あまた。でもそちらにはあまり興味がないようで、みんなでどんちゃん騒ぎするよりはスマートに過ごしたい派。
一見するとさわやかで顔のいいステキな人間なのですが、興味のあることにくいつくとかなり厄介な性格が噴出します。
桜井と宇崎ちゃんのやりとりを見ていた榊。特になにがあったというわけではないのですが、二人の空気を見てピンと来ました「なるほどね」。
以降、進展しないお前らのこと俺がくっつけてやるよ、的なものすごい面倒くさいムーブがはじまります。
こういうのって悪気がない分厄介。彼は決して悪人ではありません。本当に桜井のことを思っている、と信じたい。ただ極度にデリカシーがないから困る。
榊「ところで二人はどこまでいったの? えっちなことした?」
仮に付き合っているカップルだとしても、性生活について聞くのは地雷すぎる。酔って絡んできたおじさんが聞いてきたらセクハラで訴えてもいいほど。なぜそれでうまくことが運ぶと思ったのか分かりませんが、少なくとも榊はあんまり深く考えている人物ではないようです。
宇崎ちゃんがあきれ果てながら「顔はいいけどけっこう最悪ッスねこの人」と素で答える、貴重なシーンを引き出したという意味では褒めたい。
かなり土足でずけずけ上がり込むタイプの榊。「えっちなことした?」発言は序の口で、桜井と宇崎ちゃんが「付き合っていない」と否定し続けても、付き合ってるんでしょ? と問い詰めてくる。「俺だって周りだってきっと疑う余地無いよ?」という主語の大きい発言はものすごーく嫌がられるやつ(まあ、あってますが)。桜井が相手にしたくなくて、アイスを買いに逃げるレベルです。
非常に厄介なキャラクターとして描かれている桜井ですが、この重要な発言だけは頭に残しておきたいのです。
榊「俺はサクのこと男友達で一番仲良いと思ってるけど そういう浮いた話今まで聞いたことなかったからさ」
多分本心でしょう。「一番」とさらっといえる大親友っぷり。そして唯一桜井のことを「サク」とあだ名で呼ぶ特別っぷり。榊は本気で、桜井のことが大好きなようです。
だからこそ、やりすぎてしまう。親が子供に彼女ができたときにあれこれ詮索してしまうようなノリに近いんでしょう。拒絶されても余計な親切心と興味が先走る。
今回の榊は面倒くさい一辺倒ですが、原作では以降「親友」かつ「悪友」ポジションとして、非常に味のある立ち回りを見せてくれるキャラになっていきます。
推しカプとの距離感
桜井・宇崎に対する榊のスタンスは「俺がくっつけてやるよ」という介入型です。小さな親切大きなお世話。
その一方で、喫茶店の娘の亜細亜実(あさい・あみ)の考え方は全く異なっています。
亜実は観察型です。現時点では。お父さんのマスターは完全に近づかない観察型タイプ。亜実はそれに比べると、友人として近づいて二人を見つつ、本題には切り込まない程度の距離感で動くスタイル。桜井・宇崎との位置関係としては「マスター>亜実>榊」です。
亜実「私はあの二人を見守っていたいの 誰にもどんな邪魔だってさせたくない」「無闇につつかず離れた所から眺めるべきよ」
関係者になりたいというのが榊で、観客でありたいのが亜実。ただ、亜実は頭では「外野」だと考えているのですが、自分の理想を押し付けがちな暴走型でもあります。ここがこじらせている部分で、非常に面倒くさい。
彼女は原作だと、4巻あたりから欲望の暴走が止められなくなり、直接介入どころか自分の思い通りにしようと振り回すほどに変貌していきますが、それはまた別のお話。
介入=榊、観察(欲望)=亜実、観察=マスター、嫉妬(?)=KUSO CAT、と傍観者キャラはいろいろな立場から増え続けています。
立ち上がれ、チョコミン党!
戦争が起こりそうな題材を、この作品は勇気を持って取り上げました…。
それはチョコミントです。
宇崎ちゃんはチョコミント大好き。今回もチョコミントアイスを食べていました。ところがここで桜井が「でもチョコミントってさ 歯磨き粉じゃね?」とうかつな発言をしたから大変。これはギルティです。
チョコミントを馬鹿にするときにこすりつけてくるテンプレワード「歯磨き粉」。これには宇崎ちゃんブチギレ。無自覚な悪意にさらされてきた日々への激しい怒りが噴出します。
宇崎「誰がなんと言おうと チョコミントは美味しい…」この長文で熱意のある感動的なチョコミント演説に、学内のチョコミン党の人々は拍手。チョコミント好きは常に、「歯磨き粉」の偏見にさらされて、苦難を耐え忍んできたのだ。
コミカルなギャグでまとめているシーンですが、宇崎ちゃんのセリフでかなり正論に感じられる部分もあります。
宇崎「私が許せないのは『自分が理解できないものは迫害していい』と勝手に思っている連中の思い上がり」
好きなものを、理解できないからと無自覚に馬鹿にしていいわけではない。この発言は大きな目で見れば、人は他人の感情は理解できないかもしれないけどだからといって馬鹿にしていいわけではない、とも置き換えられるかもしれません。
宇崎ちゃんと桜井の関係も、「誰もがそう思うじゃん」と自分側の理解でカテゴライズしてしまうのは、もしかしたら失礼かもしれない。二人の関係は二人にしか分からないのだから、そっと見守りながら、チョコミントのように味わうことにしましょう。人間関係にカテゴライズなんてないんだ。
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