「cali≠gari」配信ライブの「自称関係者席」はどのように生まれたのか? 気軽に聞いたら存在しないインタビューの原稿が送られてきました(2/3 ページ)
※編集部注・ねとらぼ編集部が送った質問は「編集版」に掲載した3問のみです
※インタビュー中に質問しているのはねとらぼ編集部員ではありません。この人は誰なんですか?
※ありあまるサービス精神に編集部が震撼した、桜井青さんの「インタビュー(風の原稿)」をお楽しみください
──「自称関係者席」や各メンバーの定点カメラなど、ユニークなチケットが話題になっています。今回なぜこのような形態の配信を企画されたのでしょうか?
「このコロナ禍、世界中のバンド達が配信をはじめましたよね? 例にもれずcali≠gariも無観客ライヴ配信を2回やったんですが、どうしても満足いく達成感がライヴで得られないんですよ。そしてそれはダイレクトにお客達の飽きにつながるな、と。
世は正に配信戦国時代。どこもかしこも配信で、買ったは良いけど見ないで終わった、なんて言う配信疲れも聞こえてきました。これは、全てのバンドが配信に向かっていく弊害みたいなものですよね。
その中で、今後もただ配信をしていくって手法だけではバンドは生き残れないだろう、と感じた事がまず1つ。それと、お客達がライヴ会場に行きたくても行けないジレンマを、何かしら解消出来ないのか?というのがもう1つ。生には生の良さがあって、配信には配信の良さがあるでしょ?だから配信だけでしか出来ない何かで楽しませることができないかな?と。この2点が、今回の発想の起点なんです」
──なるほど。実際にライヴ配信を経験したからこその発想ですね
「配信はこれからどんどんマンネリ化していくと思うんです。会場キャパに対して3分の1しか動員を見込めない現在、安易にチケット代をはね上げる事によってライヴの制作費をキープする事はできるだけ避けたいわけで。
でもそうなると、プロの収録班を入れての配信までとても経費が回らない。事務所社長もマネージャーもメンバーが兼任しているcali≠gariみたいな中小企業バンドでは、大手のバンドがやってるような内容での配信は出来ないというのが現実なんですね。なので、限られた予算の中でいかにアイデアを出してお客達を楽しませていくか、っていうことですよね」
──それが今回のチケット各種のアイデアに繋がると
「そうですね。本来バンドには資料用映像を撮る固定カメラというものがありますよね。それを活用して面白おかしくするにはどうしたらいいだろう? というところから、定点カメラということは微動だにせず一番後ろから見ている→それはいわゆる関係者席か!と(苦笑)。
cali≠gariって友達がいないバンドなので関係者は異常な程に少ないんですけど、バンドが大きくなればなるほど『自称関係者』という種族が増えていくじゃないですか」
──青さんがよく言う、“「関係」のない関係者”ですね(笑)
「そうそう(笑)。で、そういう人たちほどSNSにゲストパスの写真をUPして、『呼ばれたので久々に行ってきた』『楽屋は混んでるからパス』とか、そういう匂わせツイートみたいなことをやるんですよ(笑)。それをエゴサチームに教えてもらうと、みんなで『誰だこれは!?』『今日誰か呼んだ!?』とザワつくんです。
関係者が少ないうちの現場ですらこうなんですから、他所はもっとすごいだろうなぁと思いまして。それならもっとみんなでマウンティングし合ったら面白いかな、と。
“トップ・オブ・マウンティング2020”みたいな感じで関係者マウンティングを競い合うんです。「#カリガリのライヴに行ってきた」とハッシュタグをつけて、とにかく関係者匂わせツイートをいっぱいしてもらって。そうしたら、場外乱闘的にあたかもライヴに参加してる気分になるのではないだろうか、と(笑)」
──例えばどういう匂わせをすればいいですか?
「関係者だっていうことをはっきり書かないけど関係者だっていうことを分かってよ、っていう非常に高いスキルが必要になるわけです。設定もいろいろあっていいと思うんですよね。昔から星の数ほど存在する自称愛人や自称編集者とか(笑)。
『楽屋には来るなって言われちゃった』とか『今日のライヴ、原稿にし辛いかな』とか、『なんか誘われて久しぶりに来てみたけれど、前より上手くなったよね』とか(笑)。お前ら誰なんだよ! みたいな(笑)。
自分の中で設定を作って、勝手に妄想していただけたら幸いです。それでお客さん同士でマウンティングを楽しんでいただきたい。そしてそれは、あとから見る私達も楽しい。きっと疲れも吹っ飛ぶ(笑)」
──ライヴが終わった後も楽しめますね
「関係者席だから、もちろん終演後にはメンバーの挨拶もありますし。こちらからご挨拶にも伺いますから(笑)。そうやって面白おかしくやれたらいいなって。
配信ならではの、ライヴじゃない部分でのエンタメ性を考えていたら、ついつい悪ノリしてしまったっていう感じで」
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