【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】“すぐ死ぬ=クソ”と思わずに遊んでみてほしい「スペランカー」(2/3 ページ)

» 2020年12月28日 12時00分 公開
[ねとらぼ]

「スペランカー」(The-U.JINEさん/@The_U_JINE

 ファミコン版「スペランカー」は、今年2020年で発売35周年。近年、見直されるようになってきましたが、いまだにクソゲーというイメージが根強く残っているタイトルです。

 本作の魅力は、さまざまなメディアで散々語りつくされてきたとは思いますが、まだ! まだ足りません。

このゲームの魅力

 個人的には「コンパクトなゲーム性」「洞窟、地底探検というテーマ」という大きな要素が2つあります。

 まず「コンパクトなゲーム性」について。

 アクションゲームの魅力の1つに「キャラクターを自分の手足のように動かせたときの快感」があると思います。「スペランカー」はジャンプも低いし、ちょっとしたことでミスになるし、アクションゲームの主人公としてはいささか繊細であることは否めません。でも、その繊細さが良いんです。

 移動キーを離せば滑ることなくその場で止まるし、ジャンプはボタンを押す長さに関係なく飛ぶ距離が決まっています。プレイヤーの操作がダイレクトに反映されるから、己の手足となる快感が味わいやすいのです。

 しかも、致死性オブジェクトの動きは一定。アドリブを求められる要素はゴーストくらい。遊べば遊んだ分うまくなるし、プレイヤーが動揺しない限りミスることはありません。アクションゲームの基本や楽しさがコンパクトに詰まった、己と向き合わされるようなストイックさのある作品だと思います。

 私は、スペランカーの操作性は、自転車みたいなものだと思っています。初めのうちは「こんなの乗れるわけないだろ!」とキレたりしていたはずですが、一度乗れるようになってしまうと、かつて乗れなかったことが不思議なほど安定するじゃないですか。

 「スペランカー」も同じで、慣れると基本的にミスしなくなります。そしてダンジョンを軽快に進む爽快感や、不意に招いたピンチを曲乗りで越えるような楽しさにつながっていくんです。

 次は、このゲームのもう1つの魅力「洞窟、地底探検というテーマ」について。

 洞窟や地底は基本的に狭い空間なので、キャラクターに派手なアクションをさせることは難しいですし、景色も代わり映えしません。何ならゲームの舞台には、不向きな気さえします。実際、ゲームに出てくる洞窟や地底というと、魔物の巣窟、敵のアジトなど“うっくつした印象を持たせるための場所”であることが多くないですか? 抑圧の隠喩だったり、解放感を演出するための存在だったり。

 「スペランカー」はそんな場所をあえて主題に置いている珍しいゲームなんです。それも暗く冷たいネガティブな空間ではなく、冒険と財宝が待つポジティブな空間として。

 アーケード版、ATARI版「スペランカー」は、前述の「コンパクトなゲーム性」とは異なる操作性になっているのですが、しかし、この主題は崩れていません。それぞれ違ったアプローチで洞窟探検の魅力を描いています。

 ジャンルとして定義している人がどれだけいるか分かりませんが、このゲームが“洞窟探検ゲーム”の金字塔であることは間違いないと思っています。

世間ではクソゲーと言われている理由

 そりゃあもう「虚弱体質」「難しい」でしょうね! 難易度に難があるゲームが多かった当時でも賛否両論、中には「難しすぎる」の声もあったようで……。

4Gamerの開発者インタビュー記事によると「(発売後の評価は)やはり賛否両論でしたね。『自分はここまで進められた!』という満足感が得られたという人がいる一方で,『こんなに難しいのはゲームじゃない,馬鹿にするな』という声もありましたから」(スコット津村氏)

 賛否両論から、今日のクソゲー扱いを決定的にしたのはインターネットの存在でしょう。インターネット黎明期から、ゲーム系のサイトへ行くと必ず「クソゲー」「すぐ死ぬ」といじられていましたから。

 かつてアイレムソフトウェアエンジニアリングのWebサイト上では『スペランカー先生』という、ちょっとしたことですぐ死ぬ教師の4コマ漫画が連載されてましたし、「スペランカー」情報の総本山的なファンサイトの名前は「クソゲー処理概論」です。

 こういった、もはや歴史とも呼べる積み重ねが「クソゲー」のレッテルを根強いものにしたのだと思います。

 発売から30年以上もたっていて認識を改める機会がなかなかないのかもしれませんし、「遊んだところで“自転車を乗りこなす”まで根気よく続けてもらえるのか」という問題もあると思いますし……。

 最新作を遊んでくれー! すぐ死ぬのはファミコンとだいたい同じですけど、めっちゃ正当な進化をしてるから!!!

「スペランカー」シリーズは2011年以降、「みんなでスペランカー」をはじめとした新作が登場。最新作は「みんなでワイワイ!スペランカー」(Switch/2017)

 クソゲーという“いじり”がなければ、このゲームがここまで語り継がれ、愛されるタイトルになることはなかったと思います。

 でも、本当にただのクソゲーだったら、30年以上たった今、新作が出るわけないんです。繰り返しになりますが、ぜひ一度遊んでみてほしいですね。絶対に初見ではクリアできません。でも絶対にそのうちクリアできるから。楽しいから……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. /nl/articles/2404/21/news005.jpg 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  3. /nl/articles/2404/22/news028.jpg 0歳双子を19時15分に寝かせ続けたママ→1年後…… メリットだらけの挑戦記録に「偉い&すごい!」「寝る子は育つ、その通りですね」
  4. /nl/articles/2404/21/news013.jpg 【今日の計算】「101×99」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/16/news027.jpg 中古軽自動車をキャンピングカー仕様にして日本一周するカップル 車内で料理中、思わぬアクシデントが…… その後の姿に「すごい」「尊敬します」
  6. /nl/articles/2404/22/news122.jpg 「あの頃の橋本環奈すぎる」21歳の無名アイドル、幼少期ショット公開で再びどよめき「凄い完成してる」「美少女の片鱗が見えすぎてる」
  7. /nl/articles/2404/22/news026.jpg ご機嫌でルンルンステップを踏む柴犬、それをパパがまねすると…… ルンルンはひとりで楽しみたい派の塩対応に「めっちゃ可愛い」と100万表示
  8. /nl/articles/2308/31/news023.jpg 庭の草刈り中に小さな卵を発見、孵化させてみたら…… 命の誕生の記録に「すごい可愛い!」「すてきな家族」
  9. /nl/articles/2404/21/news029.jpg 飼い主を引っかいてしまった黒猫“自分の犯した過ち”に気が付いて…… いつもと違う行動に「反省してるのが分かる〜!」と190万再生
  10. /nl/articles/2404/22/news020.jpg 「飼い主ビビる」猫たちに猫草をあげたら……“ちがうもの”を食う1匹の姿が182万表示! 予想外の展開に「ちょっww」「狂気を見た」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」