6年間の引きこもりは「最高だった」 元“世界一即戦力な男”の作家・菊池良さんに聞く普通な生き方、ヘンな生き方(2/2 ページ)

» 2021年01月22日 18時00分 公開
[マグロダねとらぼ]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

「正統派」を目指さない理由

―― 菊池さんはヤフー退職後、フリーの執筆活動に専念。作品は『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』が文体模写、『芥川賞ぜんぶ読む』がレビュー、『文豪探偵』『ニャタレー夫人の恋人』は物語文とバラバラですが……。

 あ、確かに。

―― 自分で気付いてなかったんですか?

 今気付きました。確かにどれも違いますね。ただ、「企画性」や「パッケージング」の部分では共通したものがあると思います。

 引きこもりミュージシャン・ノリアキさんの存在が大きいと思います。ノリアキさんはいきなり古屋監督のプロデュースでミュージシャンになってアルバムを出した方で、僕はそういうのが面白いと思っているんですよね。

ノリアキさんデビュー作「unstoppable」
「スカイフィッシュ」

 僕は基礎を学んだ身ではないので、正統派なことをやっても基礎をやってきた人には勝てないと思っています。

 そういう考えもあって、自分のオリジナルの部分でやっていこうと考えています。

―― そういえば、名刺の肩書は「ライター」になっていましたが、本を出していても「作家」ではないんですか?

 そういう感覚はないですね。自分が本を出しているとか連載を持っているとか、そんな人生になるとは全く予想してなくて、今でも不思議な感覚です。

 でも、肩書問題はあるんですよ。「ライターです」と名乗っても、どんな仕事をしているのか説明していくと「ライターではないですよね?」と言われてしまうし。では作家かというと、ミステリーや純文学を書いているわけでもない。もっと企画性の強いものを書いています。

―― 作家の正確な定義は分かりませんが、確かに「『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』の著者です」と言っても“作家っぽさ”は弱いかもしれませんね。

 最近は、自分の仕事を説明するときは「フリーランス」と書いています。すごくふわっとしてますけど、フリーで文章を作ってるだけなので。

「何百万部も売れてドラマ化、アニメ化、映画化したら、また引きこもってもいいかな」

―― 普段、周囲から聞かれがちなことはありますか?

 聞かれがちなこと……。「どうやって食ってるんですか?」と聞かれますね。

―― どストレート。

 で、「まあ何とか食えてます」みたいな。

―― おお、そうなんですね。

 うん……そう……。いや、こうして生活はできているので、何とかなっていると言えばなっているし、なっていないと言えばなっていないんですが。

 ざっくりした僕の計算なんですが、本って、100万部売れると著者に1億円くらい入るんですよ。つまり、本を出す仕事をしているなら、10年に1回ミリオンセラーを出せば全ての帳尻が合うんです。

―― 「合わなかったらどうしよう」という不安はないですか?

 ないですね。できなくても大丈夫だろうと思ってます。そうなったらそれはそれで、別のことをやります。人生1回きりなんだから何が起きてもいいでしょ、と。

 もしも人生が何回もあるなら、「AとBを両方やった結果、Aの方が絶対にいい」と思うかもしれませんけど、人生が1回しかないんだったら、そういう比較はできないわけじゃないですか。

 だったら、自分の人生で何が起きてもいいんじゃないか、と思っています。

―― 1つの人生の中で「過去のこれは嫌だった。未来でもう一回起きたら嫌だなあ」というのもない?

 ないですね。いや、あるか? ……うーん、あんまり考えたことがないですね。

――「何が起きてもいい」という考え方になったのはいつからでしょうか?

 引きこもりを経験してからですかね。めちゃめちゃ楽しかったんですよ。あれは最高でした。

 自分の書いた本が何百万部も売れてドラマ化、アニメ化、映画化したら、また引きこもってもいいかなと思ってます。

―― 引きこもるには、成功が必要なんですか?

 例えば、もしも今の僕がジョージ・ルーカスと対談になったら「僕みたいなものがすみません」と、すごく下から行くことになると思います。そうではなくて「やあ、最近どう?」と言えるようになりたい、というか。

 本当に対等になることは不可能だとしても、卑屈にならずに関係性を持てるようになりたい、という気持ちがあります。

 今の自分の状態だと「まだ水野さんには会えないな」と思っているんですよね。

―― 自分の人生に影響した人と胸を張って会えるようになりたい、というか。

 昔の話になるんですが、引きこもり時代に初めて水野さんとお会いしたとき「お前は危険そうだ。俺は会わない」みたいに言われたことがあって。

―― 危険……というのは?

 自分に何か危害を加えるんじゃないかとか、そういうことですよね。

―― ……その後、「まず大学に行って普通になるんだ」と助言されていることを考えると、よっぽど“普通ではない”というか、尋常ならざる者と思われてたんですかね。

 でも、これから活動していくなかで、自分の書いた本が国民的にヒットすれば言えるわけです。「あ、水野さんも最新作100万部いったんですか、映画化ですか」みたいに。

―― 「僕もですよ」と。

 それが自分の原動力かもしれません。

おわりに:菊池さんから見た“ヘンな人”

―― 本日はありがとうございました。最後に、菊池さんが思う“ヘンな人”を紹介してもらってもいいですか?

 うーん、誰だろう。わりと商業的にまとまってる人もいますが……。

―― 仕事柄、「ヘンであることがむしろ普通」的なところもあるでしょうから難しいかもしれませんが……。

 あ、おぱんぽんさんはどうでしょう。「白米しか食べずに生活する」とか「日本縦断マラソン」とか、おかしなことやっていますよ。最近だと「プロテイン1カ月生活」。

―― 大丈夫なんですか、プロテインだけの食生活って。

 ガチで体に悪いと思いますけど……。会社員だから、たぶん普通に働きながらこういうことをやってるんですよね。大丈夫なのかな。

 あと、現在は“芸術家が作った公園のアスレチックみたいな家”に住んでいます。平たんな床がほとんどなくて、丸かったり、坂になっていたり、アリジゴクみたいになっていたり。ジャングルジムみたいな感じです。

 キッチンだけが平たんで、そこに寝袋を敷いて寝ているとか。

―― 一般的な家の概念から遠過ぎて、まったくイメージが湧きませんが……。

 とにかくまあ、そういうヘンな家があって、そこにおじさん3人で住んでいる方です。

 まあ、一番ヘンなのは「こんなにヘンなことをしているのに、あんまり知られていない」ということですね。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  2. 庭にアジサイがあるなら知っておくべき!? 春になる前に急いでやりたい“大きな花を咲かせる”お手入れ術に反響続々
  3. 生まれたばかりの孫に会いに来た両親、赤ちゃんを見た瞬間号泣し…… 幸せあふれる光景に「一緒に泣いちゃいました」
  4. つんく♂、「僕の大好きな妻」と元モデル妻の貴重ショット公開 「めちゃくちゃお綺麗」と反響
  5. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. 「ずっと手を触って」「強烈な口説きが」 グラドル、元K-1王者のセクハラ行為を“告発”→反論しバトルに 「引っ込んどけよロバは」謎の容姿罵倒で流れ弾も
  7. 2歳娘、帝王切開で入院するママの前では強がっていたが…… 離れてから号泣する姿に「いじらしくて可愛くて朝から泣いた」
  8. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. 長女と赤ちゃんの夜のルーティンが「可愛いしか言えん」 愛が強すぎな姉から逃げる姿に「嫌いじゃないのねw」「素敵な姉妹」
  10. 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」