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» 2020年08月22日 20時00分 公開

【いま見たいドラマ】Amazonプライム・ビデオ「モダンラブ」 1話30分でボロボロ泣けるオムニバスドラマです

なんと全てが実話をもとにしたストーリー!

[momomosparkle,ねとらぼ]

 なんだか最近、ずっと緊張している。家にいても、電車に乗っていても、夕食の買い出しをしていても、なんだか24時間変に力が入ってしまっている。ああ、肩が凝ったなあ、誰かにだきしめられたい。そう感じたときにおすすめなのが、ドラマ「モダンラブ〜今日もNYの街角で〜」。

 おうち時間が増えている今、見ると元気になる作品を紹介する企画。海外ドラマやショー番組を紹介する本『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』の著者momomosparkleさんに2019年にAmazonプライム・ビデオで配信開始したドラマ「モダンラブ」の魅力を聞きました。

モダンラブ
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書いた人:momomosparkle

イラストレーター&デザイナー&漫画家。カリフォルニアのカレッジで2年間アートを学んだ後、美大を卒業、現在はフリーランスとして活動中。かわいいものや楽しいことが大好き。著書に『ハピドラ! マンガで紹介 気分ぶちアゲ海外ドラマ』(柏書房)。


つかれたハートにはあたたかいドラマを

 爽やかにテンポよく進んでゆくオムニバス形式のこのドラマは、全部で8話。1話が30分ほどの長さなので、ニューヨークらしいおしゃれな音楽や映像を楽しみながら、さくさくみることができる。さくさく、なのにとっても深く胸に響いてくるから不思議だ。

 ちょっと1話だけ見てみようかな、と見始めた私も、気がつくとあたたかな愛にひたひたになって、大号泣しながら最終話を見ていた。

 「モダンラブ」のタイトル通り、現代を生きる人々の多様な愛の形をみせてくれるこのドラマ最大のポイントは、なんと全てのエピソードが実話だということ……! あたたかなエピソードたちは、ニューヨークタイムズ誌の人気コラム「ModernLove」に投稿されたエッセイに基づいている。

 そう、この世界は愛にあふれている。近所のパン屋のおばあちゃんも、バスのシートで単語帳を眺める高校生も、それぞれが迷ったり、ドキドキしたり、誰かを愛したりしながら、それぞれのドラマを生きている。そう思っただけで、名前も知らないような人を愛しく感じて、いつもの景色がハッピーで鮮やかになる。

 おすすめは、第1話の「私の素敵なドアマン」。大学に通うため、NYに出てきたばかりの主人公マギーと、彼女の暮らすアパートのドアマンであるグズミン。マギーが暮らすのは長年家族で借りているアパートのため、きっとグズミンもマギーを幼い頃から知っているのだろう。恋するお年頃のマギーがデートの相手を連れてくるたび、グズミンは「彼はあなたにふさわしくない」と厳しいまなざし。

 ある日、マギーが元彼との赤ちゃんを身ごもっていることが発覚する。取り乱すマギーを抱きしめて優しくなだめ、「村が子を育てます。NYは大きな村です」と励ますグズミン。マギーはグズミンに八つ当たりしながらも、彼の励ましの言葉に背中を押され、ベイビーを生むことを決意する。

 妊婦となったマギーに「そんな体で!」と自転車での移動を叱ったり、重い荷物をはこんだりするグズミンがおかしくて可愛くて素敵で、一言で言うと超推せる。一方で、マギーのちょっと危なっかしい世間知らずなかんじがチャーミングで、彼女もまた応援したくなってしまう。迷いながら成長していくマギーと、彼女を厳格なおじいちゃんのように見守るグズミンの関係がとにかくステキ。

 このエッセイをタイムズ誌に投稿したジュリーさんへのインタビュー記事によると、いまもグズミンはアッパーウェストサイドのアパートメントでドアマンをしているとのこと。

 そしてアン・ハサウェイ主演のエピソードである3話「ありのままの私を受け入れて」。一番重いテーマではあるけれど、同時に一番心を解き放ってくれるようなエピソードでもある。

 主人公のレキシーは長年躁うつ病を患っていた。躁うつ病は、極端にハイな状態と絶望のどん底の状態を繰り返す心の病。ミュージカルのワンシーンのようなハッピーな状態と、何もできないほどブルーな状態を繰り返すその病気との適当な付き合い方を心得て生きてきたレキシーは、病気であることを誰にもうちあけてこなかった。

 そんな彼女の人生を変えたのは、家族でも恋人でもなく、職場の同僚、シルヴィア。ある日、うつ状態による欠勤が目立ったレキシーは仕事をクビになってしまう。よくあること、と受け入れて職場を去ろうとしたとき、シルヴィアが「何も言わずにさよならなんて」とレキシーをカフェに誘う。コーヒーを飲みながらレキシーは生まれて初めて、躁うつ病を患っていることを告白する。

 嫌われるのを恐れて誰にも病気のことを話してこなかったレキシーだが、シルヴィアに受け入れられたことで、今まで自分が家族や友人を信じていなかったこと、心にバリケードをはってきたせいで自分自身をもっと苦しめていたことに気がつく。誰かに受け入れられることが、こんなにも誰かの心を溶かすことができるなんて――とハートをゆさぶられずにはいられない。

モダンラブ

 さらにジョン・カーニー監督らしいミュージカルシーンも楽しく、レキシーのレトロでポップなファッションもとってもキュート! 他のエピソードたちもあたたかな感動にニューヨークらしいおしゃれさがミックスされたスタイルで、毎話爽やかな気分で見終えることができるのもおすすめポイントだ。

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さまざまな愛のカタチ

 私たちが「愛」を送る相手は、恋人や家族だけとは限らない。友情とか恋とか、そういった言葉にかちっと当てはめるのが難しいような関係の中にも、確実な愛があったりするから。マギーとグズミンの不思議でステキな関係のようにね。

 「愛」が存在するシーンだって、ひとつだけじゃない。友達に激励の言葉を送る時、恋人と手を繋ぐとき、重い荷物を誰かのために運ぶとき、募金箱に小銭を入れる時、そこにある誰かを思うきもちは紛れもなく「愛」だ。

 誰もが愛しい人を思い、悩みを抱えながら生きている。慌ただしい日々の中で、ついつい目の前のことしかみえなくなってしまうけれど、ちょっと角度を変えただけで、大きな発見があるもの。愛することの尊さに気づかせてくれるこのドラマを見る前と見た後では、きっとあなたの生きる世界もすこし違ってみえるはずだ。



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