「マスク着用下なら連続着席でも感染リスクの差異なし」 クラシックコンサートの感染リスクを検証した報告書が公開

「合理的な対策を組み合わせることで感染リスクを下げること、そして仮に感染が発生してもできるだけ狭い範囲に留めることはできる」

» 2020年08月19日 23時12分 公開
[ねとらぼ]

 日本クラシック音楽事業協会が、クラシック音楽演奏・鑑賞にともなう飛沫感染リスクを検証した実験の報告書をサイト上に掲載しました。これによると、マスク着用下であれば従来どおり連続して席に着席しても感染リスクには大きな差はないそうです。



 クラシック音楽のコンサートは少しづつ再開する動きができていますが、ソーシャルディスタンスを守る関係上聴衆の数が制限され、また演奏者間の意思疎通が難しくなることで、興行を成立させることが困難になっているといいます。今回の報告書はそうした部分を背景に、クラシック音楽の鑑賞・演奏時のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)への感染リスクを検証したもの。


Classic コロナ

 この実験は、ホコリなどの微粒子を測定しないようクリーンルーム環境で飛沫などの微粒子がどの程度発生したかを計測。実験対象となった楽器は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、アルトサクソフォン、ホルン、トランペット、トロンボーン、ユーフォニアム、チューバ、バイオリン、チェロ。また、その他にも、ソプラノ・テノールの「歌唱」、聴衆の会話・咳・発声を再現した「客席」も対象とされています。


Classic コロナ

 報告書によると、マスク着用下であれば「1席空けて着席」した場合も「連続する着席」の場合も、感染リスクに大きな差はないとのこと。また、いずれの楽器演奏についても、飛沫感染のリスクが上昇する可能性を示すデータが得られない、もしくはその可能性は低いと報告。歌唱については、口元での微粒子数が発声(客席実験)の10〜20倍に達しているため、体を動かしたり、移動したりしながら歌う場合は飛沫が拡散する場合があるようですが、今回の実験ではそういった部分の評価はできていないとしています。


Classic コロナ

 一方、この報告書では「現実には全ての聴衆が常に適切にマスクを着用し続けられるとは限らない」「マスクのズレや性能差を考慮し、大きな声を出すことを控えるよう求めることは妥当」とも記しており、マスクの適切な着用を呼びかける重要性も説いています。

 「本実験の限界」として、無風のクリーンルーム内という条件で実験を行ったことについて「空調や換気、複数の演奏者の影響などの要因が加わるため、総合的に感染対策を検討することが望ましい」とも。また、「さまざまな感染対策を行っても(中略)感染のリスクをゼロにすることはできない。しかし、合理的な対策を組み合わせることで感染リスクを下げること、そして仮に感染が発生してもできるだけ狭い範囲に留めることはできる。今回の結果がその一助になれば幸いである」と、この報告書の意義が語られています。


Classic コロナ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/05/news034.jpg 天皇皇后両陛下と愛子さま、“仲むつまじいショット” 女性皇族「ティアラ」にも注目…… 80万いいね
  2. /nl/articles/2501/05/news006.jpg 目からウロコな“ビニール袋のたたみ方”が100万再生 超便利な“裏技”に「こっちの方が絶対いい」
  3. /nl/articles/2501/05/news023.jpg 「目がバグる」 どこからどう見ても“平面”にしか見えない千葉のビルが話題 投稿者にその後を聞いた
  4. /nl/articles/2501/05/news002.jpg “100歳おばあちゃん”の朝食作りに密着したら……驚きの姿と「最高の朝食」に大反響 2024年ねとらぼで読まれた【レシピ記事トップ5】を紹介
  5. /nl/articles/2501/04/news056.jpg 「WEST.」、メンバー結婚発表から“YouTube登録者2万人減” 目標の100万人を突破したばかりだった
  6. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  7. /nl/articles/2501/05/news001.jpg 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/05/news033.jpg 「昔はモテた」と話す母→全然信じていない息子だったが…… 当時の“異彩を放つ姿”に驚き「わぁ!」「とても魅力的」【海外】
  9. /nl/articles/2501/04/news037.jpg 白髪でやる気がわかなくなった女性、“白髪手術“したら…… “二度見必至な若返り”に「ビックリ」「凄い変わり様」
  10. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」