「キウイを食べよう」CMはなぜ「泣ける」のか コロナ禍で共感集めるゼスプリCM、クリエイティブディレクターを取材(2/2 ページ)
クリエイティブディレクターがキウイCMを通して伝えたかった事とは
――早速ですが、「好きなことを楽しみながら」篇のテーマ、狙いなどを教えてください。
北田:健康的な生活をおくるためには、ストイックな習慣やガマンが必要というイメージがあります。しかし、ゼスプリのブランドは、健康的な生活を、楽しくて、ワクワクするものに変えたい、と考えています。私自身もそうですが、健康的な生活を楽しめている人は少ないと感じます。特に無理をしてやってしまうと、どうしても続きません。結果、健康でいることが、難しいこと、楽しくないことだという誤解があることに気づきました。
しかしコロナ禍の長い自粛生活をみんなが楽しみを工夫して見つけながら乗り切ったように、ヘルシーな生活を長く続けるために大事なのは、好きなことや楽しむ方法を見つけたりすることだと考えました。これこそまさに「おいしさ」と「健康」を両立するキウイフルーツが提案できることではないかと考えました。
――コロナ禍の中でのCMということで、特に注力したポイントはありますか。
北田:CMの企画は、2019年10月から考えていたものです。視聴者にメッセージを自分事化してもらうために、キウイブラザーズがランニングや山登り、足つぼマット、サウナなどで失敗する姿を描いています。当初は、そんな一生懸命な姿を応援するようなテンションの高い楽曲を考えていました。
しかし、コマ撮りの撮影に入るころから、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めました。そんな気分の時にテンションが高いCMはうるさくなるだろうなと考え、監督や音楽プロデューサー、クライアントさんとも相談しながら、優しく、寄り添うような、感動できる楽曲に変更しました。
――カマタさんの漫画を含め、反響についてはどのように感じていますか。
北田:今年のCMには、この漫画のように「泣きそうになる」「癒される」「思わず見てしまう」「キウイを買いにいった」など、たくさんの好意的な反応をいただいております。
ゼスプリのお客様相談室にも、例年を上回るお手紙やコメントをいただいており、幅広い世代の方から支持いただいています。特にCM総合研究所が実施した作品別CM好感度調査では、2020年5、6月度および7月前期において総合1位を獲得しました。ブランドの認知率も最高を更新しました。先日あるラジオ番組で、超国民的アーティストの方がこのCMの曲を歌いながら褒めてくださったのは、とても驚きましたし、うれしかったです。
――今後もCMを通して伝えていきたいテーマ、初回CMから変わらないテーマなどがあれば教えてください。
北田:日本人のフルーツの喫食頻度は、欧米に比べて半分以下と言われています。なので、キウイフルーツだけが売れればいいのではなくて、フルーツ業界全体が盛り上がり、果実を通しておいしく楽しく健康を手に入れる習慣が根付くことを願っています。
また、CMでよく見る他の商品と違って、キウイフルーツは毎年のように新商品が出るわけではありません。ゴールドという品種が出たのも数十年前です。なので、毎年、コミュニケーションを通して、新しいニュースや話題をお届けし、愛されるブランドになることも重要だと考えています。
キウイフルーツの魅力だけでなく、世相を反映したCMづくりを続けているゼスプリとCMクリエイターたち。今後はどんなストーリーが紡がれていくのか、多くの人が楽しみにしています。
(Kikka)
※価格は記事掲載時点のものとなっています
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